ネイティブライクへの道〈18〉~日本の大学入試の英語はどうなる?~
Welcome again to "A Journey to a Native-Like Speaker of English"!
このシリーズは、ELSA Speak という発音トレーニングアプリの効果を調べるとともに、私の英語教員としてのつぶやきを載せています。
このアプリは、Hikaruさんの記事で初めて知りました。
前回の投稿から今までの進捗状況
1月3日(日)82%ネイティブ「上級者」 (リスニング98%, 発音81%, 流暢性88%, イントネーション79%, 強勢97%)
1月4日(月)82%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音80%, 流暢性88%, イントネーション79%, 強勢97%)
1月5日(火)83%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音82%, 流暢性89%, イントネーション78%, 強勢97%)
1月6日(水)83%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音82%, 流暢性89%, イントネーション78%, 強勢98%)
1月7日(木)83%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音82%, 流暢性89%, イントネーション78%, 強勢98%)
1月8日(金)82%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音81%, 流暢性88%, イントネーション78%, 強勢98%)
1月9日(土)83%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音82%, 流暢性88%, イントネーション78%, 強勢99%)
1月10日(日)83%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音82%, 流暢性88%, イントネーション78%, 強勢99%)
前回の記事にも書いたように、/dʒ/ の発音が私の苦手な発音の1つなので、力を入れてやっています。今日は、カフェで "genre" という単語(発音はアメリカ式だと/dʒάːnrə/、意味は「ジャンル」)をパートナーの後に続けて何回も言い、周りの人の注目を浴びました(笑)。
日本の大学入試の英語はどうなる?(まずは言い訳から)
随分と大きなテーマをぶち上げてしまいましたが、前回の記事で予告してしまった手前、私の予測を書かせてもらいます。ただ、先に言い訳をさせていただくと、私はいわゆる「進学校」で教えていたのははるか昔のことで、最新の大学入試事情に精通しているとは言えません。
「じゃあ何で、『今後の大学入試』について語ろうとするわけ?」って突っ込まれても当然なのですが……私がここで私見を述べるのは、あくまで、根本的なことや大きな流れについてだけです。
なので、現在受験生の方々や受験生のお子さんを抱えた保護者の方々にとって、実用的な、役立つ情報とは言えないと思います。すみません。
と、お断りした上で、言いたいことを言います(笑)。
4技能型試験とは?
当初の予定では、来週行われる「大学入学共通テスト」において、英語は民間の4技能型の資格・検定試験(英検やGTECなど)を導入する予定でしたが、結局見送られました(2024年には導入予定)。
「4技能型の試験」とは、「聞く・話す・読む・書く」の4技能を別々に、平等の重さで測るテストです。だから、「リスニング」「スピーキング」「リーディング」「ライティング」それぞれが独立したテストになっていて、点数の比重が同じです。
これに対して、従来の大学入試の英語のテストは、「発音」「語彙」「文法」「読解(リーディングというよりも訳読または精読)」という観点から作問されていました。これは、英語を学ぶ目的を「英語を使うこと」とする4技能の分類に対して、英語を学ぶ目的を「英語についての知識を得ること」とする分類方法と言えます。
ちなみに、昔の英検は完全なる「従来型」でしたが、2016年に大きく様変わりして、4技能型になっています。
大学共通テストの英語と、センター試験の英語はどう違うの?
私の個人的な見解ですが、センター試験は、「従来型」と、「4技能型」のハイブリッドだったと思います。「筆記テスト」(200点)で、発音と語彙と文法とリーディングを測り、「リスニングテスト」(50点)もありました。リーディングは、昔ながらの、難解で短めの文章を読ませる問題ではなく、平易で長い文章やメールやポスターの英語を読ませる問題など、実用的になっていました。私は、総じて、なかなかよくできた問題だと思っていました。
「よくできている」というのは、日本の大半の高校で行われている英語の授業の現実にもとづいて、だれでも努力すれば点数を上げられるテストで、出題内容も、高校の授業内容から考えたらバランスが良かったからです。
大学共通テストは、4技能のうち、「リーディング」と「リスニング」のテストをそれぞれ100点ずつとして実施します。「ライティング」と「スピーキング」は民間試験に委ねたわけです。
よって、発音問題は筆記テストからなくなりました。発音の良し悪しは、民間テストに委ねる「スピーキング」テストで測れる、という考えでしょう。まぁ、筆記テストの発音問題は、知識を測っているだけなのですが…。でも、これでいいのか、私は疑問を感じざるを得ません。(これについては、また、そのうち書きます。)
(4技能型の民間試験についての私の意見は、前回の記事に書きました。)
では、これからどうなるの?
2024年度以降、4技能型の民間試験が共通テストの一部になったとしても、国公立大学を受験するなら避けらませんが、私立大学のみを受験するなら避けられるでしょう。
国立大学でも、民間試験のスコアを合否判定の材料に入れない大学もかなりの数あるんではないでしょうか(これは私の個人的推測なので、あまり信用しないでください…笑)。
多分、大方の私立大学は、従来型の英語筆記試験を維持するでしょう。4技能型の民間試験のスコアを使う方法と、今まで通り大学で英語の(従来型)試験を受験する方法の、どちらかを受験生に選ばせるという、文科省や世間の目を掻い潜るやり方で。
つまり、4技能型の英語を身につけないと、希望する大学に行けない、というようなことが起こる可能性は低い、と私は思います(大学で英語や外国語関連分野を専攻したい場合を除いて)。
特に英語好きでなければ、大学受験を意識し始めた段階(平均的には高校2年生くらい)で、英検やGTECで良いスコアを取るよりも、従来型の筆記試験で点を取る方がはるかに対策しやすいので、多くの高校生は後者を選ぶでしょう。大学側もそれをわかっているはずです。
受験生を集めて受験料をたくさん取らないと、大学の経営が成り立たないんですから、大学側が受験生の身になって、受験しやすい試験方法を推進していくはずです。
はい、今日はここまで!
よろしければ、ぜひ、前回の記事もお読みになってください。
それから、こちらもよろしく!
That's all for now! See you next time! Until then, keep practicing!
私(1970年生まれ、インターネットが登場する前に大人になった)の英語学習歴… 子供英会話教室(当時はまれ)に通ったのがきっかけで、中学生頃から自分で英語漬けの生活を始める(中学校での壮絶ないじめからの逃避願望もあった)。NHKラジオ講座、文化放送「百万人の英語」、FEN(在日米軍ラジオ放送)、アメリカ映画、アメリカの十代向け雑誌など。フツーの公立中に通いながら、中2で英検2級。高校は海外帰国生が全生徒の3分の2という私立高校(ICU高校)で、アメリカ英語の洗礼を受ける。帰国生に負けまいと英会話スクールに通う。高2で英検準1級。高3で英語の先生に帰国生と間違われて内心ガッツポーズ(笑)。大学(ICU)で英語専攻。英会話スクールにも同時に通う。大学2年で英検1級。アメリカ人の教授について卒論も英語で書く。アメリカの大学院に1年在籍、アメリカ史を専攻して挫折して帰国。高校の英語教員になり、25年。その間、TOEIC 980点、通訳ガイド(通訳案内士)、TESOL(英語教授法)修士号(Temple University Japan)を取得。NHKラジオ講座は中学生以来、時々ブランクはあるけれど、聞いている。今は、アメリカのリアリティ番組にドはまり中。Podcast も好き。
「ネイティブライク」という言葉について… native-like という形容詞で、「ネイティブ・スピーカーではないけれど、それに非常に近い」という意味です。
「ネイティブ・スピーカー」という概念について… 応用言語学者の中には、ネイティブ・スピーカー至上主義(native speakerism)を批判する人も少なくありません。私も、ネイティブ・スピーカー至上主義は支持しません。私がこの記事で「ネイティブライクになりたい」と言うのは、発音練習が私の趣味だからです。英語はいろんな文化的背景を持った人たちがコミュニケーションのツールとして、第2言語として使うものですから、その人たちの第1言語(母語)に影響された英語(訛りのある英語)が使われるのは当然のことです。訛りのある英語も、アメリカやイギリスのニュースキャスターが使う英語も、言語として優劣は無いと考えています。世界には、native speaker の英語教師よりも non-native speaker の英語教師の方が、はるかに数多く存在します。私もその non-native speaking teacher of English であることを誇りに思っています。