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ショートエッセイ はなやぐ本たち⑤ルネ・ヴィヴィアン詩集「菫の花の片隅で」
「私は流謫の身で、時は重くのしかかる。
光り輝く真昼の美しい太陽もむなしく!
夜になればいつも、再び苦い沈黙にうち沈み、
私は禍いのうちでもこの上なく重いそれを嘆く。不在を。」
(中島淑恵訳 ルネ・ヴィヴィアン「不在」)
詩集全体を通して
恋愛をテーマにした詩が多く見られますが
情熱と甘美さのうちに
詩人の悲しみの深さを感じさせられます
「不在」は特に好きな作品です
詩は 大切ななにかを失ったことへの代償なのでしょうか
頁を開くたびに 言葉が胸に刺さる気がします
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