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心の底まで響く曲「手紙〜親愛なる子供たちへ〜」|エッセイ
静かな真夜中。
泣き止まない息子を
あやしていました。
握った小さな手で、
一生懸命何を訴えているのか、
寝惚けた頭では
全くわからないまま。
真夜中に聴くFMラジオ。
なるべく穏やかな番組を選んでいました。
曲が、流れてきました。
ギターの弦を軋ませながら、一つひとつ、
語りかけるようにつぶやく
男性の歌声。
思いもよらず
耳をそばだてて
聴き入っていました。
わが子を抱いているのも忘れて。
涙が、あとからあとから
溢れてきて止まりません。
赤ちゃんを抱きながら、赤ちゃんより嗚咽するなんて、
普通じゃない。
認知症でまともに話せなくなった
母の声、母の顔が、
間近に在るような
気がしました。
***
” 年老いた私が、ある日 今までの私と違っていたとしても
どうかそのままの私のことを理解して欲しい
私が服の上に食べ物をこぼしても、靴ひもを結び忘れても
あなたに色んなことを教えたように、見守って欲しい … “
***
これは、母だ…
…そして、これは私だ。
もちろん、認知症になるかどうかは
分からない。
でも、年齢なりに、
身体は弱っていくかもしれない。
もし、母のように
何かを伝えられなくなったとき、
子供たちへ自分の愛を告げるには
どうしたらいい?
抱えられないくらいの感謝を、
どうやって表すの?
温かい赤ちゃんだった
娘や息子を抱いていて、
嬉しくてたまらなかった。
そんな気持ちが
迷子になってしまう前に、
いったい何を用意しておくの?
たくさんの疑問が
浮かんできたけれど、
はっきりした正解は、
まだ見えていません。
ただ、文章として残すことは
出来るかもしれません。
no+eなら、歌なども立体的に
添えることができます。
思いがまだ熱いうちに。
***
生命は、
巡ります。
芽が出て、茎が伸びて、
花が咲き、また枯れていきます。
新しく芽生える種に、
次の世界を託すために。
太古から続くその流れに、
誰も抗うことはできません。
それでも、
生きた証を残したいから
歌や、ことば、
あるいは建築など。
総てのものに、
自らを預けているのかも
しれません。
今日の歌は、ポルトガル語で書かれた
“詠み人知らず”の詩なんだそうです。
音楽、そしてno+eとの出逢いに感謝。
***
✢ 心の底まで響く曲 ✢
“手紙”
〜親愛なる子供たちへ〜
樋口了一
(CMご容赦下さい。)
***
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***
✢母について。
🌟I am a little no+er.🌟
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