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[書評] 超訳 自省録 エッセンシャル版

みなさん、こんにちは。Naseka です。
私は 哲学者・書評家・エッセイスト として、
自らを定義しています。

ローマ帝国の五賢帝といえば
ネルウァ
トラヤヌス
ハドリアヌス
アントニヌス・ピウス
マルクス・アウレリウス・アントニヌス
の5人。
世界史の授業で習った
記憶のある方も多いであろう。

そのうちのひとり
マルクス・アウレリウス・アントニヌス。

軍事よりも学問を愛し、
「哲人皇帝」とも称される。
彼は剣闘士グラディエーター
試合の観戦中であっても、
書類に目を通すほど
仕事熱心だったとも言われる。

彼の著作として有名なのが
「自省録」である。

本書はそのエッセンシャル版、
「自省録」及びその著者が
どのようなものなのかを解説し、
自省録の一部(180節)を紹介している。


「自身へ」

日本語においては
「自省録」という名が
一般的となっているが、
英語では「Meditations」
すなわち「瞑想」と呼ばれる。

そのため、過去には「瞑想録」という
邦題が充てられた時代もあったそうだ。

このどちらもが著作の
内容からつけられた訳であり、
原題の意味としては
「(彼)自身へ」というニュアンスである。

元々は彼が自分自身へ向けた言葉を
書いたものだから、
そのようなタイトルなのである。

よもや彼も、自身の死後
これが後世(それも2000年近く先)まで
広く多くの人間の目に触れるとは
想像もしていなかったことだろう。

もし あなた が密かに書いている日記が
死後 何百年以上も
世界中の人に読まれるといったら
どう思うだろうか。

その日の出来事・色恋事・愚痴・不満…

私も過去に日記を
書いていたことがあるが、
とても他人様に
見せられるようなものではない。

いくら自分の死後とはいえども、
それが世に出回ることなど
想像するだけでも おぞましい。

読む側としてみれば、
エッセイ集でも読むような感覚で
著者の人となりが
垣間見えて面白いのかもしれぬが。

現代感覚でいえば
故人の人権とかプライバシーとか、
いろいろ問題がありそうだが、
古代ローマの時代には
そんな概念はなかったのだろう。

自分を見つめ、対話する

さて 冗談は このくらいとして、
この自省録は 決してそんな本ではない。

皇帝として、ひとりの人間として、
何に悩み、何を考え、
どうすべきか、どうあるべきか を
彼自身の言葉で、彼自身が綴った記録である。

皇帝とはいえ、ひとりの人間。
しかし、ひとりの人間とはいえ
大国ローマを率いる皇帝。

そしてストア派哲学者としての言葉が
詰まった記録であるからこそ、
後世まで広く読まれ、
座右の書としている人も多いのである。

この「自身を見つめ、対話する」というのは
瞑想としても有効であるし、
長く生きようとするなら
自分自身と向き合うことは
不可欠であるといってもいいかもしれない。

私も記録こそ残してはいないが、
ことあるごとに
自身の中で問答や思索をしている。

最近は note という場を持ったから、
投稿した内の一部は
その記録も兼ねているかもしれない。
言ってみれば、私の「自省録」である。

左様に自身でも自省をしているので、
少なくとも今の私にとっては
「自省録」は必要な本ではない。
(「自省録」自体を貶めるつもりはない)

ただ、それまで触れてこなかった者として、
本書の冒頭にある解説に関しては
非常に分かりやすく 読んだ甲斐があった。

まとめ

実際の自省録は12章もあるので、
いきなり初心者が手を出すには
ハードルが高いかもしれない。
(1節が長いわけでないから、
 読みやすいのかもしれぬが)

その点、この本は解説に加えて
自省録の一部も載せているから、
入門書としては非常にオススメである。

本書を読み、
「自省とは どういうことか」を知れば、
あなたの意識や考え方が変わるかもしれない。

自分と一番長く付き合うのは、
他ならぬ自分自身である。

その自分を知り、
よりよく導いていくためにも
内容はどうあれ
「自省」することを勧めたい。

こんな人にオススメ!

・自省録がどんなものか知りたい人
 (特に未読である人)
・自省録を読んでみようか迷っている人

こんな人には合わないかも…

・既に自省録を読み込んでいる人
 (※「読んだことがある」ではなく)
・自省録に興味がない人

お読みいただき、ありがとうございました。

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