信頼を深めていく主人公たちの日々/ドラマ『日曜の夜ぐらいは…』第7話・8話
どうか、みんな幸せになってほしい。
ただただ、それだけを願って日曜にこのドラマを観ている。
(以下、ドラマの内容を含みます)
「とにかく3人を見守る」という視聴者の使命感
初回を観終えたときから「彼女たちが幸せになるのを見届けたい」という気持ちが、フツフツと沸いてきた。このドラマを観続けている多くの人が、そう思っているのではないだろうか。
彼女たちがワクワクしながらカフェ開業の準備をしていることや、老いた富士子がこれまでを吹っ切って孫と東京に出てきたこと。さまざまなシーンが、「何者にもなれない自分を卑下しなくていいのかも」「幾つになっても友だちはつくれるのかも」と、老いた私に小さな希望を持たせてくれる。家族との関係や生き方に悩む主人公たちに、自分を重ねて観ている。
本来の自分を取り戻したサチが守りたいもの
サチは、バイト先の人手不足によって早朝から夜まで働きづめに。でも怪しい雲行きは一瞬だった。仕事をこなしながら田所に語るシーンを観て、胸がいっぱいになった。仕事面では尊敬していること、働く場を守ってくれて感謝していることを田所に伝えた彼女は、また一歩前に進んだ。
だから余計に、金の無心に来る父親には「サチをそっとしておいて」と切実にお願いしたくなる。尾美としのりさんが演じる父・博嗣は、のんびり構えているのに妙に怖い。そして実に癪にさわる(笑)。次週は邦子が博嗣と対峙するようなので、決着がつくことを期待しよう。
開業の準備になかなか参加できないサチが、みんなへのことばを若葉に託した第8話。人生を諦めて生きてきたのに、今は自ら翔子や若葉、みね、邦子や富士子に、カフェオープンに向けてのミッションを与えるまでに。
家族がいながらも孤独な翔子。奔放な母親から逃れられない若葉。自身が娘の人生の足かせと感じている邦子。これからの生き方に迷う富士子。周りと馴染めずに生きてきたみね。そんな仲間たちに、サチは居場所をつくったのだ。
信頼することは頼ることでもある
翔子へのミッションは、引っ越してくること。ガサツで明るく見える翔子だけど、本当は繊細でビビりなことをサチは察していた。翔子を1人にさせない。サチがかつて親友を拒絶したことを思い出した。
人に頼るのは、くすぐったいし変なプライドが邪魔して案外難しい。けれど3人を見ていると、大人になっても誰かを頼ってもいい、つらいと肩にもたれ掛かってもいいのだと、改めて気づかされる。
それにしても、全員同じ団地に住むなんて。3人川の字で寝ているのが微笑ましい。彼女たちが集う場所は、昔ながらの古い団地。そして、手づくりのカレーの匂いがする。
例え大金を手にしても、もし一人だったらそんな風に考えただろうか。サチが若葉に語るこのシーン、めるるちゃんの表情が本当にいいので、もう一回観たい。
「何も起こらないで」と願いながら
カフェ開業の準備は着々と進む。大きなことは何も起こらないのに、ずっと観ていたい。むしろ何も起こらないから、ずっと観ていたいのか。そこが不思議なドラマである。
台風の目だった若葉の母・まどかは、まんまと富士子の嘘に引っかかり、2人の行方を知る術を失くした。「自分を訪ねて女性が来たら、この住所を教えてほしい」。富士子のことばで事情を察した幸田さんは、本当にいい人。前回観たときには、「え、住所教えちゃうの!?」と慌てたが、今度こそ若葉を守ると決心した富士子に軍配があがったようだ。これであの毒親が諦めるとは思えないので、最後まで気が抜けないけど。残るはサチの父・博嗣。いつの間にか仲良くなっている田所、頼むよ田所!
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