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吾輩は猫である~『夏目漱石全集第一巻』~
印象に残った言葉たち
吾輩は猫である。名前はまだ無い。
どこで生まれたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャ―泣いて居た事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間といふものを見た。
吾輩は人間と同居して彼等を観察すればする程、彼らは我儘なものだと断言せざるを得ない様になった。
三毛子の身代わりになるのなら苦情もないが、あの苦しみを受けなくては死ぬ事ができないのなら、誰の為でもしにたくはない。
と主人は平気な顔で鼻毛を一本一本丁寧に原稿用紙の上へ植付ける。肉が付いて居るのでぴんと針を立てた如くに立つ。主人は思わぬ発見をして感じ入ったていで、ふつと吹いて見る。粘着力が強いので決して飛ばない。
吾輩は死ぬ。死んで此太平を得る。太平は死ななければ得られぬ。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。難有い難有い。
感想
以前『日本文学全集』で『吾輩は猫である』を読んでいたので、途中でモチベーションがダダ下がりして読むのを断念。
最初と最後の言葉だけはものすごく印象に残っていた。
この作品はタイトルからして分かるように、猫視点から見た人間社会の異常さ、滑稽さを主題にした作品だと考える。
図書館に必ず置いてある作品だ。ぜひ、この分厚い全集を読んでみては如何?
書籍情報
夏目漱石全集第一巻
夏目漱石
昭和49年12月9日 第二刷発行
岩波書店