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庭の雑草

騒音問題でマンションを出たあと、狭い賃貸に住みながらこの辺の戸建てを探していた。何件か見送ったあと、この家が売りに出てすぐ不動産屋さんから電話があり、その日に見学して夫と即決した。冬だった。広告に出る前に値ごろ感のある家は売れていくものなんだと知った。

契約は春、リフォームして引っ越してきたのが夏だった。前の持ち主は年配の方で、若い頃にこちらにお住まいだったが、子どもが独立したあと郷里に戻ったらしく20年か30年ほどは、たまにしかこちらには来られていなかったみたい。

だから、引っ越してきたときの庭の雑草の勢いの良さと言ったら!! 荒れ果てた空き地のあの感じ。そりゃそうか、と思いながら、これは予想していなかった……と絶句する。売る前にとりあえず業者さんに頼んで草刈りしたんだろう。冬だったし気づかなかった。引っ越す頃には、それまで勤めていた病院を辞めることは決めていたから、とりあえず見て見ぬ振りをした。秋に辞めてから、積み上がった引っ越しダンボールの整理とともに、ひたすら庭の雑草を抜く日々が始まった。

ひとところにしゃがみ込んで周りを抜くだけで、45リットルのゴミ袋がいっぱいになった。草抜きの作業に慣れていないから、30分も作業をすれば、もう疲れる。ちょっとずつちょっとずつ。ホームセンターで良さそうな草引きの道具を買い、滑らない手袋と日除けの帽子も買った。

5ちゃんねるで、雑草との戦い方について読んだ。最終的にはテデトールというものらしい。薬の名前?と思ったら、普通に手で抜くことだった。だよね。こんな生い茂り方に、除草剤使う気になれない。

簡単に抜ける草と、手こずる草がわかってきた。手こずる草の名前も覚えた。うちの庭の強敵第1位はアレチヌスビトハギ、第2位がスギナ、第3位がイネ科のなにか(同定できず)

毎日は無理としても毎週のようにコツコツ抜いていたのに、端っこから始めてもう一方の端っこにたどり着いた時には、初めの方がまた生い茂っている。冬に休憩できて、また春から戦いが始まる。夏は暑いし蚊に喰われるしとサボると秋には生い茂る。また戦う。何年もかけて、少しずつ陣地を広げて行った。

アレチヌスビトハギの地上部分は弱々しいのに、根っこは太く長く地中奥深くまで伸びている。地上部分をむしってもむしっても根っこに蓄えたエネルギーを使ってすぐ地上部分が生えてくる。長年経った根っこは抜けない。何年も経っていない細いのですら長い。雨の次の日は抜けやすいことも体感した。根っこがズルッと抜けるときの快感。アレチヌスビトハギもスギナも数年かけて減らしていって、最後にポツポツとだけ残った長年組には薄く希釈した除草剤をかけた。

今年は、少しの土筆が生えているのと、カラスノエンドウが繁殖している。土筆が生えてるからスギナはまた出てくるだろう。カラスノエンドウは去年サボって実が黒くなるまで放置したせいかな。柔らかいし、根もあまり張らないからまあいいか。歩くのに邪魔な分だけちょっとむしる。以前クローバーの種を蒔いたので、少し群生している。アレチヌスビトハギはパッと見、生えてない。よしよし。

手をかけた庭は愛おしい。私の戦歴。

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