014 良いスパイラルを生み出す-自覚のトレーニング-
2022.6.23発行
今回は前回の続き、「良いスパイラルを生み出す」ようにするためには、どうしたら良いか?について、掘り下げていきます。
笑うから楽しい
「楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しいのだ。」という19世紀のアメリカの心理学者のウィリアム・ジェームズの言葉です。
私たちの体と心の動き(身体・息・心)は、密接に関係しています。
私たちは悲しいときに泣く、楽しいときに笑うというように、心の動きが体の動きに表れますが、泣くと悲しくなり、笑うと楽しくなるというように、体を動かすことで、心を動かすこともできます。
アトランティック大学の研究によると、「大股で腕を大きく振り、顔をしっかりと上げて歩くように言われたグループは、下を向いて小さな歩幅で歩くように言われたグループに比べて、3分間の歩行後に感じる幸福感が高かった」という結果も報告されています。
大切な事は、五感で気づく「自覚」
例えば、タンスの角に小指をぶつけ痛い!という思いをします。
その痛かった記憶を後日思い返して、「あの時は痛かったなぁ」「嫌な思いをしたなぁ」と思い出す事は出来ても、その時の痛みは再現出来ません。
痛みという身体感覚は、「今この瞬間」の現実のみなのです。
私達は日常生活の中で、テレビを見ながら食事、歩きながらスマホ、というように、心身が分離している状態が非常に多いです。
不安や焦り、苛立ちから脱却し、「良いスパイラルを生み出す」心地よい時間を過ごす方法は、自分の行動を無意識や慣習で選択するのではなく、「何が心地よく感じたのか」「充実して感じたのか」、様々な身体感覚(五感)を大切にしてあげ、観察すること=「自覚」することです。このことを意識していきましょう。
「自覚」のトレーニング
この「自覚」のトレーニングに最適なのが、Vol.004で紹介した「マインドフルネス瞑想」です。
自分の行動に気づく、呼吸に気づく、考え事(雑念)に気づく。全て今自分が感じている現実です。
「マインドフルネス瞑想」とは、日常の行動を少しでも自覚していく、現実を観察するトレーニング(心のエクササイズ)なのです。
身体・息・心は密接に関係しているため、心が乱れれば、呼吸が乱れ、姿勢が乱れます。
調えるために、この中の1つから手掛ければよいのですが、心(思考・妄想)は過去や未来をゆらゆらと動き回り、ついついぐるぐる考えすぎてしまいます。
そんなときは、Vol.004で紹介した、3つのステップ「①調身→②調息→③調心」(下図)を実践してみましょう。
まず、①調身 ストレッチなどをして身体(姿勢)を調えましょう。背筋を伸ばすことでも胸が開き、呼吸が深くなります。
背筋は反らし過ぎず、背骨を下から1つ1つ上に引き上げる、頭頂部を糸で釣られている、ということをイメージして、椅子の背もたれは使わずに、浅く坐りましょう。
次に、②調息 特に息を吐くことを意識して、おなかの底から深呼吸みましょう。息を吐き切れば、息を吸うことは自然と出来ます。息を吐くと副交感神経の働きが高まり、リラックス効果も高まります。
心が乱れた時、身体が疲れた、しんどい、姿勢が保てない、どこか痛い、つらいなどの時、最初は、なかなか深く息ができないかもしれません。
でも、今よりもほんの少しだけ長く、ほんの少しだけ深く、気持ちよさを感じられたらOK。
それを繰り返していくと、③調心 自ずと心が調えられて、良いスパイラルを生み出していきます。
このように、良いスパイラルを生み出す根っこは、「自覚すること」が大きく関わっています。
足どりを少し変化させるだけでも、心の状態に大きな影響を及ぼすのですから、伸びをしてみる、深呼吸をしてみる、など簡単なことから、すこしずつでもご自身の心身を観察=「自覚」をしていきましょう。
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