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せつなくて・哀しくて・美しい余韻が残る映画『君の名前で僕を呼んで』の感想
ティモシー・シャラメとアーミー・ハマーは私の大好きな俳優さんたち
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そんな二人が共演した、私にとって夢のようなこの映画は何度観ても
エンドロールを見つめながら、いつまでも余韻に浸っていたい作品だ。
『君の名前で僕を呼んで』(原題 Call me by your name)
1980年代の北イタリアが舞台
大学教授の息子・エリオ (ティモシー・シャラメ)と
アメリカ人大学院生・オリバー (アミー・ハマー)のひと夏のラブストーリー
物語はアメリカ人のオリバーが、夏休みにギリシャ神話の論文研究のため
ホームステイするイタリアの大学教授(エリオの父)の家を訪れるシーンから始まる。
オリバーが家に到着した時からエリオの心はザワザワと湧き立つ
(それはエリオが今までに感じたことのない感覚だった)
初めは大学院生のオリバーは年下のエリオに対して素っ気ない態度をとるのだが
これは、オリバーなりのエリオに対する内に秘めた愛情と優しさの形であったと、のちに分かってくる。
お互いに意識しあいながらも、なかなか相手の本心を掴みきれないふたり
初めてオリバーに会った時、エリオはまだ自分の恋愛対象が異性なのか同性なのかも気付いていない。
(事実、エリオは女の子とも付き合って関係を持ったりしていた)
だからオリバーに抱く自分の気持ちを明確に理解できていなかったのかもしれない。
二人は時には反発したり、気のないふりをしたり
相手を試す行動を繰り返しながら
少しずつお互いの気持ちを確認しながら、ゆっくりと距離を近づけていく
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それはどこからみても美しい若者たちのラブストーリーそのもの
オリバー:君が知らないことはある?
エリオ :大事なことは何も知らないんだ
オリバー:大事なことって?
エリオ :分かっているだろ
この映画で私が惹かれるところは・・・
エリオとオリバーの美しさがたまらない。
これが一番かも(笑)
まだ青年にはなりきれていないエリオの中性的な美しさと
ギリシャ彫刻のような神々しいオリバーの存在感には目も心も奪われてしまう。
北イタリアの自然があふれた
どこか懐かしい素朴な田舎街の風景も好き。
そしてそんな美しい景色に溶け込むような数々の曲も好き。
「好き」ばっかり言ってますね💦
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上の写真はサントラ版の中の写真
暖炉がある部屋のピアノや家具や内装もまるで一枚の絵画のようで
うっとりしてしまう。
エリオとオリバーが出会うのは今から40年も前のこと
現代のようにスマホもパソコンもない世界
SNSですぐに相手とコンタクトを取れる現代とは違い
なかなか気になる人とも簡単にはコミニュケーションを取れない
だから相手のことを深く知るには、実際に会って、会話して、一緒に時を過ごして、心を触れ合わさなければわからないことだらけ
想像力や思考力を否応なく働かすことにもなる。
そうすることで昔のほうが
人は今よりももっと、
本来持っている感受性の鋭さが養われたのかもしれない。
そして深く傷つくことも・・・
恋をするのは相手が同性でも異性でも同じだ。
相手がどう思っているのか、自分の気持ちをどう相手に伝えればいいのか
どんな距離感で接したら良いのか
不安だらけ・・・
それでも関係を深めたいなら
今の自分の気持ちに正直に、そして自分の本能に従って
自分の感覚を信じて行動するしかないのだとこの作品は教えてくれる。
エリオとオリバーの恋は最終的にはどうなるのか。
実は、私はこの映画の原作を読んでいて、映画のラストシーンが終わりではないことを知っている。
彼らは何年か後に再会するのだけれど・・・
でもこの映画の胸が張り裂けるような美しいラストシーンが私にとっては
エリオとオリバーの恋の結末なんだと思っている。
この作品はただの美しい男性同士のラブストーリー以上に
私の心の深いところに突き刺さるものがあるのはなぜなんだろう?
もしかしたら、私はエリオとオリバーの稀に見る美しい恋愛に嫉妬しているのかもしれない。
今まで出会った誰よりも特別な絆を感じれる人と
美しくて、はかなくて、哀しい結末の恋だったけれども
奇跡のような恋を一瞬でも成就できた二人が羨ましくて・・・
残念ながら、今まで、そんな心を震わせるような恋愛を経験したことがない私にとっては、彼らの恋は憧れであり、また嫉妬すら感じるのだ
オリバーと出会ったひと夏のエリオの初恋は、生涯忘れられない恋になる。
映画のラスト
季節は夏から冬へと移り
アメリカに戻ったオリバーからの久しぶりの電話を心躍らせて受けたエリオは、オリバーが婚約したと聞かされる。
それを聞いてエリオの戸惑ったような顔が、スクリーンに大きく映し出される・・・
「オリバーと過ごしたあの素晴らしい夏の恋は終わってしまったのか」
映画のラストシーンのエリオの表情がせつなくて
どんな説明も言葉(セリフ)もいらない
私は彼の表情に圧倒されて胸がつまる
それでも
時間を忘れていつまでも見つめていたくなるエリオはまるで芸術作品のよう
きっとこの映画自体が芸術(アート)なのだ
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エリオ役の”ティモシー・シャラメ”は今をときめく大スターだ。
数々の大作にも主演男優として抜擢されているが
私にとって一番印象的な彼の代表作はこの『君の名前で僕を呼んで』
青年になる前の彼の甘いマスクと繊細で儚なげな表情が
私の拙い言葉で表現するのが難しいけれど
とにかくこのエリオ役はティモシー・シャラメ以外には考えられない
せめて予告編だけでも
そしてこの映画のサントラの中でも私が一番好きな曲
『Mystery of Love』
この曲を聞くと自然と涙がこぼれそうになる・・・
オリバーと別れたエリオに父が告げた言葉が印象的だ
『今は辛くてもその痛みを葬るんじゃない、その時に感じた喜びを忘れずに生きていきなさい』
恋愛だけじゃない。
生きていると傷つくことがたくさんある。
そんな苦しみやどんな痛みでも経験することに価値があり無駄なことなど何ひとつなくて
それらには必ず意味があるのだということなのかも知れない。
今日も「推しかつ」してしまいました〜
長文になりましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました😊
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いつも応援ありがとうございます。
感謝しています。