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死による復讐

物心ついた頃から、私はこう思うことがあった。

わたしがしんだら、お母さんは悲しんでくれるかな
わたしがしんだら誰か悲しんでくれるかな
わたしがしんでも誰も悲しんでくれないか…

自分がこの世から居なくなった状況を思い描き、頭の中で涙する両親に

ざまあみろ、と何度嘲っただろうか。
私を大切にしてくれなかったくせに、と憎しみが湧く。
頭の中で涙する人の姿に、少しだけ胸のすく思いがした。

実際は誰も悲しんでくれないかもしれない。
それでも、少しの間くらいは誰かの心の中を占めることができる、なんて考えてしまう。

自分の価値を他者の中に見出したい、その気持ちもあるのだろう。

そんな事したって、私の根本的な幸せには繋がらない、それは分かっているけれど、この思考の癖はなかなか抜けない。

考えることも、感じることも面倒くさくなるとき、やっぱり感じてしまう。消えたいな、居なくなりたいな、と。


私はずっと自分の死で復讐したいのかもしれない。

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