No.53所感=^_^= ５０１円ハゲ
これから書く話は、ハゲている方に対して失礼に当たるのではないかと憚られ、下書きとして長らく眠っていました。
しかし、先日、sanngoさんの記事を読んで、背中を押されました。
考えてみれば、このお話は、ハゲに対するリスペクトです。
しかし、不快に思う方がいたら申し訳ございません。
先に、お詫び申し上げますm(__)m
事の起こり
私が夫と結婚して、数年経った頃、まだ、子供たちが産まれる前の出来事である。
夫が、近頃、左耳の耳鳴りがひどくなってきたという。
気になるので、かかりつけの医者で見てもらったところ、
「年のせいですね。」
と言われ、ショックを受けて帰ってきた。
一応、精神安定剤のようなものを処方され、あとは気にしないように付き合っていくんだそうだ。
しかし、耳鳴りはひどくなる一方。
数か月後、大きめの総合病院に行った時のこと。
夫は、整形外科にかかったのだが、大変混んでいた。
相当待たされる間、ただ待っているのももったいないので、ふと、耳鼻科に行ってみようと思ったんだそうだ。
そうしたらなんと、その耳鼻科の医者には、すぐに精密検査を受けた方がいいと言われた。
結果、聴神経腫瘍だということがわかった。
（聴神経腫瘍とは、文字どおり、脳の耳の辺りの聴神経にできる腫瘍のこと）
なるべく早く手術をした方がいいという。
頭の手術なんて、恐い。
手術をしないとどうなるか聞いてみた。
腫瘍が顔面神経に触れれば、左側の顔面が動かなくなる。さらに放っておくと、半身が動かなることもあるという。
えー！
どうする！夫Ｙ
どうするも、こうするも、手術をするしかない。
早速、家の近くの大病院を紹介してもらった。
手術の日程が決まり、入院のために病室に行くと、同じ手術をしたと思われる方々がずらりと並んでいた。
手術をしたばかりの人は、頭が包帯でぐるぐる巻き。
包帯が取れている人は、耳の後ろに、人造人間のような手術痕が見える。
中には、片側の顔面の神経が麻痺している人もいた。
夫は、もしもの時のために、遺言を残した。
この人に連絡してほしい、とか、この人にはお金を借りてるから、返してほしい、とか。
・・・それは、今すぐ返せ！
借りてから２０年も経つから、今更何でもないのに連絡しにくいんだとか。
死んだので、お金返しますと連絡するのも変だと思うが、今さらどうしようもない。
そんなこんなで、手術の当日。
開頭しての顕微鏡手術なので、１０時間位かかるらしい。
手術室に入るのを見送って、私は普通に仕事に行き、仕事が終わって病院に戻ったが、まだ、手術室から出てきていなかった。
後遺症
手術は、無事終了。（今、生きているんだから当たり前( ´∀｀ )
発見が早かったため、顔面神経にも触れずに、顔面も無事。
ただやはり、頭には、皆さんと同じ、人造人間のような手術跡が残った。
こんな感じ↓↓↓
手術で左耳の聴神経を取ってしまったので、左耳は聞こえなくなった。
左側の三半規管も役に立たないので、ふらつきもある。
しかし、耳鳴りは相変わらずなんだそうだ。
飛行機が飛んでいるような、
「キーン、ゴー」
という音が、ずっとしているらしい。
顕微鏡手術の場合、少しでも動いたら大変なことになるので、手術中、機械で頭をがっつりと支えていた。
夫は、手術後、頭のその機械で押さえていた部分がひどく膿んでしまった。
数週間後、退院する頃には、膿んでいたところも治ったのだが、新たな問題に気付いた。
その傷跡のところだけ、ハゲているのだ。
後ろから見ると、サイズからして、ちょうど５０１円のように見える。
↓↓↓こんな感じ
これじゃあ、恥ずかしくて外を歩けない・・・。
とりあえず帽子で凌ぐが…
どうする！夫Y…
お試し〇〇
当時、テレビで、お試し増毛のCMが盛んに流れていた。
これだ！
お試しに、５０１円のところに毛を付けてもらえば、解決するではないか！
早速、夫を連れてそのお試し増毛に行ってみた。
事情を話すと、お店の人は、いい感じに髪の毛を付けてくれた。
おー、これでいける。
あとは、家に帰って、周りの髪の毛と合うように、カットすれば完璧！
ありがとうございます、とお礼を言って帰ろうとしたら、
「それじゃあ、外しますね。」
え！どういうこと？
お試し増毛は、増毛した感覚をお試しいただいたら、外してしまうんだそうだ。
つけておきたかったら、１０００本単位だったか、何か忘れてしまったが、ある程度まとまった本数を買わねばならないという。
どうする！夫Y…
名案
お金を払ってそこまでやるか決心がつきかねたので、とりあえず諦めた。
そして、帰る道々、どうするか話し合った。
夫は、定期的に増毛に通うなんて、恥ずかしい。
自分は今まで、Mカットを受け入れてきたという自負がある。
だから嫌だ、という。
夫の前髪は、その頃すでに相当後退し、ナチュラルMカットになっていた。
↓↓↓こんな感じ
では、増毛は諦めるとして、帽子をかぶりづつけるか？
さすがに、仕事中、帽子をかぶりっぱなしというわけにはいかないだろう。
仮に、事情を話して許されたとして、万が一、脱げてしまったときの嘲笑に耐えられない。
５０１円ハゲを気にしていたんだ、と思われるのが恥ずかしい。
それに、暑い。蒸れる。他の髪の毛によろしくない。
だから嫌だ、という。
じゃあどうするんだ、もう、５０１円ハゲのまま仕事に行くか。
職場の人はそのうち慣れるだろうけど、行き帰りの道々で、事情を知らない人たちに毎日、好奇の眼差しで見られるのは嫌だ。
行き帰りだけ帽子をかぶるのも、いじましくて嫌だ。
という。
うーん
…
…
…
閃いた！
私は、いい方法を思いついた！
「木を隠すなら森の中」と言うではないか。
「ハゲを隠すならハゲの中」だよ。
（ちょっと、違うか？）
全部剃ろう！
かくして、夫の頭は、全体を、ツルツルに剃ってしまうことになった。
仕事に行く前の日、剃刀で全部剃った。
いい感じ。
思ったより、ずっといい。
５０１円も前髪のMカットも目立たない。
夫も、これなら潔くて、恥ずかしくないと、満足気である。
頭は、毎週日曜日に剃ることにした。
一つ難点は、週末になると、うっすらと５０１円が浮かび上がってくること（笑）。
まあ、そこは、ご愛嬌ということで
( ´∀｀ )。
数か月続けたと思うが、いつの間にやら５０１円ハゲだったところにも毛が生えてきて、「ハゲを隠すならハゲの中」作戦は無事終了した。
終わりに
その後再び、５０１円が浮かび上がってくることはない。
耳鳴りは相変わらずだが、夫に言わせれば、自分は、人生修養を積んでいるから、気にせずに生活できるんだそうだ。
ふらつきは少なくなったが、バドミントンでジャストミートできなくなったそうだ。
５０１円ハゲが治ってからは、さすがにツルツルに剃るのはやめたが、夫の髪は、常に短く刈ることにした。
バリカンを買ってきた。
長さの設定は、５ｍｍ。
床屋代もかからない。
夫の前髪のMカットはさらに進行し、以前どこまでが顔で、どこからが頭だったのか、もはや境目が分からなくなってしまった。
私は、どこまで石鹸で洗って、どこからシャンプーで洗うの？とからかうが、最近はどうも、全体を石鹸で済ませているらしい。
借りたお金は、未だに返していないらしい。
とにかく夫は、ハゲを気にせず、ハゲを隠さずに、堂々と生きている。
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