時にはシネフィルな夜「ジャドヴィル包囲戦 6日間の戦い」
昨夜観たのは、アイルランドと南アフリカ共和国という珍しい組み合わせの合作映画。
アフリカで60年代初頭に起きたコンゴ動乱を舞台とした実話を元にしています。
日本に落とされた原爆の原料となったのもコンゴのウランということで地下資源に対する米ソ冷戦の駆け引きを背景とした前大統領暗殺からの内政の混乱を収めるため国連平和維持活動軍として派遣される実戦経験のないアイルランド部隊150名。そこへ分離独立派の指導者が現地軍を手練れのフランス傭兵に指揮させて急襲をかけます。
資源をめぐる大国の駆け引きや国際政治で影響力を誇示したい国連事務総長の思惑も絡んで、弾薬も乏しい中、アイルランド軍は20倍の敵兵力に囲まれ八方塞がり孤立無援の状況。
この状況を如何に切り抜け生き残るか? さすがにこれは諸葛孔明レベルの軍師でも無理ゲー?
実は、オチを書きたくてたまらないのですが、本作は観終わるとジワッと来る印象でした。個人的には邦画の「キスカ」に近い感覚。
今も続く国連の軍事介入のつまづきの始まりからコンゴ動乱の経緯など、史実の学び直しとしても貴重な内容。現場の兵隊さんはいつの時代も内外政治の犠牲となるのか? 危機的状況で指揮官の下すべき決断とは? 変わらぬ深く重いテーマです。
最後に誤解もかまわず言い切りましょう。
これはとてもいい戦争映画です。
ウイスキーがあればまだ戦える…は、アイルランドらしい、いいセリフ。
https://eiga.com/movie/86046/