すべてのLCC被害者とお互いの傷を癒しあいたい|Essay
私は今ダークサイドにいるのでご注意あれ。
台湾の桃園国際空港で沖縄への帰国便が大幅に遅延した。3時間経ってはじめて「あと1時間」という連絡があった。5時間経ったら欠航が決定した。フライト時刻の2~3時間前に天候が急変したこともあって、理由は悪天候に伴う到着機遅れかと思っていたが(確かに遅れはした)、「乗員繰り」という公式発表があった。
航空会社はPeachだったのだが、ここでは個別攻撃はやめ、LCC(ローコストキャリア)共通の問題として扱うことにする。本格的に愚痴を言う前に、LCCのデメリットを整理しておこう。
①サービスの犠牲
LCCは低価格を売りするが、そのためにサービスの質が犠牲になる。
②欠航時の対応の不足
LCCは欠航時に他社便への振り替えやホテルの提供を原則として行わない。乗客は自分で代替便を探す必要があり、原則、自己負担である。
③安全性への懸念
一部のLCCは安全性に問題があると乗客から不信感を抱かれている。
①はいい。たいした問題ではない。③に該当するなら乗らないのが賢明だ。
問題は②だ。
たとえLCCの不手際が原因で欠航しても、他社便への振替は行わない、別便の代金も補填しないなんて傲慢すぎる。海外のLCCでは、スタッフの対応が悪い場合だと、払戻し手続きすらスムーズにいかないことがあるようだ。もちろん臨時便を飛ばすことなど冷徹にしない。「私たちはこんなビジネスモデルです」って開き直っている。だがそれでいいのか?
今回は予定時刻から5時間以上もひっぱって欠航を決めた。もっと早くそうしとけば、MRTに乗って街に帰り、ホテルが探せたのに。
免税品を買った人なんか、返品させられていた。すごい手間と労力が無駄になったのだ。また、何が起きてるのかわからない人もいて、対応にムラが生じていた。「知らない者勝ち」みたいな意味不明な現象だ。
このカオス状況に対して、日本語の説明もなかった。半分は日本人乗客だったのに、だ。神経を研ぎ澄まし、なんとか「・・・has been canceled」というフレーズを聞き分けたとき、多くの人はまだ列に並んだままだった。夜も遅く、日本語ができる空港スタッフがいなかったのかもしれないが、せめてリスク別に状況説明したペーパーは常時用意できるはずだ(衆人環視の中で、スタッフには過大なプレッシャーがあったと想像できるので、彼らを悪しざまに言うつもりはない)。
はじめての海外旅行らしき高校生の団体や、有休消化らしき家族ぐるみグループも多く、とんでもない額の出費を強いられたことだろう。なぜなら、スマホでみる予約サイトの帰国便が秒刻みで高騰していったからだ。
私自身は、なぜかチャイナエアラインの予約サイトから弾かれたため、翌日関空経由という、ツララを逆さにしたような鋭角三角形の遠回りで帰沖するハメとなった(直行便なら2時間弱)。何人かは見知った顔があって、同じ選択をしていたようだ。
ざっくり計算すると、この代替便に5.9万円かかり、戻ってくるのは元の復路の払い戻し1.3万円とピーチポイントの0.8万円なので、差し引き3.8万円と丸1日の日給分が赤字となる。これを「授業料と思いなさい」というのがLCCの言い分だろう。だが、二度目が起きない保証などどこにあるのだ。こちらサイドで改善できる余地がどこにあるのだ。
「もうLCCなんか乗らない」と宣言したい。けれど、日本経済の失墜にあえぐ一般庶民なのでそうもいかない。ここは気持ちを折半して、できるだけ乗りたくないという帰結にしよう。私だけでなく、先の高校生も家族グループも「こんな航空会社もう選ばない」と漏らしていた。LCCのお偉方は、指と指の間をすり抜けるように顧客を失っていることに気づかないのだろうか?(そのぶん親会社に客が流れてホクホク顔だとか、LCC同士で高値の販売機会を融通しあおうぜとかだったらボコる)
これからはLCCほど安くないけど、LCCのような人でなしではないMCC(ミドルコストキャリア)だ! スカイマークだ! ソラシドエアだ!
今回のLCC欠航による被害状況のまとめ
欠航を決めるのが遅く、空港で徹夜するハメになる。
免税品を返品するというクソ手間がかかる。
日本のLCCであっても日本語の説明がなく、ストレスがたまる。
代替便の予約も支払いも乗客任せで、差額に大きな出費を強いられる。
代替便の移動で1日つぶれるだけでなく、諸々の手続きの手間がかかる。
これからLCCをポチる際にこのトラウマにさいなまれる。
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