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「ブランド戦略」としてのコンプライアンス
こんにちは、法律の話をしない弁護士の三浦です。「誰もが正々堂々と、胸を張って仕事ができる社会を創りたい」。これが僕をコンプライアンスという仕事に取り組む原動力です。
ブラックなことをやっている企業で働きたい人はいません。そんな企業で嫌々働いても、パフォーマンスを発揮することはできないでしょう。これでは企業は元気になりませんし、何より誰も幸せになりません。
反対に、皆がコンプライアンスを嫌々やらされているような企業でも、やっぱりパフォーマンスは発揮できないし、誰も幸せになりません。
じゃあ、そうすればいいの?ということで僕がおすすめしているのが「ブランド戦略」としてコンプライアンスに取り組む「ブランドベース・コンプライアンス」です。
コンプライアンスと企業価値
コンプライアンスと企業価値(ブランド価値)には密接な関係があります。
例えば、インターブランドジャパンが公開しているデータを分析すると、大きな企業不祥事を起こした企業は、概ね20%ブランド価値が下落しています。ある企業では、不祥事の発覚後にブランド価値が3分の1以下になりました。この企業の場合は400億円以上(!)の企業価値が失われたことになります。
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ルールを整備することが組織の利益に繋がる例もあります。以前の記事でご紹介した特定非営利活動法人カタリバの「みんなのルールメイキングプロジェクト」では、生徒主体で皆が納得する校則を整備したことで、入学志願者が大きく増えました。
これらの事例から分かるのは、「正々堂々と、胸を張って事業を行う」という想いを体現できなかった企業のブランド価値は低下し、それを体現している企業のブランド価値は向上するという、ある意味で当たり前の事実です。
誰だって、コンプラ違反が蔓延している企業で働きたくないですし、そういう企業の商品を買いたいとは思わないですよね。
ブランドベース・コンプライアンスとは
現在、「コンプライアンス」と言うと、法令知識とルール整備中心の”ルールベース・コンプライアンス”を指す場合がほとんどです。しかし、結論から言えば、このやり方は企業のブランド価値向上にほとんど役に立ちません。
だいたい「この企業は法律をいっぱい勉強してるから、不祥事を起こしても許してあげよう」とか、「この学校は立派な校則があるから、入学したい」とはならないですよね。これも、ある意味当然と言えば当然の話です。
そんなルールベース・コンプライアンスに代わって、僕が多くの企業にご提案しているのが、企業ブランディング(=企業の”想い”を体現すること)の一環としてコンプライアンスに取り組むブランドベース・コンプライアンスです。
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ブランドベース・コンプライアンスの進め方
ブランドベース・コンプライアンスでは、まず、皆さんの企業にとって「正々堂々と、胸を張って仕事をする」とはどういうことなのかを徹底的に深堀してもらいます。
創業者の想いや、企業の歴史を紐解きながら自社にとっての「正々堂々と、胸を張って仕事をする」を、自分たちなりの言葉や絵、映像で表現することを通じて、企業の想いをカタチにしていくのです。
その次に、社内ルールやレポートラインの設計などが、自分たちが想いのカタチを体現しているかを話し合い、想いのカタチに沿うように調整していきます。
この一連のプロセスを通じて、コンプライアンス活動を含むすべての企業活動を想いのカタチを体現するものにしていくのが、ブランドベース・コンプライアンスです。
今後、具体的な取り組み例なども紹介していきたいと思います。