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BIとCIとVIの違いを考えてみました [前編]
この3つはデザイン用語なのかマーケ用語なのかよくわかりませんが、巷にもいろんな解釈があるようで、混同しがちの言葉ではないでしょうか?
BI/Brand Identity(ブランドアイデンティティ)
CI/Corprate Identity(コーポレートアイデンティティ)
VI/Visual Identity(ヴィジュアルアイデンティティ)
私の経験上、デザイン業界ではCIを言及するとき、会社のロゴやマークを指す人もいれば、ブランドステートメントを指す人もいます。解釈が2つに別れる印象を持ってきています。
これに限らずなのですが、一つのワードから異なる解釈が存在するものは、大方どれも間違っているわけでなく、異なる側面から解釈しているというだけだと思います。でも本質はつけていない。これにおいて「ブランディング」や「ブランド」の解釈も同じです。
今日は巷の定義はいったん無視して、私なりにゼロ視点で考えてみました。
まず、identityという意味から考えてみました。
【identity】(weblio引用)
同一であること
同一性
一致
同一人であること
本人であること
正体
身元
独自性
主体性
本性
おそらくここで言うと「本性」あるいは「同一性」がこの用語の用法に近いのだと思います。この本性と同一性も、言葉の意味は異なりますがいずれも一つのものの別の言い方であり、側面です。ブランドの本性、本質。あるいはその本質をとらえて同一視できる性質を帯びたもの。ということでしょうか。
Identityは名詞ですが、動詞化するとidentifyです。
identifyの意味も探りました。
【identify】(weblio引用)
(…を)(…に相違ないと)確認する
見分ける
見極める
鑑定する
証明する
身元を明らかにする
名乗る、(…と)同一であるとみなす
同一視する
行動を共にする
この太字の「身元を明らかにする」「同一視する」ということからも名刺のIdentityの意味もより明確に見えてきます。
Identity = 本質
Identity = 対象の本質と同じもの
この2つの定義が合っているように思えます。
ただ、マーケティング業界においては、おそらく下の方で使われているケースが多いというのが印象です。
では次にこれを、BI/CI/VIに展開して考えてみます。
◾️ Brand Identity
BI/Brand Identity(ブランドアイデンティティ)
→ ブランドの本質。ブランドの本質と同じもの
例えば、これには企業理念、ブランド理念、大義、またブランドが持つパーソナリティ(ブランド概念を擬人化したもの)が含まれます。わかりやすくいうと、お客さんがブランドをみて「感じられる性質」です。
例えば、このブランドは高級感がある。このブランドはホスピタリティに溢れている。このブランドは健康に良さそうだ。という感覚で受け取るものです。パーソナリティという言葉通り、人にも性格、パーソナリティがありますが、初対面で人に会ったときに受ける感覚のブランドバージョンというところです。
BIはブランドイメージを、顧客の中で形成する大切なベースになります。
◾️ Corporate Identity
CI/Corporate Identity(コーポレート・アイデンティティ)
→ 企業の本質。企業の本質と同じもの
ちなみにCorporate Identityのwikiの解釈が以下です。
コーポレート・アイデンティティ(英: corporate identity 略称: CI)は、企業文化を構築し特性や独自性を統一されたイメージやデザイン、またわかりやすいメッセージで発信し社会と共有することで存在価値を高めていく企業戦略の一つ。「CI」「CI計画」「CIプロジェクト」などとも呼ばれる。
これを読んでわかりますか? 私はこれ何をいっているのはわかりません笑 「企業戦略の一つ」ってまとめられていますが、少なくてもCIは「戦略として使われます」が、戦略の意味ではないというのが私見です。
BIはブランドの本質。CIは企業の本質ですが、そもそも企業とブランドは違う意味です。ブランドとは他者の中にあるブランド発信側に対して頂く主観的なイメージを指します。ブランドの解釈についてはこちらの記事に詳しく書いています。企業は企業です。一定数の人が集まり、同じ目的に向かって事業をして利益を分け合う組織体です。つまり「CIはその組織が組織のものとして同一視できる何か」という解釈はいかがでしょうか?
これを見える化させたものが例えば、
ブランドステートメント(ブランドのメッセージ)
会社名(ブランド名)
企業ロゴ
企業シンボルマークなどです。
つまり上のものは「企業の本質と同じもの」ということになります。
◾️ Visual Identity
VI/Visual Identity(ヴィジュアルアイデンティティ)
→視覚情報の本質。視覚情報の本質と同じもの
↓ ※上のものだとさすがにわけがわからないので
→視覚情報が(ブランドや企業の)本質と同じもの
VIはブランドや企業の視覚情報をいいます。ちなみに上でCIとしたロゴもシンボルマークもブランドステートメントも、企業の本質を現すものである一方で、視覚情報でもあります。
これに関して、私は以下のように解釈しています。
ロゴやシンボルマークが
視覚情報を伴う(色や形を伴う)場合は「VI」です。
視覚情報を伴わない場合は「CI」です。
ちょっとわかりにくいかもしれませんん。では例えば
マクドナルド。
「マクドナルド」とわたしが言ったとき、
「マクドナルド」を思い出したらそれは「CI」です。
「マクドナルドのあのMのマークと赤のブランドカラー」を思い出したらそれは「VI」です。
いかがでしょうか?
一応触れておきますが、なぜかデザイン業界では
ロゴやシンボルマークを言及するとき
企業のブランドに関わる場合は「CI」で
事業のブランドに関わる場合は「VI」と表現することが多いです。
つまり企業体を表現するものか、企業が運営する事業体を表現するかで、CIとVIは言い分けられます。この理由はよくわかりませんが、おそらくCIはあくまで企業に「直接的に」属するものだからということだと思います。
では、VIが何かというと例は多いです。いわゆるブランドが発信する全ての視覚情報と捉えていいのではないかと思います。以下にリスト化しますが、以前こちらの記事でも触れているのでご参考ください。
WEB
SNS
シンボル・ロゴマーク
ブランドアイテム
POP
広告デザイン
空間・内装インテリア
外装インテリア・建築
店舗立地
スタッフ
スタッフのマナーや流儀(BI)
ブランドステートメント(CI or VI)
代表メッセージ
パブリシティ
沿革
など
上の太字を補足説明します。
スタッフのマナーや流儀のBIというのは、ブランドアイデンティティではなく、Behavior identityの略です。
これはブランドに関わる人のマナーをブランド理念の元に統一するために生まれた行動規範をいいますが、私は「BI」がブランドアイデンティティとごっちゃになるので仕事で説明に使うことはありません。ただでさえややこしい用語をこれ以上増やすなと。ですので使ってません。
話のついでに出しておきますが、CIは以下の3つの規範を包括するものだという考えも存在します。
MI/Mind Identity(マインドアイデンティティ)
BI/Behavior Identity(ビヘイビアアイデンティティ)
VI/Visual Identity(ヴィジュアルアイデンティティ)
図式に落とし込むと [ CI = MI + BI + VI ]
ただ、私はCIとVIは並列で扱う方が何かと説明しやすいので、この見方を取り入れてません。
話を戻しますが、上のリストのブランドステートメント(CI or VI)になぜCI、VI両方があるかというと、上記で説明したように音で認識するか、視覚で認識するかで変わるからです。
長くなりましたが、このテーマの[後編]では、このBI/CI/VIをさらに簡単に書いてみようと思います。