第2章#20 出会いを大切に
(約2700字)
今回から4回分は、「生活指導力」を高めるため、よりよい学級経営に役立つヒントについて紹介します。
「黄金の三日間」という言葉は、先生であれば聞いたことがある方は多いと思う。
特に小学校では、学級の基礎を作るのに大切な時期である。
何をすべきかについては、いろいろなサイトで具体的な事例が挙げられているので、参考にするとよい。
ここでは、その際先生方が心がけることについて。
出会いを大切に
4月、子供たちは、新しい担任との出会いに期待している。
学年が上がるという節目を、子供たちが変わるきっかけにしよう。
子供たちは、誰もが、よりよくなりたい、成長したいと思っている。
その気持ちをとらえて、評価する。
年度当初の学級集団は、お互いの力関係を探り合っている状態。
そこに信頼できる担任が存在することで、いい学級集団になっていく。
子供の信頼を得るためには、子供に寄り添って、話を聞くことは大切だが、迎合してはいけない。
先生が、信念をもって、ぶれないこと。
中心がしっかりしていれば、子供は自ずとまとまる。
担任が持ち上がりだったとしても、同様。
専科の授業でも、同様。
このタイミングを逃さず、よいスパイラスに入れるようにする。
生活のルール、授業規律など、最初に明確に示し、子供たちができたら、きちんと、平等に評価する。
最初からたくさんだと、先生も子供たちも大変なので、目標を示し、だんだんにステップアップしていけるとよい。
そして、最初だけでなく、それが継続できていることも折に触れて評価する。
先生自身も、継続することが大切。
とはいえ…
スタートがうまくいかない、長続きしない、波がある・・・よくあることです。
連休明け、行事の終わり、長期休業の後などを敢えて節目として、先生も子供たちも気持ちをリセットし、また、ゼロから立て直しましょう。
手順は同じです。
先生方をバックアップするために、校長ができること
先生方が生活指導をしやすくするために、私が心がけてきたことがある。
それは、4月、着任したら、まず最初に6年生を褒めること。
褒めるというより、望ましい言動をきちんと評価すると言った方が適切だ。
材料はいくらでもある。
例えば、見知らぬ私に、自分から挨拶してくれた子。
多くの子供は不思議そうな顔をして通り過ぎたとしても、数名の挨拶してくれた子を評価する。
例えば、話の聞き方を評価する。
やんちゃな数名がふらふらしていたとしても、多くのきちんと話を聞いている子を認める。
このように、当たり前の、やろうと思えば誰にでもできそうな、簡単なことでよい。
これらを、始業式の校長先生のお話で紹介する。
下学年には、6年生をお手本にするように言う。
そして、「これから皆さんの良い所をたくさん見付けて、全校朝会で紹介していきます。」と、約束する。
褒める係に徹する
実際、毎週のように、良いところを伝えていく。
たった一人だったとしても、こうなってほしいという姿を見つけたら、すかさず紹介する。
そして、そういう姿が増えたら、増えたことを評価する。
6年生だけでなく、下学年の行動も評価する。
悪さをしているところを見つけたら、緊急の場合を除いて、担任やその辺にいる職員に指導してもらう。
私は、褒める係に徹する。(いいとこ取りですみません…)
でも、この立ち位置が大切。
材料はたくさんある。
例えば、勤務していた校では、毎年5月、災害時の広域避難場所になっている公園に、全校で遠足に行っていた。
往復の徒歩での移動、公園での活動、すべて6年生の班長を中心とした、たてわり班(異年齢集団)で行動する。
果たして、進級してほんの一月程度の6年生新米班長さんが、素晴らしい力を発揮する。
道の歩き方の声かけ、低学年が楽しめる遊びの計画、くたびれてしまった1年生への励まし…大人顔負けの活躍ぶりだ。
立場は人を作るとはまさしくこのことである。
これらを、大いに評価する。
ベタな「ほめほめ作戦」です
こうやって褒め続けていると、数か月もしないうちに変化が見えてくる。
もちろん、やんちゃな子はやんちゃなまま、特別支援が必要な子は相変わらずマイペースだったりするのだが、全体が落ち着いてくる。
望ましい言動が評価されることで、そちらが正義となっていく。
べたな「ほめほめ作戦」ですか、と思われるかもしれないが、多くの人が効果を実感しているからこそ、定番の説になっているのだと思う。
Q:褒めるにかこつけて圧力をかけているのでは?
A:圧力と感じるとすればできていない数名で、多くの当たり前にできている子たちは、正当に評価された!と嬉しく思うのではないでしょうか。
Q:子供たちに、こちらの意図を見抜かれるのでは?
A:口先で美辞麗句を並べたのでは、子供たちには見抜かれてしまいます。
ですから、必ず事実に基づいて評価します。
評価された子供は、自分(自分たち)のことだとわかるので、説得力があります。
また、評価の視点がマンネリにならないように気を付けています。
学校内を歩いていれば、材料はたくさん転がっています。
先生方の週ごとの指導計画(週案)の中にも、あります。
エピソード
私がどこかに置き忘れたペンケースを6年生女子2人が見付けて届けてくれた。
名前はローマ字で小さく書いてあるだけなのだが、=^_^=の柄なので、その子たちは私のだとわかったようだ。
しばらく見つからず、困っていたので助かった。
丁重にお礼を言ってドアを閉めたら、その向こうで、小声で、「校長先生、全校朝会で褒めてくれるかな。」と言うのが聞こえた。
やはり、子供たちは、良い行動を評価されることを嬉しいと感じているのだと確信した。(もちろん、褒めた!)
中身は、このような、やろうと思えば誰にでもできる、当たり前の、簡単なことでよいのだ。
最高学年の6年生を最高にする
こうして、6年生を下学年のお手本となれるようにすることが、学校全体を落ち着いた雰囲気にする近道だ。
全職員に便乗してもらうのは言うまでもない。
そして、毎年必ず、始業式から6年生を褒める(正当に評価する)。
斯くして、毎年6年生になると、全校のお手本となれる最高学年になるという、よいスパイラルに入る。
褒められる方が、ずっと気分がいい。これだけでも先生方は、ずいぶん楽になると思う。
とはいえ…
「6年生は、こんな風には変わらないよ。」という方もいると思います。
私の場合、1校め、2校めとも、こうやってうまく行きました。
だれでも、認められれば嬉しいもの。
ダメもとで、試してみてはいかがでしょうか。
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