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お世話になった保育士さんと久しぶりに会って

年末年始は、ふだん会えない人たちと会ういい機会。

年末に帰省する予定です。もしお時間があったら、〇〇ちゃん(ウチの末っ子の名前)とお母さんに会えたら嬉しいです!

お世話になった保育士さんからのメッセージ


そんなLINEが届いたのは、12月に入ってすぐのこと。送り主は、末っ子が保育所で0歳児クラスの頃からお世話になった先生だった。

3人の子どもを育て、保育所に通ったのは合計15年間。15年って結構な数字である。

1番上の子を保育所にあずけたときはオットもわたしもまだ20代。わたしはクラスの中で1番若いお母さんだった。

同じクラスのベテランママたちは、たどたどしい初心者ママのわたしに、子育ての色々や、仕事と両立するための手抜き家事や、オットをうまく家事や育児に巻き込んでいくコツなどを、たくさん伝授してくれた。

同志でもあるそんなママ友と保育士さんたちのおかげで、我が家の保育所生活は進んでいった。

末っ子を保育所にあずけたとき、オットもわたしも30代後半になっていた。親としての貫禄に満ち溢れていたのか、はたまた、年がいっているのが明らかだったのか、同じクラスのママやパパからは当然のように敬語で話しかけられた。

なんと、ついにオットとわたしが「ベテランパパ&ママ」に。

まわりのパパとママからは、パパ&ママ歴が長いから子育てのことは大体分かるでしょ、と思われても「3人の子をもつ」働くパパ&ママとしては、ビギナーなのである。わたしたちはそれまで、2人の子をもつ働くパパ&ママしかやったことがないんだもの。

子ども0人→子ども1人の生活、の劇的な変化とは比べようもないけれど、それでも、子ども2人→子ども3人の生活の変化は綱渡り。毎日の生活の記憶がないくらいに目まぐるしい日々だった。

そんなとき、親の気もちに寄り添ってくれたのが保育士さんたち。

なんとか頑張って定時で仕事を切り上げ、あわただしく保育所に迎えに行き、子どもたちを抱っこしながら保育士さんたちとほんの少し話す時間は、かけがえのない癒しの時間だった。

子どもだけでなく、親も育ててもらった。

それがいまでもずっと心にある、わたしの保育所への思いだ。

学校を卒業したばかりの新米保育士さんは希望に溢れてキラキラしていたし、中堅どころの保育士さんは子どもたちと遊ぶのがとても上手だった。ベテラン保育士さんは「働くママ」の大先輩で、子育てだけでなく、仕事や家庭の悩みも聞いてくれた。

保育所は、会社と家、つまり「公」と「私」のあいだにある、ほっとできる場所だった。どれほどありがたい存在だったことか。

いまでも「保育所」という言葉を聞いただけで目の奥がじんわりするし、あのころの日々がよみがえって胸がキュッとなる。

それほどまでに大きな意味をもつのが、わたしにとっての「保育所」だ。

冒頭のLINEをくれた先生とは、卒園してから10年以上経ったいまでも、末っ子は手紙のやりとりをしているし、わたしも年に数回はLINEで連絡をとっている。

末っ子が0歳児クラスに入った4月、大学を卒業したばかりの新任保育士として0歳児クラスの担任になった先生。

笑顔がひまわりの花のようで、初々しいけどあったかい印象のひとだった。

ピアノは苦手だけど、季節の飾りやカードなどの製作がとても上手。

「休みの日も家でチョキチョキ工作してるんですよー。子どもたちが喜びそうなもの、たくさん作りたいので」と、子どもたちの相手をしながら教えてくれた。

子どもたちと遊ぶときは全力、叱るときはキッチリ。そんな先生だから子どもたちからの人気は絶大で、親からの信望も厚かった。

末っ子たちのクラスの卒園式では、先生のクルクルした大きな瞳からボロボロ涙がこぼれてたっけ。

「乳児クラスからわたしが担当した、大事な子どもたちですから」

そう言って、親と同じくらい泣いていた先生の顔をいまでも覚えている。

卒園して数年後、その先生が結婚して遠いところに引っ越しても、末っ子は先生に手紙を書いていた。先生からのお返事には、工作好きならではの仕掛けがあったり、イラストがあったりして、末っ子と一緒に懐かしく読んだ。

そんなやりとりが10年以上続いて、ようやく再会できるのだ。

末っ子もわたしも年末をずっと楽しみにしていた。いまは3児のママになって、子どもたちを保育所にあずけ、来年から保育士として復帰する、というのもこれまでのやりとりで聞いていた。

待ち合わせ場所に行くと

「うわぁーーー!〇〇(末っ子の名前)、大きくなってビックリやわぁ。先生より大きいんちゃう?」

以前よりほっそりしたけれど、ひまわりの花のような笑顔は健在だ。

「〇〇、ずっとお手紙くれてありがとうね!いつもめっちゃ嬉しかったんよ、先生は」

久しぶりの再会にちょっと緊張していた末っ子も、先生の笑顔で気もちが和らぐ。学校のようすを伝えたり、保育所で一緒だった同級生の写真を見せたりしている。

末っ子は「保育士になりたい」という思いをこれまでなんどか先生に伝えていたので、保育士になるにはどういうアプローチがいいのか、実際はどんな仕事なのか、などのアドバイスをもらう。

わたしも我が家の上の子たちの近況を伝えたり、ママ友やパパ友たちの最近のようすなどに交えて、いま抱えている子育ての悩みを話す。

先生も、嫁としての立場の難しさ、子育ての悩み、仕事復帰への不安や期待などを話してくれた。

わたしがバリバリ子育て世代だったころから10年も経つけど、働くママの悩みはそう変わらないんだなぁと思い、なんだか複雑な気もちになる。

ほんの数時間の再会だったが、とても濃い時間になった。

「〇〇(末っ子の名前)、会えてめっちゃ嬉しかった。ありがとう!」

「保育士になりたいって先生に相談したからって、そうしなくてもいいんやで。〇〇のやりたいこと、変わるかもしらんし、変わってもいいんやで。先生は、〇〇のやりたいことをやってほしい、そう思ってるから」

末っ子の目をしっかり見て伝える姿を見て、やっぱりあったかい人だな、きっといいお母さんだ、と思う。

先生はわたしのほうを向き

「お母さん、今日はお話聞けてよかったし、聞いてもらえてよかったです。復帰したら大変なのは分かってるから、また悩み聞いてください!」

ひまわりのような先生の笑顔に

「もちろん!でも先生は大丈夫。きっといいお母さんだから。会って、よく分かったもの」

そう言うと、先生はバイバイと大きく手を振って、小走りで帰っていった。実家で3人の子どもたちが待っているんだろう。

新米だった保育士さんが、3児のママになって仕事に復帰する。

保育園児だった末っ子が、担任だった保育士さんに進路を相談する。

子育て真っ盛りだったわたしが、こんどは働くママの悩みを聞く。

どうやら、十数年とはそういう年月であるらしい。








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み・カミーノ
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