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商業施設の栄枯盛衰と散歩

2年前から年に1回、両親と私の3人でランチに行ってる。

平日の昼間。ちょうど半分の距離で落ち合って、ちょっとだけ豪勢なランチ。デパートのレストラン。昔からあるデパートだけどいつの日か改装されて美しい。デパートのレストランってちょっと特別感あるよね?

美味しいねって言いながら1年の無事を祝う。たわいもないおしゃべり。たまに家族総出で実家に泊まりでお邪魔するけど、両親と私の組み合わせでゆっくりご飯を食べる機会はこのときぐらいしかない。今年は奢ってもらった。ご馳走様でした、また来年も行こうねと言って別れる。元気で長生きしてほしい。

20代の頃はこのデパートによく来た。結婚前の夫と同じように落ち合ってデートもしたし、一人で買い物するためにも来た。ちょっとだけ寄り道してから帰ろうかな。

アラフィフともなると物欲はほどよく枯れて、若い頃のようにデパートの中全部欲しいみたいな気持ちはない。デパートから外に出て、よくうろついた商業施設を見て回る。もう20年やら30年も前になるのか。

建物の構造はそのまま。あの頃はまだ新しく最先端だった記憶がある。珍しいものが売っているお店、細々した雑貨屋、アジアンな家具がおしゃれだったインテリアショップなどにワクワクしたものだ。

十年一昔というけれど、こんなに経ったらお店は様変わり。ちょっと寂しい。小さいけどおしゃれだったお店はもうなく、チェーンの大型店がひしめく。ユニクロ、GU、無印良品、ニトリ、100均、スポーツ用品店……。わざわざここまで来なくとも、だなぁ。もう来ることもないだろう。

きっと調べれば、あの頃ワクワクしたような特別感のある小さなお店はまた別の場所にあるんだろうと思う。最新の商業施設もあちこちにできているし、行けば目新しい気持ちにもなるんだろうな。もう、でも、隅々まで見て回ってどこにどんなものがあって、と通うほどのエネルギーはない。もう充分持ってるし、たくさん見てきたしね。

街も、生まれて年老いて、生まれ変わって。人間と一緒だねぇ。思い出は美化されて、もう行けない場所を懐かしむ。そんなちょっと寂しい気持ちと、今満たされている幸せと頭の中に思い出の宝物が詰まっているような気づきとを得た散歩だった。

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