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エッセイ かめはめ波の奇跡

「わたしの勉強法」のお題を見てこの記事を見つけた人は
絶対に「え?」と思うだろう。

だけど、今の私があるのは「かめはめ波」のおかげなんです。

仕事とは無関係に思えるこの記事は
職場の人間関係に悩む人のちょっとした参考書として読んでほしくて書きました。

かめはめ波についてのエピソードからお読みください。

面倒な人は次の区切り線まで飛ばしても構いません。
エピソードの後に、私の参考書たるものが書いてあります。


私は高校生の頃から心を病んだので二十歳半ばを過ぎても、社会に出られませんでした。

私は公立の商業高校を退学し、
単位制の高校に編入して高校を卒業しました。
それから病気が発症時よりひどくなり、
外に出られなくなりました。

ちなみに病名は「統合失調症」です。
私のnoteの自己紹介(下から3番目)にもあるように、
不安障害っぽい症状もあります。


そんな私が初めて働いたのが28歳で障がい者の就労支援施設での利用者として社会に出たときです。

十年以上働けずにいた私の心を動かしたのは、
「働いて自分でお金を稼ぎたい」
というニートからの脱出のありきたりの名言。

この行動を起こすという強い思いは、
のちに大きな転機を私にもたらします。


私はもともと根暗な性格から学校でもこの就労支援施設でも馴染めずに一人で過ごしていました。

きっと、心霊写真の主役みたいな影のような存在だったと思います。

ある女の子に出会うまでは。


その女の子が入所したのは、
私が就労支援施設に入所して半年を過ぎた頃でした。

彼女の障害は場面かんもく症です。
耳は聞こえるけど声が出せない障害。

それでも彼女はとても底抜けに明るく、容姿もかなり優れていて、
みんなとすぐに馴染んで人気者になりました。

筆談でも伝わるコミュ力。
声が出せない分、ジェスチャーと表情と文章力でみんなを魅了する、眼鏡をかけたマンチカンのような愛され猫風女子です。

その力で休憩中、彼女は他の利用者とふざけ合いながら楽しそうに働いていました。

楽しそうにしている彼女を見ていて
「私も行動を起こしてあの子のようにみんなと仲良くなりたい」
そう思うようになりました。

ポトン、ポトン、ポトンと
牡丹雪が降って積もっていくうちに私の思いは次第に強くなります。

ある日。
降り積もった雪から悟空の服を着た小さなリスがひょこっと顔を出して、かめはめ波という名のどんぐりをくれました。

なぜ悟空だったのか?
それは誰もが知ってる漫画のキャラだから。
『リス』は例えで言っていますが、理由はそういうことです。


私はかめはめ波をやる機会を待っていました。
そして、思いついた日から数日経ったある日の昼休憩にかめはめ波をみんなが話している場所で、憧れのあの女の子の前でやりました。

やった直後は、
嵐がさった後のように静けさだけが残り、冷たい沈黙が周りの楽しい空気を奪いました。

(やらなきゃよかった)

そう思った瞬間、あの女の子が我慢できなくなったのか突然、爆笑しました。

それからみんなが彼女につられて爆笑の連鎖になり、場が和みました。


ただ、それで終わっていたら
「一発屋」と思われると感じました。

なので、私はその時から何かと冗談を言ったり、みんながやっていることを真似しました。

その姿勢を続けた結果。
「◯◯さんと、仲良くなりたい」
と言ってくれる子がいたり、
「変わったね」
と認めてもらえるようになりました。


心霊写真の主役の幽霊のような存在だと思っていた私が、
かめはめ波という一つの攻撃で疫病神を倒せたのかと思います。
その頃から私は利用者のいろんな人と笑いながら会話ができるようになったのです。


それから私は就労支援施設の職員さんの紹介で障がい者用の職業訓練校に通うことになり、施設を退所しました。


憧れのあの子と最後に手紙をもらい、
「◯◯さんに励まされました」
と書いてあって私は
「逆に救われました。ありがとうございます」
と口頭で言いました。


彼女と連絡先を交換しましたが、今はお互いに忙しく音信不通です。



この就労支援でのたった一つの行動のおかげで
私は訓練校で彼氏ができたり、友達が出来ました。

障がい者の就労で正社員はハードルが高く、
パートで事務員を務めました。
色々あって今は転職してスーパーの品出しの店員をしてます。
今は三年目になります。


私は就労支援施設で憧れのあの子や彼氏から教えてもらった教訓から、
今ではスーパーのグロッサリー(調味料やお菓子などの売り場)でありがたいことに楽しく忙しなく働かせていただいています。


影のようだった私が今ではさまざまな仕事を任され、職場の皆さんと趣味の話ができるようになった一つの要因はやはり、かめはめ波だと思ってます。

しかし、今職場で馴染めない人に
かめはめ波をやってみよう」とは言いません。

ただ一つだけ言えるのは、
職場で必要なのは
「一生懸命に任された仕事を全うする」
のは当たり前ですが、それだけではなく
「相手に意見を委ねて頼る」
ことも大切だと私は思います。

自分が信頼されたら嬉しくないですか?

その頼られるという相手の懐に入り、
相手との間に任せ任せられる関係性を築くことができたら、

かめはめ波をやるといいと思います。
といっても「あの」かめはめ波ではありません。

「人を楽しませる。つまり、相手の好きを知ること」

そうすれば徐々に相手も心を許して仕事やそれ以外の話もできるようになると思います。

私は今の職場でそれを実践してきました。

違う部署の人とは相手が好きそうな話題を持ちかけたり、
私の仕事での姿勢から声をかけてもらえるようになりました。

今では根暗の私はいません。
本当に就労支援施設や訓練校の経験が今の糧になっています。


最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

少しでも困ってる方の為になったなら、
とても嬉しいです。

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