第3章#29 家事分担問題
(約4100字)
共働きの場合、家事の分担は必須。
私の知り合いには、月水金は夫の残業デー、火木土は妻の残業デーと決めていたり、料理は専ら夫、「夫の方が上手いので」と豪語する三児のママ先生がいたりする。
女性校長は、まだまだ少ない
学校において、優秀な女性の先生は多い。
私の仲良しの女性の校長は、皆、優秀だ。
肝が据わっているというか、芯がぶれないというか、安心感がある。
管理職に向いているであろう女性の先生も、何人も思い浮かぶ。
男性が仕事をするのは当たり前、という世の中の感覚。
その中で女性が仕事を続けるためには、やはりそれなりの覚悟がいる。
学校の女性管理職が増えてきたといっても、全校種では未だ2割程度。
女性が管理職に向かないわけではない。
結婚、出産、子育てでタイミングを逸してしまう人もいるだろうし、仕事と家庭の両立は大変そうだと感じて、なりたいと思わない人も多いのだろう。
そもそも、自分には難しいのではないかと思って、できない理由ばかりを集めてしまってはいないだろうか。
こういうのを、アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)というのだそうだ。
育児休業を、育休ではなく「育業」と略すことにしたのは画期的だが、育業を取得する男性は、まだまだ少ない。
もっと言うと、男性が育業を取得するかしないかは選択できるが、女性は絶対に産休を取らなくてはならず、その後の育業は選択できたとしても、実際のところ、産後2か月で仕事に復帰するのは体力的にきつい。
自分の子供を持ちたいと思ったら、男性には休むか休まないかの選択肢はあるが、女性には休まないという選択肢はない。
女性が、その持てる力を発揮するためには、家事、育児の「分担」「協働」は必須だと思う。
「支援」ではなく、「分担」もしくは「協働」である。
「支援」だと、あくまでも主体は女性で、「本来は女性が行うべきことを手伝っている」という感覚から脱却できない。
用語の問題だけでなく、根本的な考え方として、「分担」「協働」だ。
何人(なんぴと)であれ、優秀な力が埋もれてしまっては、社会の損失である。
我が家の場合、夫はイクメンの先駆者であったし、私が管理職選考を受けるにあたり家事は「自分がやる」と宣言はしたが、やはり、彼はどっぷりと昭和の男なので、「支援」という考えから抜けることはできなかった。
本人は、そうは思っていないと思うが…
ここでは反省を踏まえ、我が家を例に述べたいと思う。
買い物は、夫の担当
夫は、結婚するまでは、スーパーになんか格好悪くて行けるか!という考えの持ち主だった。
ここで質問。
あなたは、いったい、誰に、格好悪いと思われたくないのでしょうか?
(夫)・・・
これから行こうとするスーパーに、あなたを知っている人は誰もいません。
それよりも、買い物をすると、荷物が重いので、持ってほしいのですが!
夫の考え方はすぐに詰み、まずは一緒に買い物に行くようになった。
いざ、買い物に行ってみれば、男性が一人で買い物をしているなんて珍しくない。
自分が食べたいものが買える、お酒もたくさん買える、ということがわかり、夫は買い物に抵抗がなくなった。
子供が小さい頃は、アレルギーということもあり、成分をよく見て買えるように生協の宅配サービスを頼んでいた。
長男が小学校に入り生卵以外は気にしなくてよくなったことと、その頃、マンションに引っ越したことを機に、生協をやめた。
私としては続けたかったのだが、夫は、あの箱が嫌なんだそうだ。
「私、毎週、牛乳7本も買うの、重くて無理なんだけど。」
「買い物は俺がする。」
と夫。
はい、記録されました。お願いします。
ということで、それから買い物は、今でもずっと夫の担当である。必要なものは、メモを書いておけば、自動的に買ってきてくれる。
買い物は、面倒で嫌だ、という人ならこれで十分である。
しかし、自分の好きなものが買えないという欠点がある。
生協のカタログを見て、「これおいしそう。買ってみようかな。」という楽しみはなくなってしまうので、自分で選んで買いたい人は、宅配サービスがいいと思う。
料理は、基本私の担当
その理由は、私の方が料理がうまいから。
それに、基本、私は料理が好きなのだ。
子供たちは、幼稚園に通ったので、幼稚園の弁当は5年間作った。
その後、どうしてもできない時期、行政と教頭の7年間は、夫が担当した。
しかし、料理についての夫の考え方は、「支援」だった。
私が時間的に無理であるからやるのであって、私が休みで家にいれば、私が作る。
子供たちは中学校から私立。
私は誰よりも早く家を出るから、彼らの弁当は夫が担当することになった。
夫が作る弁当は、肉!野菜!ご飯!ドーン!!という感じで、女子である下の子にはたいへん不評だった。
私が休みの日や土曜日は、「お願いだから母ちゃん、作って…」とお願いされ、私が作った。
余談~私のご飯の作り方
買い物は夫の担当、作るのは私なので、私のご飯の作り方は、家に帰ってから冷蔵庫を見て、ある材料で作る、という、「適当料理」。
逆に、食材をきちんと買いそろえて、料理を作ったことは、ほとんどない。
これは、若かりし頃の紆余曲折時代に端を発する。
私は教員になる前、紆余曲折していた時期があった。
家では製本の仕事をしていたので、紆余曲折してぶらぶらしている私に、母から、毎日の夕食を作るようミッションが与えられ、取引先でもらった料理の本3冊が手渡された。
ただし、冷蔵庫の中にある食材で作ることが条件。
食材は、母が特売などに行って、適当に買ってきたものである。
私は、まずは、冷蔵庫の中に入っている食材を書き出し、賞味期限・消費期限等を確認することから始めた。
そして、料理の本を熟読し、メニューを考えるという日々が続いた。
どうしても必要な調味料などは、母に頼んで買ってきてもらった。
だんだん、この材料はなくてもできるとか、これに代えた方がおいしくできるとか、コツが分かってきた。
好評、不評もチェックして、おいしくする工夫を考えた。
その頃、妹が高校生でダイエット弁当を作ってほしいというので、早起きしてそれも作ることにした。
ほどなく、料理の本を見なくても、定番のものであれば、だいたい適当に作れるようになっていた。
母からのこのミッションは、本当に役に立ち、現在の私に至る。
何かがなければ作れないのではなく、あるものを最大限生かして、おいしいものを作り出す。
これって、今流行りの、プログラミング的思考では?
例えば、家に帰って冷蔵庫を開けたら、魚のアラが買ってあったとする。
他にメインとなる食材があれば、アラの味噌汁にする。
野菜の状況によって、大根等具材を増やして野菜もまかなうか、さっぱりとアラだけの味噌汁にして他にサラダ等を作るかどうか決める。
メインにするのであれば、アラ煮。
味付けの分量は大抵適当だが、最近はネットで確認することもある。(ネットって、何でも教えてくれて便利ですよね。)
汁物や野菜は、別途考える。
そして、これらを30分程度で、ほぼ同時に完成させる手順を頭の中で組み立てる。
パズルに通じるものがあり、ワクワクする。
まさに、テキシコー!
因みに、調理全体の時間短縮のコツは、使う材料は全て出してゴロゴロと床に並べておくこと。
使ったら、順次しまっていくこと。
時間がかかるものから手を付けること(例えば、このメニューならまず大根を切って水から火にかける、アラのあく抜き用のお湯を沸かす、)…という感じ。
このことを、お友達のAさんに、話したら、「えー、毎日ドキドキしませんか!」と驚かれたが、逆に、自分で食材を選んで料理を作ろうとすると、メニューから考え、必要な食材を買いor頼み…という手順がめんどくさい。
「これ」と決めてもらった方が、もはや楽なのである。
相手の仕事に意見しない、原則
トイレと風呂掃除は夫の分担。
ここで、気を付けなくてはならないのは、相手の仕事に意見しないことである。
例えば、トイレ掃除。
本人は、細かいところの汚れを気にしてきれいにしたいタイプなのだが、気が付くと、後ろ側の見えない部分に埃がたまっている。
だから、私は、時々その埃を掃除していたが、そのことは特に夫にアピールしない。
そして、自分の領域をやってくれたら、「もっとこうしてほしかった」は禁句である。
たまたま私が風呂の掃除をしたとき、「ここはこうすべき」「ここはいつもこうしている」と散々言われ、二度と夫の領域に手出しをするまいと心に決めた。
掃除をして気になる部分は人それぞれ違うのだから、自分の趣味を押しつけるのはよくない。
自分が気になるところは、黙って自分でやればよい。
夫が料理を担当していた時も、基本口出しをしない。
子供が「なんで父ちゃんの味噌汁は、大根がゴリゴリするの?」なんて発言をしたときに、「大根は水からゆでると柔らかくなるよ。」と、本当に困っているときだけ、さりげなくアドバイスする。
洗濯は?その他の場所の掃除は?
洗濯は、私の分担ではない。
基本的なやり方は、洗濯機に貼ってある。
しかし、ほとんど私がやる。
分担ではないので、皆さん、お願いベース。
どういうことかというと、「洗濯をお願いします。」とお願いされたときにやってあげる。
頼まれなければやらない、ということ。
最近の洗濯機は難しくて、夫は使いこなせないという(笑)。
長男も1回やって懲りて、その後はお願いベース。
私は、洗濯は嫌ではない。放っておく時間が長いので、ながら仕事に最適なのだ。(詳しくは、次回)
やってあげたあとの「ありがとうございました。」は、必須。
干すのは、各自。
その他の掃除は、基本自分のテリトリーをやる。
ついでにやってあげたり、お願いされたらやってあげたりすることはある。
外回りとごみ捨ては、基本夫。
読まれた方は、うまくやれてうらやましい、ウチは喧嘩ばかりしている…と思われるかもしれませんが、私としても、数々の闘争と修羅場を潜り抜け、現在の悟りの境地に至った、という感じです。
家のことは、仕事のようにはうまくいかないものです。
それぞれの得意分野、不得意分野、仕事の状況等を踏まえ、ご家族でよく話し合いをして、ご家族なりの落としどころを見つけてください。
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