サスペンス優勢になりつつある?/金曜ドラマ『100万回 言えばよかった』
今日は、TBS金曜ドラマ『100万回 言えばよかった』について。
ドラマの事前情報を知って、「これって“ゴースト”じゃん」と思った人が多かったのではないか。1990年に公開された映画『ゴースト/ニューヨークの幻』のこと。暴漢に襲われて亡くなった恋人が、ゴーストになって彼女を守り抜くあの映画である。
(以下、ドラマの内容を含みます)
ドラマは3人の登場人物を軸に進む。突然恋人を失った主人公・相馬悠依を井上真央さん、幽霊になった恋人・鳥野直木を佐藤健さん、直木が視えてしまう刑事・魚住譲を松山ケンイチさんが演じている。
タイトルからして、豪華キャストによる恋愛ドラマで泣かせようとしているのか? と穿った見方をしてしまう。ゴーストという既視感もあり、ラストもなんとなく予想できそう。でも脚本が安達奈緒子さん、しかもTBSの金曜ドラマだし。入口付近をウロウロしながら、店内を様子見する。初回はそんな感覚の視聴だった。
第1話では、魚住を通して、早くも悠依が直木の存在を知ることに。どうやらそこが肝ではないようだ。切なくも思い合う2人と、真ん中にいる魚住の人柄がよく伝わる初回だった。ぎぼむすファンとしては、魚住とのやり取りで、男前な直木がときどき麦田っぽく見えてくるのもツボ。だが、直木はある事件に巻き込まれた可能性が高く、物語はサスペンスの匂いを漂わせる。
現在の2人(あの世とこの世)をつなげられるのは、今のところ魚住ただ一人。松山さんの佇まいと、役柄のバックボーンとしてある「寺の息子」(姉役が平岩紙さん!)が一致したし、直木が体に乗り移ったときの目線や声に惹かれて、第2話は半分魚住見たさに視聴した。この難役……。演技のことはわからないけど、彼は役が憑依するタイプだなあと改めて感じた。
魚住から見れば、悠依と直木は仲睦まじいどこにでもいる恋人同士。カメラは、魚住・直木の目線と、悠依・その他大勢の目線の両方を捉える。コミカルに描かれているにも関わらず、直木のいる空間が次第に大きな欠損のように思えてくる。
第3話では、直木の冷たい家庭事情が両親によって語られ、幽霊の彼自身が傍でそれを聞いているという辛い展開に。悠依は彼への気持ちを新たにし、見えない直木へまっすぐに思いを伝える。家族の愛情を得られなかった彼にとって、無条件に自分を受け入れ愛してくれる悠依の存在はどんなに心強いだろう。彼女の独白によって、温もりに包まれた喜びと、「こんなに愛されているのに、幸せにしたいのに、なぜ自分は存在しないのか」という哀しみが、同時に彼を覆っているように見えた。
次回予告では、さらに事件の真相に近づく模様。行方不明状態の直木が、ようやく発見される、かも? それとも予告はミスリード? 回を重ねるごとに、サスペンス要素が強くなっていく。直木に、死んだときの記憶がないのも少し気になる。そして今気づいたけど、馬、鳥、魚と、メイン3人の名前に動物がついているのも何かあるのだろうか。
個人的に、キーマンになりそうと予想しているのが、インパルスの板倉さん演じる幽霊の先輩・樋口と、荒川良々さん演じる「ハチドリ」のオーナー・池澤。
事件の真相を求めて動き出す3人に、樋口はどこかで大きな助け舟を出す役割なのではないかと、期待している。いつも目の覚めるようなイエローの上着姿なのに、基本誰にも気づかれない存在の樋口。あれ?そもそも幽霊は着替えないのか? 直木も、回想以外は同じ洋服で登場する。「佐藤健×タートルネック=最強」伝説が理解できる装いで。
一方の池澤は、ゴースト路線でいくと、直木に手をかけた犯人ではないのかと思ってしまう。良々さん、いつも怪しいからつい疑ってしまうの、ごめんなさい。
それにしても、皆さん感じているようだが、今季はこのドラマをはじめ、『ブラッシュアップライフ』や『6秒間の軌跡』と、生き直したり幽霊が出てくるドラマが多いな……。
#テレビドラマ感想文 #スキしてみて #100万回言えばよかった #テレビドラマ #ドラマレビュー #TBS #井上真央 #佐藤健 #松山ケンイチ #俳優 #エンターテイメント #コラム