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マクドナルド物語vol.6〜信じる心〜

ご来場、ありがとうございます。

今回の話は僕の人生の大きな分岐点になった話です。

この出来事がなければ、今の僕は絶対に在りません。

信じてもらうこと。

信じてくれる人。

その大切さを教えてくれた出会いでした。
よろしければお付き合い、お願いいたします。


クビを言い渡されてから数日が経ちました。
その間、なんどもK店長に電話して謝罪したり、直接お店にも行きました。

しかし、K店長の判断は変わらず、復職は許されませんでした。
自分はなんて愚かだったのだろうか。
なぜ行動を改めなかったのだろうか。
なぜあの日、責任感なく無断欠勤をしてしまったのだろうか。
後悔しても手遅れでした。

僕はマクドナルドの楽しかった思い出を忘れられず、次の行動を起こせずにいました。

一週間程経ったときです。
突然鳴ったPHSには見知らぬ番号が表示されていました。

恐る恐る出てみると
「マクドナルドのHです」
Hさん?なんで?
こちらが理解出来ない状態でHさんは話を続けます。
「聞いたよ、クビになったんだって。今何か仕事しているのか?」
「いや、なにも、、、」
「じゃあ、明日の午後マクドナルドの〇〇店に来てくれる?うちの店長が面接するから」
「は?面接って?」
「じゃあ、明日な」「ガチャン」

えっ?
面接?
どう言う事だろう?
もしかして、またマクドナルドで働けるのかな?

全く話の見えないまま、翌日指定された時間にお店に向かいました。

前のお店から、自転車で20分程でしょうか。

ビジネス街にあった前のお店と全然違う場所にお店はありました。
観光地の商店街の中。
古くからあるんだろうなと思わせる、趣のある外観でした。

「いらっしゃいませ!」
「あのすみません、なかじまと申しますがHさんいらっしゃいますか」
「ああ面接の人ね、Hさぁーん‼︎」

厨房の方から小柄な、馴染みのある笑顔が見えて、「おう、なかじま。よくきたね。事務所に店長がいるから。一緒に行こう。」

今さらながら、Hさんはいつも笑顔。本当に常に笑顔です。
事務所は、お店から少し離れた場所にありました。
笑顔のHさんと、世間話をしながら事務所まで歩きました。
僕は一歩踏み出すたびに、緊張して色々な事を考えます。

何を言われるんだろう、怒られるのかな?
Hさんに嫌いって言ってしまったし、僕の事を良く思っている訳がないよな。謝らないといけないよな。どうしよう、、、。

事務所内のマネージャールームに着いた時、頭の中は真っ白でした。

「T店長だよ」
Hさんからそう紹介されたT店長(仮称)は、体が熊みたいに大きくメガネの奥から鋭い眼光を感じる、ただ比嘉さんと同じく笑顔の素敵な方でした。

「初めまして。なかじまさんだね。Hから話は聞いたよ。君のしてきた事、全部ね。」
ああそうか、やっぱりな。今までのことをちゃんと謝れとか言われるのかな、、、。

「Hが君をうちの店にどうしても呼びたいと言ってきてね。とりあえず、会って話を聞きたいって言ったんだよ。」
えっ?Hさんが?なんで?
僕はあんなひどい事をしてしまったのに。
Hさんの方を見るといつもの笑顔で
「全部、話してみなよ」
僕は人前であんなに涙を流した事はありません。

いままで誰にも言えなかった僕の家庭内の事を、洗いざらい全てしゃべりました。

幼い頃から母親がアルコール中毒で、父親との喧嘩が絶えない事。

夜中までいつも家で1人だった事。

母が父に暴力を振るう事。

それが怖くて家で寝られず、友達の家に泊まり込んだり、外で野宿したりしている事。

そしてマクドナルドが好きな事。

どれくらいの時間が経ったか、分からないくらい話をしました。

眼鏡の奥に涙を溜めたT店長が、
「明日からお店で働いてもらおうと思うけど、いいよな?H」



「もちろんです。自分が面倒をみます。」
Hさんは笑顔のまま僕の方をじっと見ていました。

こうして僕の新しいマクドナルド人生が始まりました。

僕はHさんに信じてもらっていました。
必ず改善出来ると。
僕はそれに気がつかず、煙たがっていました。
本当に子供だったと思います。

人を信じる事は今の時代難しい事のように感じます。
しかし信じようと自分が決めてしまえば、信じる事ができます。
Tさんと、Hさんは僕を信じようと決めてくれました。
それに応えようと、僕も2人を信じると決めました。

そしてもう絶対に裏切らないと心に誓いました。

この出会いがあったから、僕は人生の価値に気がつく事ができました。

今でもいくら感謝しても足りないくらい感謝しています。

大事な事は自分で気がつき、自分でこうだと決める事です。

僕はこの時に信じてくれる人は裏切らないと、ルールを決めました。

皆さんも自分の心のルールを決めて、それは絶対に破らないと決めてしまいましょう。

読んでいただき、ありがとうございました。

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