合理的配慮(reasonable accommodation)国際的定義
注釈
国際的な合理的配慮
障害者が、社会の障壁なく生きられるように、また、障害の有無に関わらず共に社会で生きられるように、国際条約である「障害者の権利に関する条約」が締結されました。
この条約は、ニューヨークで発行され、現在の批准国は、185カ国になります。
国による国内法の差があると思いますが、185カ国において、この条約の定める障害者の「合理的配慮」を認めています。
日本では、この条約に沿う形で、公共機関、民間企業などでの合理的配慮が義務化されますが、この条約の定めているところは、障害者を含めた共生社会の実現であって、個人は、合理的配慮をしなくて良いということではありません。
国よって国内法はさまざまで、日本の障害者の権利に関する法律よりも厳しい国内法を定めている場合もあります。また、憲法において、条約は、国内法よりも上位に位置する取り決めと見なされています。
「合理的配慮」は、国際的な取り決めで、行政、企業に関わらず、個人としても、国内外で社会的な活動をする上で、知っておくべきことになります。
「合理的配慮」とは
この条約にて、障害者への「合理的配慮」が定められています。「合理的配慮」は、本条約の日本語翻訳において、下記のように定められています。
「合理的配慮」という言葉ですが、条約の英語では、「Reasonable accommodation」に当たります。「accommodation」という言葉には、実は、日本語の翻訳にあたる配慮という意味合いがありません。
条約でも定義されているように、「必要かつ適当な変更及び調整」が、「accommodation」に当たると考えられます。「accommodation」の意味にも調整という意味があります。
日本語の配慮という言葉には、心配りであったり、気遣いであったり、という意味合いが含まれますが、条約上、気持ちの上での問題ではなく、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整」になります。
社会で、障害者が障害のない方々と共に暮らすために、調整や変更が必要な障害となり得る障壁に関しては、下記で紹介しています。
合理的配慮(Reasonable accommodation)の概要の条約文。
合理的配慮の具体例
合理的配慮は、障害者の多様性、それによる社会的障壁の多様性、具体的な場面や状況などに応じて異なります。合理的な範囲内で柔軟に対応が必要なもので、一様のものではありません。
下記は、内閣府のホームページに上げられている合理的配慮等具体例です。
参考事例集は、合理的配慮や不当な差別的取扱いの具体例だけではなく、いわゆる事前的改善措置・環境整備にあたる内容も含んでいます。
・車いす利用者のために段差に携帯スロープを渡す
・筆談、読み上げ、手話などによるコミュニケーション、分かりやすい表現を使って説明をするなどの意思疎通の配慮を行う
・実物、写真、絵などの視覚的に分かりやすいものを用いて説明する
・書籍やノートなどを用いた読み書きに困難があるときには、タブレットなどの補助具を用いることができるようにする
・継続的な通院や服薬が必要なときには、休暇や休憩などについて配慮する
・情緒不安定になりそうなときには、別室などの落ち着ける場所で休めるようにする
ユニバーサルデザイン
「ユニバーサルデザイン」とは、最大限可能な範囲で、全ての人が使用できるデザインです。
形のある製品だけではなく、環境、教育、サービスなど全ての分野にユニバーサルデザインは関わっています。
年齢、性別、文化、身体の状況など、人のもつさまざまな多様性に関わらず、誰もが利用しやすく、暮らしやすい社会を作っていくためのデザインです。
一方で、障害者の必要な補助器具など、特定の方々のためにデザインされるものもあります。「ユニバーサルデザイン」は、障害者の必要な補助器具を排除するものではありません。
このデザインについての定義が、「障害者の権利に関する条約」でも定められています。
はじめから障害のない社会作りも大切です。
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