【掌編小説】勘違い
密かに好意を寄せている人から、バレンタインデーにチョコレートをもらったら、大抵の人は大喜びするだろう。
僕もその点に関して半分は同意する。
あと半分は……疑いを持つ。どの程度の気持ちなのか、と。
と言うのも、僕がもらったのは明らかに義理チョコっぽいものだったのだ。
谷口弥生さんは、僕が勤める会社の2年後輩で、隣りの部署に所属している。
笑顔がかわいらしく誰にでも親切で、多くの同僚から慕われている。
“堅物眼鏡”と揶揄される僕にも、丁寧な物腰ながら親しく話しかけてくれ、僕は彼女に密かな好意を寄せていた。
ここから先は
2,277字
/
4画像
¥ 300
この記事が参加している募集
サポートしていただけたら嬉しいです。いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます。