第2章#26 先生方の助っ人
(約3300字)
学校では、教員だけでなく、様々な職種の人が働いている。
事務職員、用務主事、栄養士、給食主事(最近は、委託業者が多い)など、皆さんご存じであろう。
学校は、先生だけでは成り立たない。
それぞれの職種の方々が、自分の仕事に責任をもって取り組んでくれるおかげで、日々、子供たちを迎え入れることができている。
そして、皆さん、その道のプロなので、困ったときは真っ先に相談しよう。
子供たちのためを思ってのことであれば、皆さん、ひと肌もふた肌も脱いでくれる。
さて、この方々の他にも、近年、今日的な課題に対応するために、学校で働く人の職種が増えた。
特別支援教育に関わる職種としては、特別支援教室専門員、介助員。
スクールカウンセラー、巡回心理士、スクールソーシャルワーカー、こちらは複数校を掛け持ちしている。
先生方の働き方改革の一助として、スクールサポートスタッフ、教頭補佐、先生方の受け持ち時数軽減のための時間講師。
その他、必要に応じて、日本語指導員、など。
地域によって違いがあるとは思うが、先生方はこれらの職種の皆さんと協力して、また、必要なときはどんどん頼って、助けてもらったり、対応方法を学んだりしてほしい。
いくつか、紹介します。
特別支援教室専門員
特別支援が必要な子供たちへの個別の支援として、各学校に特別支援教室が設置された。
私の地区の場合、拠点校から専門の先生が週2・3日、巡回指導に来て、その子たちの指導に当たる。
子供たちは、週に2時間程度、一人一人の特性に応じた指導を受けることができる。
例えば、すぐに怒ってしまう子の場合、腹が立ったときにどのように行動することが適切かということを、実際にゲームなどをやりながら学習する。
そして、特別支援教室で学んだことを、それぞれの学級で実践する。
巡回指導の先生はその子の様子を毎日見ることができないので、普段の日は担任の先生がその子の実践を見守ることになる。
担任と巡回指導の先生をつなぐ役目をするのが、特別支援教室専門員である。
専門員は、特別支援教室でその子が学んできたことと、担任がどのように対応すればよいかを伝える。
そして、その子が教室で実践できているかどうかを確認する。
毎日のように各教室を回りながら、子供たちの様子を見守るとともに、新たに支援が必要な子についても観察する。
今や、学校になくてはならない存在だ。
実際、私の勤務していた学校の専門員S先生は、先生方皆さんから頼りにされていた。
学級が大変そうであれば、すすんでに見行き、対応してくれる。
保護者とお話をするとき、必要とあらば同席してくれて、専門家としての見解を述べ、担任の話の説得力を高めてくれる。
S先生には記録をこまめに取ってもらい、それを各担任、関係の先生(管理職も)に回覧していたので、それを読めば、S先生がどういう動きをしたか、どういう働きかけが有効か、子供の気持ちはどうだったかなどが、よくわかる。そして、聞きに行けば、詳しく教えてくれる。
本来の仕事である、担任の先生と巡回指導の先生との間もうまくつないでもらえて、本当に助かった。
放課後、S先生には、いつも先生方が群がっていた。
先生方は、子供たちへの対応の仕方などについてアドバイスを受け、いろいろな方法を模索しながら自身の力を身につけていくことで、負担感の軽減につながっていく。
スクールサポートスタッフ(SSS)
先生方の働き方改革のために、数年前から新しく導入されたスタッフである。
SSSに依頼できる仕事は、先生方の業務の補助。
私の勤務していた学校のルールとして、仕事を依頼するときは、依頼書に記入して依頼箱に入れることになっていた。
13人の学級担任に対して、週40時間程度のサポートなので、依頼が殺到して大変なことになるかと思いきや、なんとなく譲り合ってうまく機能していた。
実際に皆さんがお願いしていた仕事は、印刷、掲示、などが多かった。
掲示物の張り替えは、高学年になれば子供たちでできるが、低学年では先生がすべてやらねばならない。先生一人でやると結構な時間を取られる。
それを、SSSにお願いしておけば、きれいにやっておいてくれる。
先生方は、他の仕事に専念できるというわけ。
私の勤務校でお願いしていたSS
Sの一人、Mさんは、元幼稚園の先生なので、ただ掲示物を貼るだけでなく、かわいらしい掲示物の作成なども得意だった。
先生方からの「こんな感じ」という曖昧な注文でも、いい感じに作ってもらえた。
例えば、こんな感じ⇊⇊
もう一人は、大学生のHくん。
パソコンが得意なので、アンケートの集計や入力などの仕事を頼むことができた。
また、学校公開の受付など、空き時間の先生が担当していたことを頼めるようになり、先生方は相当楽になった。
これまですべて先生方がやっていたことを手伝ってもらえることで、実質的な負担軽減になるだけでなく、いざというときに頼める、という安心感は、負担感の軽減にもなったと思う。
教頭補佐
こちらも数年前から導入された、文字通り、教頭の補佐である。
教頭の仕事は、多岐にわたる。
役所からの文書を処理するだけでも多くの時間が取られる。
精査しない文書を学校に丸投げするのはやめてもらいたい。
本来の業務である先生方への指導育成がほとんどできないというのは、本末転倒である。
この教頭補佐には、2種類ある。
学校の管理職経験がある方、つまり、定年退職後の管理職が再就職した場合。
これまでの経験は問わない、普通のアルバイトと同様の方。
したがって、頼める仕事も学校に配属された人によって違う。
私の勤務校に配属になったKさんは、民間企業を退職されて、地区の公募で教頭補佐として働くことになった。
ご自身のお子さんが中学校の先生になって、学校の先生は大変そうだということがわかり、学校に関わることで少しでも役に立ちたいと思ったそうだ。
そのありがたい志の通り、どんな仕事でも快く引き受けてくれる。
「誰の仕事かわからない仕事は教頭の仕事」と揶揄されることもあるが、私は、それではいけないと思っている。
教頭の仕事は、職員に仕事を割り振り進行管理をすることであり、すべてを自分で行うことではない。
実際は、そうやって割り振ったとしても、調査とか、業者とか、地域の方とか、日々様々な対応がある。
本来、教頭先生には、教員の指導育成に力を入れてほしい。
人それぞれ仕事のスピードは違うにせよ、指導育成をメインにできるような働き方ができれば、先生方に管理職の魅力を伝えることができると思うからである。
そういうわけで、教頭補佐はありがたい。
教頭先生は、相当助かっていたと思う。
Kさんに学校で働くことの感想を聞いたところ、先生方がよく動くことに感心していた。
先生方の働きぶりは、民間企業の比ではないとのこと。
その他の助っ人の皆さん
学校内だけでなく、学校外にも先生方の助っ人は大勢いる。
例えば、地域の方々。
私が勤務していた学校では、読み聞かせ、図書室の整備など、年間を通して様々なボランティアをしてくれていた。
近隣町会の方々は、横断歩道で登校の見守りをしてくれた。
それから、PTA、保護者。
地域の方々と一緒に先の仕事を請け負ってくれる他、地域巡りをする際の引率の補助や、家庭科の実習の補助、補習の丸付けなど、いろいろな場面で学習を手伝ってくれた。
運動会などの行事では、お父さんたちが、テントを張ったり掃除をしたり、力仕事を手伝ってくれた。
PTAやお父さん方主催のイベントも計画してくれた。
子供たちのために、無償で力を貸してくださる方々がたくさんいる。
皆さんに感謝の気持ちをもって、ありがたく手伝ってもらうことも、大切な対応力の一つであると考える。
今の時代、それぞれの地区で、先生方の仕事の手助けをしてくれる職種はいろいろあると思います。
また、子供たちのために力を貸してくれる方々も、たくさんいると思います。
その皆さんの力をお借りして、先生方の負担感を減らし、子供たちに、100%のエネルギーで向かえるようになってもらいたいと願っています。
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