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ダダダイアリー、主に映画。2023/10/17ー10/31
10月17日
『ドキュメンタリー「解放区」最後のMR.BIG受け継がれる音楽』録画鑑賞。
MR.BIGのラストツアーに密着。名前だけは聞いた事あるくらいで何の思い入れもなかったけど日本とこんなに縁が有るバンドだったんだぁ。知らなかった。そんな冷やかしが観てもバンドの良さと思いが伝わる感動出来るいいプログラムだった。
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ヒュートラ渋谷にて、コン・ダーシャン監督「宇宙探索編集部」鑑賞。
落ちぶれたカルト雑誌の編集長タンを中心に繰り広げる愛おしき敗者たちのロードムービー。果たして彼らは宇宙人に会えるのか。ドキュメンタリー風なそれっぽさに笑ってるうちに不意に訪れるまさかの感動。卒業制作が大ヒット作に化けた現実もミラクルに満ちた展開の驚異の新人類監督デビュー作のウルトラヘンテコ胸熱ムービー。
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続いてル・シネマ渋谷宮下にて「エドワード・ヤンの恋愛時代4K」鑑賞。
大声で泣き喚く90年代トレンディドラマのフォーマットをベースにしていながら、緻密で意外性に満ちた脚本とスマートな演出でヤンらしさ全開の恋愛劇。これ色んな人に影響与えてるよなぁという場面が満載の傑作。やっと観れて幸せ。
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10月18日
ホワイトシネクイントにて、クリストファー・ボルグリ監督「シック・オブ・マイセルフ」鑑賞。
承認欲求の烈しい主人公が巻き起こすブラックコメディなホラー。独りよがりな幼稚な妄想を原動力にした異常な行動、盗癖のあるアーティスト、マイノリティを利用するファッション業界。人間の解らなさと現代の闇をおしゃれな映像に収めた相当にシックな作品。面白いけど引いた。
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代官山に徒歩で移動。
UNITで開催の「exlovers JAPAN TOUR2023」へ。
2012年に傑作アルバム1枚残して解散したロンドンのインディーバンドがアナログ再発のタイミングで11年ぶりの復活ライブ。予想以上にアクティブなステージは怒涛の如き展開でレア感満載だった。まぁ2012年なんかついこの前って感じなんで、今回のツアーに味しめてまた来て欲しいな。
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10月20日
新宿ロフトプラスワンにて開催の『野球どアホウ未亡人+1』へ。
この夏シネマロサで甲子園より沸いた小野峻志監督「野球どアホウ未亡人」を全員でツッコむという応援上映。
入場時に「内野席の方はこちら」とか係員が真顔で案内してる時点でどうかしてたけど、予想以上に白熱したコールと熱狂ぶりで、特に「ゴダールかよ!」というツッコミが1番ウケた。
上映後には小野監督、キャスト(森山みつき、藤田健彦、工藤潤矢、井筒しま)によるトーク大会。映画の企画から撮影、上映後のエピソードから今後の試合(スケジュール)予定まで発表。ヒッチハイク事件とか凄すぎるエピソードが満載。さらにプレゼント大会と大盛り上がり。どアホウ伝説はまだ始まったばかりなんだなと実感。楽しかった。
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10月21日
渋谷の無機質カフェことカフェモノクロームにて、映画「メドゥーサデラックス」とのコラボドリンクを。
毛髪の代わりに入れたゼリーがアクセントになったストロベリーフローズン×オレンジ/ライムミントゼリーのドリンク。映画はイマイチだったけど今日みたいな暑い日にはありだな。
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その後は、SpotifyO-EASTに移動。
「jABBKLAB-TOUR2023~金魚公園東京~」へ。
yurinasia率いる福岡のダンススポットjABBKLABによるライブツアー初日。YouTubeでその凄さは充分知ってたけどライブだからこそ生み出される熱量やグルーヴ、この世界でダンスほど雄弁な言語があるのかと思わす、強くて自由でピースフルな動きに泣きそうになった。
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10月22日
「新美の巨人たち」録画鑑賞。
お待ちかね内田有紀の建築回。今回は3代目帝国ホテル。ライト設計の2代目の印象が強いが高橋貞太郎設計3代目の素晴らしさが内田有紀のナビゲートによって初めて身に染み込んだ。しかしもう4代目の設計計画もあるんだ。とにかく眼福のひと時だった。
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レベッカ・ソルニット「暗闇のなかの希望 増補改訂版ー語られない歴史、手付かずの可能性」読了。
いつも帰るのが早すぎる。腐った世界の中心に於いてただ嘆くのではなく「だがしかし」と問いを立ててみる。革命はある日突然起こる訳ではない。花はいつも暗闇で育つ。忘れっぽい私たちに幾つもの成功の事例を思い出させ、希望を擁護し、具体的な実践へと導く。迷った時や落ち込んだ時に何度も読み返したくなる一冊。
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10月23日
こまばアゴラ劇場にて、バストリオ「一匹のモンタージュ リクリエーション」観劇。
バストリオ史上初の試みとなるちゃんとした劇場での長期公演。いつもよりもシュッとして纏めてくるのかと思いきや、いつも以上に散らかしまくってて最高だった。
三鷹SCOOLの初演時には回収出来なかった感覚を掴み取り、思い切り吐き出して本来のカタチに成立させた様なリクリエーション。1人1人がちゃんと1人1人で、皆んなが等しくバラバラで、キチンと一匹として立っている姿に何度も泣きそうになった。これぞバストリオと言える真骨頂な仕上がりに大満足。
そして橋本さんと収まるまでがモンタージュって事で、バストリオ橋本和加子さんと坂藤加菜さんと収まって来た。ホントに素晴らしかったなぁ。
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帰宅後、BS「The Covers」EGO-WRAPPIN回、録画鑑賞。
余計な事を何も言わせなくなる程のシビれるカッコ良さ。もうカッケーとしか言いようのない名カバー3曲。永久保存決定の凄まじさだったな。
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続いてBSフジ「アワーフェイバリットソング~私が「いかれたBaby」を愛する理由~録画鑑賞。
フィッシュマンズの名曲をメンバーの茂木欣一のインタビューを中心に構成。「当時YouTubeがあったらもっと早く拡まってた」と欣ちゃん言ってたけど、それはホントにそう思った。やっぱり早過ぎたバンドだったんだなぁと実感。
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10月25日
開催中の東京国際映画祭にて、丸の内TOEIで上映のフレデリック・ワイズマン監督「メニュー・プレジール~レ・トロワグロ」鑑賞。
親子三代に渡る三つ星レストラン「トロワグロ」の全貌にワイズマンが静かに迫るボナぺティな240分。
素材選びからレシピ作成、調理シーンに接客風景、素晴らしいホスピタリティの数々とまさにフルコースなボリュームで掬い取るその全てが眼福もの。ただ写している様でいながら大事な瞬間は逃さないワイズマン円熟の眼差しの凄み。4時間はさすがに長いが、途中休憩入れてル・シネマとかで公開したら大ヒット間違いなしの開かれた作品。これはまた観たい。
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10月27日
東京国際映画祭企画、日本橋の三越劇場にて開催の「小津安二郎生誕120年記念シンポジウムSHOULDERS OF GIANTS」へ。
開始早々いきなりヴィム・ヴェンダース監督が駆けつけて挨拶。場内騒ついてるうちに小津監督「お早ようデジタル修復版」上映。
小津の中でぶっちぎりに大好きな作品。カラフルでポップでシニカルでコミカル。久々にスクリーンで観たけど、これ完全に元祖ウェス・アンダーソンだよな。あの集合住宅のミニチュア感とか拘りの内装とか。佐田啓二の見事なハンサムと久我美子の美しさと次男役島津雅彦のかわいさ。何度観ても最高傑作。
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上映後には黒沢清、ジャ・ジャンクー、そしてケリー・ライカートというちょっと信じられないラインナップの3大監督によるシンポジウム開催。
それぞれが小津の推し作品とオレなりの小津論を展開。
黒沢監督は小津ダークサイドの「宗方姉妹」、ジャ・ジャンクーは依存と束縛の「晩春」、そしてライカート監督はロードムービーとしての「東京物語」「彼岸花」をセレクト。
三者三様の個性と着眼点による考察はホントに興味深くあっという間に終わってしまって夢の様だった。
特にライカート監督がダグラス・サークとの類似性を上げてた事に烈しく同意。いやぁ贅沢な時間だった。
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10月29日
国立映画アーカイブにて小津安二郎監督「東京の合唱」伴奏付上映鑑賞。不景気の最中成り行きで不当解雇されたサラリーマンの顛末をコミカルにシニカルに描く可笑しくて哀しい小津調の炸裂を柳下美恵のピアノが引き立てる。長女役のクソ可愛さに終始持っていかれたが、なんとデコちゃんで納得。コレはまた観たい。
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恵比寿に移動。
YEBISU GARDEN CINEMAにて、エミール・クストリッツァ監督「ドリー・ベルを覚えているかい?」鑑賞。
ダンスバンドの結成、毎日の家族会議、超能力のトレーニング、24000回のキスと初めての人。日々あらゆる面で、少しずつ向上を。混沌と郷愁で綴る青春のクストリッツァ。素晴らし過ぎるデビュー作を遂に観れた。
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10月30日
ジョン・F・スウェッド「宇宙こそ帰る場所ー新訳サン・ラー伝」読了。 土星から来た男の真実。ラー地球滞在時の膨大な音源と膨大な発言と膨大な箴言。気が遠くなるエピソードの数々を気が遠くなる程の文献と取材により網羅したちょっとどうかしちゃってるレベルの空前絶後のサンラー伝。ウンザリしながら途中でやめられなくなる悪魔の書の様な危険な一冊。
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BS世界のドキュメンタリー「ストップモーションアニメを紡ぐ-エストニア激動の時代を越えて-」録画鑑賞。
エストニアにある現存する世界最古のストップモーションアニメ制作スタジオの全貌に迫るスウェーデン制作のドキュメント。スタジオの歴史と最新作のメイキング、知られざる魅力的な作品の数々に魅了された。
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10月31日
知人と数十年ぶりに大井競馬場へ。
見事なまでにハロウィン感ゼロで程よい賑わいぶりで、馬を見て一服してを繰り返してるうちに一日があっという間に過ぎて最高だった。プラマイ500円位浮いたし、毎年ハロウィンをTCKで過ごすのもありだと思った。
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