孤独でもみんながいる、みんながいるけど孤独 【ケイコ 目を澄まして】
僕も孤独を感じることがある。
まるで世界に自分だけのような、自分に仲間はいないような
そんな感覚に襲われることがある。
ケイコもそうだったんだと思う。
ケイコは作中でほとんど話すことがない。
なので、ケイコの表情だけで彼女が何を考えているのかを考えるシーンが多い。
正直1度見ただけでは、あの時何考えてたんだろ??と分からないこともあった。でも、ケイコの日常はほとんどそう。だって聞こえないから。
口の動きや手話が会話を助けてくれるけど、ケイコの境遇を知らない人たちとの会話は、きっと表情だけで読み取る必要がある。
それって孤独かも。
耳が聞こえない世界を僕は知らない。
映画を見ている中で、やけに多く感じた生活音や自然の音を聞いて、
「あ、この音も聞こえないのか。」といった発見がたくさんあった。
音がないって想像以上の孤独だ。
伝えたいことも伝えられないし、受け取るのも一苦労。
コロナ禍のマスクが口元を隠すことで、視覚的に情報を受け取ることもなかなか難しい。
僕が普段感じる孤独の何倍もの孤独を彼女は感じているんだろうと思う。
それでも、孤独だと思っていても、世界は1人ではない。
わかっているけど、悔しいけど、そんなつもりはなくても、人が支えてくれている。
頼んでもないのに、支えてくれる人がいる。気をかけてくれる人いる。
なんか悔しい。そう感じる自分もダサくて悔しい。
その事実を受け止めることができた時、世界はもっと優しくなる。
そんなきっかけや気づきをくれる作品でした。