釣りから考える子どもと大人の楽しさの違い
小学校の先生で、2児の父、雄剛です。
先日、娘の友達家族とキャンプに行ってきました。キャンプ場には、小川が流れていて、水遊びをしたり、ニジマスやヤマメを釣ったりすることができます。以前にこのキャンプ場を使用したことがある人から、
「釣りすると楽しいよ。この前は、でっかいニジマスがつれて、バーベキューで焼いて食べたらおしかったんだ!やってみない?」
と誘われました。子どもたちも、
「やってみたい!」
「本当に釣れるの?」
「おもしろそう!」
と乗り気。今回、娘たちは釣りに初挑戦しました。
1時間後…釣りに夢中は大人だけ…
釣り経験がある詳しい人にレクチャーしてもらいながら、釣りを開始!
「段差のところに、泡立っている部分があるよね。あそこの境目あたりに餌がくるように合わせてあげるといいよ。」
「川魚は敏感だから、大きな音や話し声で異変を察知して逃げてしまうから。我慢だよ。」
そうしている間に、ニジマスを釣り上げた子が!
「すごーい!本当に釣れるんだ!」
「私もどうしても釣りたい!」
子どもたちのやる気もMAX!
…でも、そんな簡単には釣れないですよね。一人、また一人と釣りの場から離れていく子どもたち…。気付けば、1時間後には子どもたちは全員いなくなり、水遊びに夢中!釣りの場に残っているのは、大人のみ。
大人の楽しみ方!子どもの楽しみ方!
大人用の釣り竿は、用意していなかったんです。用意したのは子ども用。
「お父さん、私もう釣りいいや。やっていいよ。」
そうやって渡された釣り竿で、その後、2時間ほど大人だけで釣りを楽しみました。
私も釣りを久しぶりにやったんですが、すごく楽しかったんです。
「段差の泡ができている部分の境目を狙えばいいのか。この辺りかな…?」「なかなか釣れない…。場所を移動して、同じような段差の泡を狙ってみようか…。」
「ん~。そういえば、流れの緩い草葉の陰とかにいるって、聞いたことがあったような…。試してみようか。」
そうやって、試行錯誤しながらいろいろと試しました。もう暗くなってきたからそろそろ終了…という時に、手ごたえが!あの感動は、何にも代えがたいですよね!
大人は、こうやって「うまくいかない状況を、どう打破するのか?」という長期的な楽しみ方ができるんだろうなと思います。
一方、子どもは…
どちらかというと、短期的な楽しみ方。釣りでいえば、入れ食いみたいな状態であれば楽しいんでしょうね。
その後の遊び方を見ていると、川に足を入れて、上流に上がっていく遊びをしていたり、水をかけあう遊びをしたり、虫を捕まえたり…。「思考」を楽しむ大人に対して、子どもは「事象そのものを楽しむ」。そんな気がします。
学習を通して育みたいのは、「思考」を深めることを楽しむ心!
「何のために勉強するの?」
この答えは、いろいろとありますが、その一つが
「思考」を深めることを楽しむ心を育てる!
ということなのかなと思います。子どもは、本来「事象そのものを楽しむ」もの。だけど、学習を通して、
「よくわからないけれど、一生懸命考えてみた。みんなの考えも聞いてみた!そしたら、なんか分かったてきた!考えるって面白い!」
そんな気持ちを育むことが勉強の目的の1つなのかな思います。
おそらくこれこそが、今はあまり聞かれなくなった「生きる力」で、壁にぶち当たっても、道を切り開いていく力なんでしょうね。
そう考えると、やっぱり「子どもたちが楽しく勉強できるように工夫しました!」と言って、その場その場の短期的な楽しみばかりを追究して授業を組み立てていくのは子どもの成長にはつながらないんだろうなと思います。(1日の中で、そういう授業もあってもいいと思いますが、そればかりになるのは…という意味で。)
学習を通して、すぐには解決しないような問題にじっくりと取り組む!そして、試行錯誤しながら、友達と考えを交流させながら、最後に「できた!」「わかった!」という達成感を味わう!そういう経験をたくさん積み重ねながら、思考を深めることを楽しむ力を育む。そんな心を養っていきたいですね。