第1章#9 いよいよ会議を減らす
もくじRemake『ホワイトな学校へ』
(約3000字)
まず、9月に、先生方にお願いしたこと
それは、次年度から、「すべての分掌を、校長が決める」ことを、了承してくださいということ。
そのかわり、会議の回数や分担の煩雑さを解消して、先生方の負担を軽くすることを約束する、ということ。
すでに職員会議がなくなって、実際に負担軽減ができていたこともあり、さらに軽減されるならいいよ、と皆さんに快諾していただいた(と思う)。
もし、腹の中では不満を持っている人がいたとしても、本当に負担軽減ができれば納得してくれるはず。
はて?分掌は先生たちが話し合って、自分たちで決めればいいのでは?
なぜ、任せられないの?
自分のやりたい仕事ができないの?
では聞くが、自分たちで決めることが、本当にいいことなの?
私が教員になった頃には、4月になってから各島の先生方で話し合って分掌を決めていた。
一見民主的のように見えるが、仕事が偏る大きな要因になる。
容易に想像できると思うが、気持ちがやさしい人、自己主張ができない人が、なんとなく大変な仕事を引き受けてしまうのである。
また、会議が増える大きな要因になる。
私が校長として着任した年は、4月に新年度が始まるとすぐ、
①学年会・島(低学年・中学年・高学年・専科)で話し合って、常置部会、四委員会を誰が担当するか決めていた。
②それぞれの部会で集まって、そのメンバーで長を決め、部内の分担を決める。
③それぞれの委員会で集まって、そのメンバーで長を決め、部内の分担を決める。
④各教科の引継ぎをする。
⑤教務事務の引継ぎをする。
と、延々と会議が続いていた。
新学年が始まって、子供たちのための準備をしたいのに、会議、会議…では実に時間の無駄である。
そして、校長が決める最大の理由は、
校長には、計画的に人材育成をしなければならない責務がある
から。
管理職の仕事として大きな比重を占めるのが、人材育成。
例えば、初任者が着任したとして、同じ学校にいられるのは6年間。
その6年間で、すべてとはいかなくてもいくつかの仕事を経験し、どれを任されてもある程度はできるようにして、次の学校に送り出さねばならない。自分の得意分野などもわかってくると、今後の進むべき方向性が見えてくる。
中堅の先生であれば、今後のキャリアアップを見据えて、いずれの分野でスキルアップしていくのかを考慮し、その力を伸ばしていかなくてはならない。
また、校長は、学校における教育活動全ての責任を負う。
その覚悟をもって日々の仕事に臨んでいる(そうは見えないかもしれませんが、そうなんです!)。
自分が責任を負うに足る人的配置は、やはり自分自身で行いたい。
ただし、先生方の前向きな希望は極力聞く。
前向きな希望とは、「◎◎を担当したい」というもの。後ろ向きな希望とは、「××はやりたくない」という類のもの。
自己申告書(先生方が毎年、自分の目標設定を書く用紙。そこに、次年度の希望を書く欄がある。)に書いてもらい、それを元に一人一人と面談をして管理職の育成計画と本人の希望をすり合わせるのだ。
こうして、着任した翌年からすべての分掌を校長が決めた
しかしこれは、実際、至難の業。
先生方の前向きな希望を生かしつつ(といっても、幸いなことに一任してくれる先生が多いのだが)、まず、学年配当を考えながら、育成計画を考慮していく。
部長・委員長を決め、しかも、先の部会・委員会に各島から一人ずつ入るようにせねばならない。詰将棋、いや、数独か?
パズル系が大好きな私でも、数か月は悩む。
1校めは、1学年につき3学級ベースだったので比較的組みやすかったが、2校めは、1学年2学級ベースなので、手詰まりになる。
どうしても希望に添えない場合は、個別に相談させてもらうこともある。
そして、異動も絡んでくる。
どのような人が来るかわからない状態で、大まかな分掌を決め、新たに異動してくる先生方と3月半ばに面接したあとに決心して、3月の修了式の後に、次年度の人事を発表する。
では、いよいよ、
会議を減らす、その秘策とは・・・
常置部会と四委員会のメンバーを同じにすること。
え、なんだ、そんなこと!
常置部会=研究推進・生活指導・特別活動・体育
四委員会=学力向上・特別支援・情報教育・健康
このメンバーを、研究推進=学力向上、生活指導=特別支援、特別活動=情報、体育=健康、とする。
こうすれば、毎月2回設定する会議を、1回に減らすことができる。
だったら、中身も合わせてしまえば、と思うだろうが、それをやらないのがみそ。中身は分けたまま、部長と委員長を違う人にする。
長一人当たりの管轄は狭い方が徹底できる。
実は、仕事の量も部会・委員会で差がある。
統合してしまうと、そのあたりがうやむやになるので、統合しない方がいいのだ。
そして、忘れてはならない・・・
会議時間を短くすること
ここで、問題になるのは、会議の回数を減らしたとしても、その分時間が延びたらたら同じだということ。
そこで勤務校では、企画会と同じように、すべての会議時間を15分に設定した。
15:30~45または、16:30~45のいずれかで行い、休憩時間には設定しない。
しかし、担当者が何も準備をせずに部会・委員会に臨み、「どうしましょうか・・」から始めたら、いくら時間があっても足りない。
これについては、それぞれの部長・委員長が少し気をつけることで、解決できる。
それは、進行管理と検討事項の焦点化である。
職員会議のスリム化で述べたように、大幅に変更するのでなければ、実は確認すべきことは多くない。
部長・委員長が担当者に準備させ、担当者は、どこを検討するか明確にしておけばよいだけだ。
仮に、大幅に変更したい場合でも、担当者がそれなりの資料を準備しておけば、そして職員会議のスリム化で述べたように、根回ししておけば、部会・委員会自体は時間をかけずにすむ。
実際は、15分で済まないこともあるし、1回では終わらないこともあるようだが、その時は、「すみません…」と、お互い気を遣いながら集まっている。この、気遣いが大切。
「お互いの時間を無駄遣いしない」その心がけが、時間短縮につながる。
逆に、話し合うべきことがないときは、行わなくてもよい。
さて、残った特別委員会は、シーズンものなので毎月1回の枠は一応取ってあってもオンシーズンでなければ行われないこともある。もちろん、すべて会議時間は15分の設定である。
入学と卒業は、いずれも主に2学期後半から3学期。担当者は完全に分かれている。
体育的行事は運動会のことで、主に1学期。常置部会の、生活指導部と体育部が担当することにした。
文化的行事は、いわゆる音楽会・学芸会・展覧会のことで、地区によって違うが、概ね毎年ローテーションでこの内の一つを行っていて、主に2学期。常置部会の、特別活動部と研究推進部が担当することにした。(この文化的行事、結構な負担感の元なのだが、実はこれも改革した。この話は、また別の機会に!)
メンバーがかぶっていないので、毎月の常置部会・四委員会のとき、同時に行うこともできる。
斯くして、会議の回数、時間の半減は実現できました。実現させるためには、校長として着任した1年めが勝負です。
先生方の負担を減らすために、ものすごく努力しているように思えたかもしれませんが、それが校長の仕事なのだと私は思っています。
参考までに、6月の予定表
「校内会議・出張会合・研修会」の欄をご覧ください。
区教研一斉研と校内研究は、研修なので会議ではありません。
予定の会議が行われたとしても、中心的な役割をしている人で、月4回。
若手は、月2・3回。
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