
【休日の一冊】ヴォイニッチ写本の謎/ゲリー・ケネディ
『ヴォイニッチ写本の謎』 著者:ゲリー・ケネディ
書籍紹介
『ヴォイニッチ写本の謎』は、未解読の奇書「ヴォイニッチ写本」に関する研究と、その背後にある歴史的な謎を探求した一冊です。
ヴォイニッチ写本は、1912年に古書収集家ウィルフリッド・ヴォイニッチが発見した謎の手稿で、未知の文字と奇妙な植物・天文学・錬金術のような図が描かれていることで知られています。言語学者・暗号研究者・歴史学者など、世界中の専門家が解読を試みてきましたが、未だに言語も内容も解明されていません。
本書では、ヴォイニッチ写本の歴史的背景、可能性のある解釈、そして科学的な分析結果を詳しく解説し、「この写本は一体何のために作られたのか?」という最大の謎に迫ります。
要約
本書は、以下のテーマを中心にヴォイニッチ写本の謎を探ります。
1. ヴォイニッチ写本の発見と歴史的背景
2. 写本の内容(未知の文字・図版・構成)
3. 過去の解読試みと失敗の歴史
4. 現代の科学技術を用いた分析結果
5. 写本の正体に関する主要な仮説
これらを通じて、ヴォイニッチ写本がなぜここまで謎に包まれているのかを浮き彫りにし、「本当に意味のある文書なのか、それとも精巧な偽書なのか?」という議論を展開します。
ポイント
1. ヴォイニッチ写本の発見と歴史的背景
• 1912年、ウィルフリッド・ヴォイニッチがイタリアの修道院で発見したとされる。
• 書かれた時期は15世紀(1404〜1438年頃)と推定されている(放射性炭素年代測定による)。
• 過去にはロジャー・ベーコン(13世紀の学者)、ルドルフ2世(神聖ローマ皇帝)、錬金術師ジョン・ディーなどの関与が疑われたが、証拠は不明。
2. ヴォイニッチ写本の内容
• 240ページ以上にわたる未知の文字とイラストで構成されている。
• 主なセクション:
• 植物学セクション:存在しない奇妙な植物の図解。
• 天文学・占星術セクション:星座や天体の図。
• 生物学・医学セクション:人間のような小さな女性たちが、管状の構造を通っている奇妙なイラスト。
• 錬金術・薬学セクション:薬草や謎の装置が描かれている。
• レシピセクション:不明な記号が連なる文章。
3. 解読の試みと失敗の歴史
• 数百人の言語学者・暗号学者が挑戦したが、誰も解読に成功していない。
• 第二次世界大戦時のアメリカ軍の暗号解析専門家も解読を断念。
• AI(人工知能)を使った分析では「未知の言語構造が存在する可能性」が指摘されている。
• ただし、「無意味な文字の羅列ではないか?」という疑念も依然としてある。
4. 科学的分析結果
• 紙(羊皮紙)の年代測定:15世紀のものと確定(1404〜1438年)。
• インクの成分解析:中世ヨーロッパの技法に基づいている。
• 言語パターン分析:自然言語に似た統計的特性を持つが、既存の言語とは一致しない。
5. ヴォイニッチ写本の正体に関する主要な仮説
1. 未知の言語または人工言語説
• まだ知られていない古代言語で書かれた可能性。
• 錬金術師や秘密結社の暗号文書の可能性もある。
2. 医学・植物学書説
• 不明な植物が描かれていることから、失われた中世の薬草学書の可能性。
• しかし、現存する植物と一致しない点が多い。
3. 宇宙人・超文明の記録説(オカルト的解釈)
• あまりにも現存の知識体系と一致しないことから、異星文明の影響を受けたものではないか? という説も。
4. 精巧な偽書説(いたずら説)
• 意味のない文字列を使って「解読できない本」を作ることで、当時の錬金術師や貴族に高く売りつけるために作られた可能性。
• ただし、240ページ以上にも及ぶ精巧な構成を「無意味なもの」として作るには、相当な労力が必要になるため、この説にも疑問が残る。
まとめ
『ヴォイニッチ写本の謎』は、世界で最も不可解な書物「ヴォイニッチ写本」の歴史・内容・科学的分析・解読の試みを網羅した一冊です。
本書の主要ポイント:
1. ヴォイニッチ写本は、未解読のまま600年以上の歴史を持つ奇書である。
2. 内容は未知の言語と奇妙な図版で構成され、自然言語に近い構造を持つが解読不能。
3. 科学的分析では、15世紀のものと確認されているが、言語や目的は未解明。
4. 様々な仮説が存在するが、いずれも決定的な証拠はない。
5. 「意味のある文書なのか、それとも精巧な偽書なのか?」という議論は今も続いている。
ヴォイニッチ写本は、「最も解読困難な書物」として今なお謎に包まれており、世界中の研究者や愛好家を魅了し続けている。
本書は、暗号学・歴史学・言語学・オカルト研究に興味がある人にとって、知的好奇心を刺激する一冊です。
あなたは、この謎をどう解釈するか?
ヴォイニッチ写本の真実に迫る旅に、ぜひ本書を手に取ってみてください。
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