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わんこ度120%!子犬のような北村匠海/ドラマ『星降る夜に』

今期のドラマの中で、けっこう期待していたのが『星降る夜に』だった。

(以下、ドラマの内容を含みます)

吉高由里子さんと大石静さんのタッグと言えば、イケ佑を生んだ『知らなくていいコト』や来年の大河ドラマ『光る君へ』である。これは期待していいのでは? そう思って初回を観たら、「いやいやいやいや、あり得ん。ソロキャンプで、そんなことあり得ん」とツッコミまくってしまった。

離脱するか悩みながらも、引き続き第2話を鑑賞。産婦人科医と遺品整理士、命の始まりと終わりに携わる2人という点には興味がある。もともとドラマで遺品整理士を取り上げたのは、高畑淳子さんの2時間ドラマだった気がする。これを観てから、遺品整理や孤独死についてのドキュメンタリー、あるいはコラムをよく見たり読んだりするようになった。加えて昨年は、お兄ちゃんの桐谷部屋事件……。そのため、ドラマのメインテーマとは違う側面も気になっている。それぞれの職業が、やがて2人を引き裂くのか、それとももっと強く結びつけるのか。どっちなのだろう。

第2話の終盤になっても、「うーん、来週観ようかどうしようか」と、まだ悩んでいた。ところが……。雪が舞う踏切で「雪 宮 鈴 好きだ」と手話で伝える、灰色の目をした子犬のような男の子に、私は完全に心を持っていかれた。

やられた。
大石静マジック。
このシーンのために、主人公の名前は「雪宮鈴」に決まったんじゃなかろうかとすら思った。

大石さんのドラマは、今までそうでもなかった(失礼!)男性俳優を輝かせることが多い。『セカンドバージン』の長谷川博巳さんもそうだった。『和田家の男たち』では、私の中で段田安則さんのイメージが変わった。

北村匠海くん。歌もうまくてお芝居もできる。映画にもドラマにもたくさん出演しているのだけど、そこまで強くひかれることがなかった。しかし、これは……やられる。

北村くんが演じる柊一星は、音のない世界を生きている。遺品整理士として働き、お客さんとはタブレットで会話する(世の中、便利になった)。ときにおせっかいをやき過ぎて、失敗することも。自由でまっすぐでやさしくて、強い。このドラマには、「耳が聞こえないことを、特別に意識しない、させない」と言うと語弊があるかもしれないが、そんなメッセージがあるように思う。聞こえないからかわいそうとか気の毒だとか、泣かせようとか、そういったものが感じられない。主人公の鈴も、一星に対してフラットだ。自由や強さ、素直さ……、鈴は自分にないものをたくさん持つ彼に、どんどん惹かれていく。

第3話、2人はつき合うことになるのか? と思いきや、鈴の返事は「ステイ」だった。

ステイ!!

そんな2人に、ポンコツ新米産婦人科医で、実は深く悲しい過去を持つ佐々木深夜(ディーン・フジオカさん)が加わって、恋の大三角形ができそうな予感である。

第3話のラストでは、おおおお、ステイ返し。……からの、おでこキス。吉高さん×北村くんだから可愛い。

この盛り上がりに、わが家では大歓声。一方で、2人を見つめる人影が不穏で仕方ない。どう考えても、あれは鈴の医療裁判の相手ではないのか? エンドロールでは伏せられた名前。誰が演じるのだろう。安定の尾上寛之さんとか水橋研二さんとか? いや、もっと若ければ泉澤くんとか(『アンナチュラル』のイメージ)、重岡くんとか(『知らなくていいコト』の野中は不気味だった……)。楽しみだと思いつつ、これまでの大石さんの作品から考えると、最終回がこわい。ああ、わんこ一星を最後まで観たい。観ていたい。


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ぶんぶんどー
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