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広告デザインを考える ⑤ [デザイン媒体間で共通するものとは?]

前回の続きで「展開メディアとの相性の良さ」の途中から続けます。前回記事も下に貼りますね。今日も専門性の高い、デザイナーやデザイン学習者向け内容です。広告デザインに興味のある方は、巷の書籍にはない、制作現場ならではの情報も載せますので読んでみてください。

前回は「広告媒体間で異なるもの」を書きました。
では逆に「媒体間で共通するもの」は何でしょうか。以下の2つです。



・デザイン


・制作者




媒体間で共通するものデザイン

ではデザインとは何を示すかというと、広告媒体が変わっても広告のコンセプトは基本的に変わりません。変わったら統一感のない広告施策になります。
変わるのはそれぞれの媒体に合わせて「見せ方」を変えるだけであり、根本的なデザインや伝えたいコンセプトが変わって見えないように、制作側は意識してデザインをする必要があります。
これを業界用語でデザインを「リサイズする」とよく言っています。

re + size

reは再度行う意味合を含む英語です。サイズを改める。だからリサイズですね。

例えば企業PRの一環でB1ポスターをデザイン制作していたとします。
そこで、A4チラシも作りたい、デジタルサイネージにも展開させたい、などの要望がある場合は、特殊な要望がない限りは、このB1ポスターのデザイン要素を使ってそれぞれのサイズや見せ方に合わせたサイズ変更や構成変更を行うことが多いです。
広告デザイン制作現場ではこのリサイズという作業を行われることが大変多いです。
一つの広告では、はじめにKEY VISUALというものを制作しますが、そのベースになるイメージをそれぞれの媒体に合わせて展開させていくという流れが多いです。



媒体間で共通するもの制作者

当たり前のことなのですが、制作する人は変わりません。あえていうほどのことでもないのかもしれません。ただ、ここで何を言いたいかというと、制作側に変なこだわりや主観が入りすぎるとデザインがうまくまとまらないどころか、結果的に制作依頼側とのコミュニケーションにも支障が出てくる可能性があります。

ここでデザイン制作側に求めれることは公正な目です。
「客観性」というものがないとデザインは作れても、提案段階でこけます。

私は大学で教えている生徒に、必ず提出したデザインがどういう意図で作っているのか、説明をしてもらってます。
なぜかというと、これができない場合、作り手としては「ただ感覚的に作っている。いいと思っている」という説明しかできない場合が多いのですが、これは実際のクライアントを前にしたプレゼンテーションにおいて通用しません。

お客さん:「どうしてこのデザインなのですか?」

デザイナー:「なんとなくいいと思ったからです。いいと思いませんか?」

なんて同意を求める最悪のプレゼンテーションが目に浮かぶのですが、意図を論理的に説明をできないと、相手に不信感をもたれて終わります。デザインの現場は通用しないと考えてください。


ただ最後に矛盾するのですが、付け加えます。
デザインは意図してできるものと、意図しないでできるもののに大別されます。

この意図しないでできるものというのは、素晴らしいクリエイティビティを秘めていることが多いです。
理由は説明できないけど、感覚的にいい。直感で出来上がるもの。
こうしたものは多く存在しますし、説明できなければその案自体を捨てた方がいいという訳では全くないです。


これは今まで語ってきたこの広告デザインテーマで、以下の「アート性と抽象性」に繋がる話になります。

・情報のわかりやすさ
・ニーズに応えるデザイン
・展開メディアとの相性の良さ
・アート性と抽象性
・レトリック

次回に綴ります。


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