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鎧じゃない。ボクは今、骨を作っているところなんだ。

90年代のイギリスを代表するロックバンドであるストーンローゼス(よくガンズアンドローゼスと勘違いされるけど、見た目も曲調もまったく正反対なバンドである)。

80年代後半から90年代初頭にかけてイギリス北西部の地方都市マンチェスターで勃発したマッドチェスター・ムーブメントの中心的存在として活躍した彼らは、同郷のOASISやシャーラタンズを始め、多くの後輩ミュージシャンたちのまさに「憧れの存在」だった。

そして、そんな彼らには、その名もずばり

「憧れられたい(I wanna be adored)」

という代表曲がある。

僕はこの曲を「ウェルカムトゥサラエボ」という映画で初めて聴いたのだけど、空爆で地平線がギザギザになったサラエボの街並みと一緒にあのけだるく冗長なイントロが流れてきた瞬間、不謹慎にもなんともダルで心地いい気持ちになってしまったのだった。

ちなみに、この曲の歌詞はとてもシンプルで、本当にただひたすら以下のセンテンスを繰り返しているだけなのである。

僕は悪魔に魂を売る必要はない
(I don't have to sell my soul)
だって、彼はすでに僕の中にいるのだから
(He is already in me)
僕は憧れられたい
(I wanna be adored)

(「 I wanna be adored」The Stone Roses)

そして、この曲を聴いて以来、

「僕の中にも彼がいる」

という自覚は常にあったように思う。

もちろん今だってあるけどね。

ただ以前よりかは彼の存在感はずいぶん小さくなったという実感もある。

それでも、きっと人並み以上の存在感はあるのだろうけど・・・。

というのも、かつてうちの会社随一のキレ者の先輩から

「N.O.T.Eは承認欲求の鬼だよな」

と喝破されたくらいだからね(苦笑)

しかし、これまでのところ、少なくとも今の会社ではその僕の承認欲求はほとんど満たされることはなかった。

そして、挙げ句の果てに、今では、すっかり釣りバカ日誌の浜ちゃんみたいな会社人生を送っている。

ただ彼と違うのは、僕が夢中になっているのは釣りではなくてあくまで仕事だというところである。

そう、僕の場合は釣りバカ日誌じゃなく、仕事バカ日誌なのだ。

実際、こんな僕のことを

「上司からの指示でもない(つまり、頑張っても自分の得には何もならない)仕事をあんなに頑張って、あの人バカじゃない?」

って思っている人は少なからずいると思う。

それでも、この誰からも憧れられることのない今の生活を

「まんざらでもないよな・・・」

って割と満面の笑顔を浮かべながら、言える自分もいるんだけどね。

そして、きっとそのせいもあるのだろう。

かつては、このno+eでも、たくさんの才能豊かな書き手による「凄い」文章を目にするたびに、そして、彼、彼女たちがお互いの作品を讃え合っている姿をみるたびに、その輪の中に入れない自分の才能のなさに勝手に打ちひしがれたり、ひがんだりしていたのが、今ではそーゆーこともほとんどしなくなったのは・・・。

例えば、今回、創作大賞に参加した人たちがお互いにとても熱量のある感想記事を書き合っている姿を遠巻きで見ていても、特に心が粟立つこともなく、割と素直にみんな素敵だなあと思えているもんね。

そんな僕は、今、ずっとフニャフニャだった自分の体の芯のあたりに背骨らしきものが出来つつあることを実感している。

まだまだ硬さも不十分だし、我ながらとても頼りないものではあるけれど、それでも僕から言わせると、これって、ほとんど

なめくじ(軟体動物)がカバ(脊椎動物)に変わるくらいの

劇的な進化だって自惚れている。

だから、そんな僕が、仕事においてもプライベートにおいても何よりも率先してやるべきことは、

誰かから

「凄い!」

と絶賛されるような絢爛豪華な鎧を作ることではなくて、

このようやく出来た軟骨みたいにやわらかい自分の背骨をより強く、よりしなやかなものに育てていくことなんだと思っている。

そして、そのためにこのno+eにおいて自分がやるべきことも明白である。

それは、ずばり

「自分にとっての書くことの楽しさ」

をとことん追求して、それこそ「骨」の髄まで楽しみ尽くすこと

以外にないのだ。

我ながら、とても自分勝手でわがままなことを書いているという自覚はある。

「こんな読者のことを考えないヤツの記事なんて読めるか!」

と怒る人もいるかもしれない。

でも、なぜだろう。

そんな風にわがままに自分の背骨を太く強くしていくことに専念すればするほど、自分の記事もきっとどんどん面白くなっていくに違いない

という不遜な考えがどうしても頭から浮かんで離れないのは。

まぁ、論より証拠なので、皆様にはこれからもこんなN.O.T.Eの記事を懲りずに読んでいただけると大変に嬉しいです!






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