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第2章#21 これをやってはダメ

もくじRemake『ホワイトな学校へ』

(約2900字*引用部分を除く)
※この記事は新作です

前回お話したように、「黄金の三日間」にすべきことは、いいサイトがたくさんあるので、自分に合った方法を見つけてください。

今回は、「これをやってはダメ」、ということについてお話します。


学生にアンケートを取ったところ、年度初めに学級でよく行われることで、「これは嫌だった!」ということがいくつかある。
一部の学生に限ったことではなく、多かれ少なかれ同じように感じている人が多いことから、先生方は良かれと思っているが、実は子供を追い込んでいるということがある。



学級目標を、いきなり子供に話し合わせてはいけない

〈学生の声〉
・だらだらと時間ばかりかかって、どうしていいかわからなかった。
・発言力のある一部の子の意見で決まってしまった。
・一生懸命考えたのに、多数決で採用されなかった。 等々

学級目標を決める話し合いには、いい思い出はないようである。

これから自分たちが生活を共にする学級の目標を、自分たちで考えることは、子供たちの考えを尊重していて、一見いいことのように見える。

しかし、これは、時と場合による。
例えば、担任が前の学年と変わらなかったクラスで、高学年であれば、昨年度の自分たちの状況を踏まえて上手に話し合いができることもある。

しかし、先生が変わったり、クラス替えがあってメンバーが変わったりしている場合は、子供たちに一から考えさせるのはやめた方がよい。
クラスの子供たちの特性や、お互いのことをよく知らない中で、話し合いをさせるのは酷である。

では、どうするか。

〇 あとで決める
黄金の三日間にはやらないで、例えばひと月後など、後で決める。
その際、子供たちには、どんなクラスにしたいか、考えておくように投げかけておく。
また、先生としての願いを伝えておくとよい。

〇 とりあえず先生が決める
先生の理想を伝え、とりあえずそれを目標にしておき、後日(例えばひと月後)、見直しの話し合いをする。

〇 キーワードを分類しておいてから話し合う
以上、二つの場合(最初から話し合う場合でも)、子供たちからキーワードを集めるなどして、先生(または、議長団)が分類しておき、目標としてまとめやすくなるよう、下準備をしておくとよい。

分類の目安は、「知・徳・体」。
多くの学校では、学校目標が「考える子・思いやりのある子・元気な子」など、「知・徳・体」で示されている。
それに合わせるとよい。

しかし、合わせなくてもよい。
「みんな、なかよく元気なクラス」
など、先生の願いと、子供たちの願いが一つになるような、そして、合言葉のように簡単に言えていつでも振り返ることができるような言葉がよいと思う。

そして、その目標を掲示するにあたり、例えば、全員の似顔絵を貼ったり、手形を押したり、楽しい活動を協力して行うとよい。
目標を決めるのに時間をかけるより、目標に関わる楽しい活動の時間を長くとる方がよい。

係を決めてはいけない

〈学生の声〉
・誰もやりたがらない係をジャンケンで決めて、やりたくない係になってしまい、その学期は最悪だった。
・係に人数制限があって、やりたい人たちで話し合うのだが、わがままな子は絶対譲らないで、いい子ばかり譲っていて、不公平だった。

このよう経験は、多かれ少なかれあるのではないかと思う。

先生方は、学習指導要領に示されている特別活動の目標及び内容について見直してほしい。
「当番活動」と「係活動」の違いについて、きちんと理解した上で取り組んでほしい。

学級活動(3)
イ 社会参画意識の醸成や働くことの意義の理解  
清掃などの当番活動や係活動等の自己の役割を自覚して協働すること の意義を理解し,社会の一員として役割を果たすために必要となること について主体的に考えて行動すること。  

 この内容は,働くことの意義を理解することや,多様性を認め合いながら,力 を合わせて働いたり,学級や学校の生活の向上に貢献したりする喜びを実感する こと,また,現在及び将来において所属する集団や地域の中で,その一員として 責任や役割を担うことなど,社会参画意識の醸成につなげていくものである。児 童にとって学級は最も身近な社会であり,学級での集団活動に主体的に参画する ことは,地域や社会への参画,社会貢献につながる。  この内容において育成を目指す資質・能力として,例えば,学級や学校のために友達と力を合わせて働くことの意義を理解し,工夫しながら自己の役割を果た すことができるようにすることが考えられる。また,こうした過程を通して,社 会の一員として,責任をもって主体的に行動しようとする態度を養うことなどが 考えられる。  
 指導に当たっては,多様性を認め合いながら,他の児童と力を合わせて働くこ との大切さや自分のよさを生かすことについて考えることができるようにすると ともに,自分の仕事に対して工夫しながら役割を果たすことができるようにする ことが大切である。  
 具体的には,学級全員で分担する清掃や給食,交替しながら行う日直,飼育, 栽培等の当番活動学級活動 (1) での係活動,学校内外でのボランティア活動な ど,学級,学校や地域のために一生懸命働く活動を取り上げる。(後略)

平成29年告示 小学校学習指導要領解説 特別活動編P61(太字N=^_^=)
「学級活動(1)での係活動」とは、以下のとおり↓↓↓

学級活動(1)
イ 学級内の組織づくりや役割の自覚  
学級生活の充実や向上のため,児童が主体的に組織をつくり,役割を 自覚しながら仕事を分担して,協力し合い実践すること。  
 
 この内容は,学級の生活の充実や向上を図るために必要とされる学級内の組織 づくりや仕事の分担などを,教師の適切な指導の下で児童自身が見いだし,協力 しながら責任をもって行う活動である。
 この内容において育成を目指す資質・能力については,例えば,集団活動にお ける役割分担の意義や活動の方法について理解し,学級生活の充実や向上のため に,一人一人のよさを生かしながら活動できる組織づくりや分担などについて考 え,話し合って決めるとともに,自分の役割を自覚しながら,協力し合って実践 することができるようにすることなどが考えられる。また,そうした過程を通し て,生活の中で自分の役割や責任を自覚し,他者と協力しながらよりよい生活を つくっていこうとする態度を養うことが考えられる。  
 この内容において,児童が主体的に組織をつくるとは,例えば,係活動におい て,学級を楽しく豊かにするために必要な係を出し合い,合意形成によって組織 をつくっていくことである。その際,学級における係の役割を自覚し,活動内容を決定して,仕事を分担しながら協力して実践することが大切になる。これらの 組織が機能し,活発な活動が展開されることにより,学級生活の充実や向上を図ることができる。  
 学級活動においては,一人一人の児童の活動過程を大切にする必要がある。今 回の改訂で,学習指導要領第6章の第3の1の (1) において,指導計画の作成に 当たり,「等しく合意形成に関わり役割を担うようにすることを重視すること」 を明示したように,学級の成員全員が何らかの役割を分担し,学級の一員とし て,みんなから必要とされているという認識をもったり,仲間と共に活動をして いるという充実感が得られたりすることができるような組織を工夫することが必 要である 。  
 また,児童が学級の多くの成員と共に活動しながら,相互に理解し合えるよ う,児童一人一人の役割や所属する組織を固定せず,柔軟で弾力性に富んだ組織 になるよう工夫することも重要である。その際,児童の発達の段階や学級の実態を考慮し,なるべく簡潔で,いずれの児童にも理解しやすい組織を工夫すること も大切である。

平成29年告示 小学校学習指導要領解説 特別活動編P50,51(太字N=^_^=)

これらをよく読み解いてもらえばわかるように、係活動は、「主体的に組織をつく」り、「組織を固定せず」「柔軟で弾力性に富んだ」組織となるようにするものである。
つまり、最初から人数を決めることや、誰かが我慢して譲って、やりたくない係をやること、1学期間は絶対に係を変えない、ルーチンワークばかりで工夫の余地がない、なんていうのは、係活動とは言えないのである。
どうも、「合意形成」という言葉が、はき違えられているような気がしてならない。

特別活動を専門に研究している方には、異論があるかもしれないが、私は、以上の内容を以下のように解釈している。

当番活動:ルーチンワーク

係活動:創意工夫ができるもの。メンバーが流動的。活動の開始は任意。

どうしても学級での生活に必要な「仕事」については、当番制にしておき、子供たちによる創意工夫ができるものを、係活動として認めていくとよい。

係活動を、「会社」という名称で取り組んでいる先生方は、結構多い。
私の主観では、「会社」活動を行っている学級は、まとまりがあり落ち着いている傾向にあるように感じる。


「会社」活動のススメ

「植物の世話」を例に、当番活動と係活動の違いを説明すると・・・

当番活動としての「植物の世話」
毎日、畑に植えたさつまいもの水やりをする。

係という名称がついていたとしても、ルーチンワークのみであれば、それは学級活動(1)の目指すところの係活動とはいえない。

係活動としての「植物会社(仮称)」
「植物会社」を設立したいと考えた子供たちは、先生に申告し、会社名を決め、看板を掲示する。

〈仕事内容の例〉
・さつまいもを育てている経験を生かして、他の野菜も育てる。
・何の野菜を育てるかはクラスの子供にアンケートを取り、先生と相談して種や苗の入手可能なものにする。
・収穫できる時期になったら、収穫祭を行う。
・生長の様子は、月に1回新聞を発行する。等々

これらの内容をクラスの子供たちに伝え、メンバーを募る。
集まったメンバーで、仕事の役割分担を決める。
入社、退社は自由。
仕事が滞れば、会社がつぶれることもある。

兼業、副業、もちろんOK。

先生の役割は・・・
活動の様子を見守り、仕事が滞っているようであれば、コンサルタントとしてアドバイスする。
一定の期間が経ったとき、いずれの会社にも所属していない子がいたら、起業、または就職を斡旋する。

どうでしょう。
クラスが楽しくなると思いませんか。

是非、係決めを見直してください。


まる投げはダメ

「子供たちに任せる」というと、聞こえはいいですが、「まるなげ」は先生としての責任の放棄です。
子供たちに話し合わせたり、決めさせたりする場合は、先生の指導の下、話し合いのルールの徹底や、子供たちが決める範囲を明確にするなど、不満に思ったり、嫌な思いをしたり、どうしていいかわからないといったような状態にならないようにすることが、先生の役割です。

ちょっとした心がけで、先生の指導がしやすくなり、子供たちの満足感も高まります。
ぜひ、実践してください。


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