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【詩】君が前を向くために
「あの人が悪いわけじゃない
誰も、悪くはない」
つぶやくようにそう言った君の言葉
自分を傷つける者さえ庇ってしまう君
僕は「そうか……」と返事をし
やり切れない思いで鉛色の空を見上げる
君は自分に優しくするのが苦手だから
傷つけられても
相手の事情や内心を思い量って
自分の思いを飲み込んでしまう
でも僕には見えるんだ
君の中にわだかまった悲しみが
じわじわと君を苦しめ苛むのを
どんなに時計の針を巻き戻したとしても
同じ場面で君は同じことをするだろう
どんなに時計の針を先へ進めたとしても
その痛みはなかったことにはならないんだ
どうやったら君は笑えるだろう
伝説に謳われる忘却の川の水は
君の悲しみを消し去るだろうか?
伝説に謳われる聖者の光は
君を苦しまない道に導くだろうか?
僕にはそんな特別な力はない
特別ではない僕だから
君に特別なことはできない
「つらかったね」、「頑張ったね」と
寄り添い慰め労わること
「泣いてもいいんだよ」と
安心できる居場所になること
僕にできるささやかなことが
君が前を向くための力になればいい
少しだけ明るさを取り戻した雲の隙間から
地上に光が射すのを
君と僕は見ていた
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![瑳月 友(さづき ゆう)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/49011500/profile_4e4d12eb28b8c6f397684f4941e813ee.jpg?width=600&crop=1:1,smart)