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【カメラ】簡単にボケる写真が撮れる!だれでもわかるボケの教科書【初心者・中級者向け】

一眼カメラを買った人が、まず期待するのはキレイなボケ
でも、キレイなボケを作るのってちょっと難しいのです。
そこで、今回はキレイなボケを作る方法、そしてボケを自由に操る方法をじっくりお伝えします。
簡単にやれるものから順に紹介するので、できるところからゆっくり始めてみてください。


ステップ1:絞りを調節しよう

絞りとは

絞りとは、レンズの中にある複数の絞り羽根からなる機構のことです。絞りの中心には穴が空いています。
レンズに入ってきた光は、絞りの穴を通ってカメラに取り込まれます。

絞りをイラストで表すとこんな感じです。
絞り羽根が周囲にあり、中央に穴が空いています。
絞り羽根を動かして、取り込む光の量とボケを調整します。
(今回はボケの話なので、取り込む光の量についての話は省略します)

絞り羽根を動かして絞りの穴の大きさを変えることで、ボケを調節することができます。

絞りの穴の開き具合は、F値というもので表されます。
F2.8、F5.6とかいうものです。
F値の数字が小さければ絞りの穴が大きく(絞りが開く)、数字が大きければ絞りの穴が小さく(絞りを絞る)なります。

F値によるボケの変化

下の2枚の写真を見てください。

50mm, F2.8, SS 1/30
50mm, F11, SS 1/30

上の写真はF2.8、下の写真はF11で撮っています。
上の写真のほうが、後ろの車の輪郭がぼやけています。

上の写真はF2.8なので、絞りの穴を大きく開いています。
F値の値が小さいほど、つまり絞りの穴の大きさが大きいほど、ボケやすくなります
また、手前の車を見てみると、車の後ろの方もボケています。
つまり、F値の値が小さいほど、ボケる範囲が広くなります。

下の写真はF11なので、絞りの穴を小さくしています。
F値の値が大きいほど、つまり絞りの穴の大きさが小さいほど、ボケにくくなります
また、上の写真では手前の車も少しボケていましたが、こちらはボケていません。
つまり、F値の値が大きいほど、ボケる範囲が狭くなります。

絞りを調節するには

絞りを調節するには、AモードもしくはMモードを使います。
ダイヤルを回すことで、F値を調整できます。

なお、F値を小さくできる限界は、レンズによって異なります。
例えば、SONYのE PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSSというレンズ。

このレンズには、F3.5-5.6と書かれています。
この値が、このレンズのF値を小さくできる限界を表しています。
このレンズであれば、16mmの時F3.5、50mmの時F5.6までF値を小さくできます。

ちなみに……

ここでクイズです。
この2枚の写真を比べてみてください。
どちらの写真のほうが、F値が小さいでしょうか?

正解は、上の写真です。
上の写真はF2.8、下の写真はF4で撮っています。

下の写真のほうがF値は大きいですが、奥の女の子がぼやけています。

つまり、ボケ具合は絞りだけで決まるものではないということです。

ステップ2:焦点距離の長いレンズを使おう

焦点距離とは

焦点距離とは、ピントを合わせたときのレンズからイメージセンサー(カメラの光を取り込むところ)までの距離のことです。
焦点距離は、各レンズによって異なります。
例えば、SONYのFE 50mm F1.8というレンズ。

このレンズに書かれている、「50mm」が焦点距離です。
レンズからイメージセンサーまでの距離が50mmあるということです。

焦点距離によるボケの変化

下の2枚の写真を見てください。

28mm, F4, SS 1/30
70mm, F4, SS 1/30

2枚の写真は、どちらも絞りはF4で一緒です。
上の写真が焦点距離28mm、下の写真が焦点距離70mmです。
下の写真のほうが、奥の女の子がぼやけています。

つまり、焦点距離が長いほど、ボケやすくなります

ちなみに……

この2枚の写真を比べてみてください。

28mm, F2.8, SS 1/30
70mm, F2.8, SS 1/30

1枚目は焦点距離28mm、2枚目は焦点距離70mmです。
ここまでの話からすると2枚目のほうがボケるように思えますが、実際は1枚目のほうがボケています。
ちなみに、F値はどちらも一緒です。

つまり、F値や焦点距離以外にも、ボケを調整する方法があるということです。

ステップ3:カメラ・被写体・背景の距離を調節しよう

そもそも「ピントが合う」とは?

もう1つのボケを調整する方法について説明する前に、そもそも「ピントが合う」とはどういうことなのかについて説明します。

普段カメラを使っている時のことを思い出してください。
シャッターボタンを半押ししてオートフォーカスを使うと、ピントが合っているところにマーカーが出ますよね。
この時、ファインダー上のマーカーが出たところだけにピントが合っているかのように見えますが、実際はその前後(被写体の少し手前や奥)にもピントが合っています

この、ピントを合わせた部分の前後のピントが合っているように見える範囲のことを、被写界深度といいます

マニュアルレンズ(オートフォーカス機能のないレンズ)を使って、もう少し説明しましょう。

引用:https://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/manuallens/1591490.html

このレンズの2段目と3段目を見てください。
2段目に書いてあるのは、レンズからピントを合わせる被写体までの距離です。上の画像では、レンズから0.5m先のところにピントが合う状態です。
3段目に書いてあるのは、それぞれのF値に応じてピントの合う範囲が書かれています。それぞれの数字がF値を表していて、例えばF4の時には4と書かれている範囲でピントが合います。
ここでいう範囲とは、2段目の距離の範囲です。例えば、F4であれば、2段目でいうところの0.5mのすぐ前後、だいたい0.49mから0.51mの範囲でピントが合います。

このように、ある距離でピントを合わせたとしても、その前後にもピントが合うように見えるのです。
これをまとめると、このようになります。

  • ピントを合わせたところとその前後にピントが合い、それ以外のところはボケる

  • ピントが合うところから離れれば離れるほど、ボケは強くなる

なお、ピントの合う範囲は、カメラから被写体までの距離が遠くなればなるほど広くなります。
上のマニュアルレンズの画像を見てください。2段目の距離のところを見ると、1mのところから急に値が大きく、そして値の間隔が狭くなっていることがわかります。

カメラ・被写体・背景の距離を調整してボカそう

  • ピントを合わせたところとその前後にピントが合い、それ以外のところはボケる

  • ピントが合うところから離れれば離れるほど、ボケは強くなる

これを使えば、同じF値や焦点距離だとしても、ボケを作ることができます。

カメラと被写体の距離を調整するとき

まずは、カメラと被写体との距離を調整してみましょう。

カメラと被写体との距離:遠い
カメラと被写体との距離:近い

カメラと被写体との距離を近づけたとします。
この時、ピントの合う範囲は被写体のすぐ前後になります。ピントの合う範囲が狭く、またカメラから近くなるため、ピントの合う範囲から背景までの距離は相対的に大きくなります。

そのため、カメラと被写体との距離を近づけると、背景がボケやすくなります

被写体と背景の距離を調整するとき

つづいて、被写体と背景の距離を調整してみましょう。

被写体と背景との距離:近い
被写体と背景との距離:遠い

被写体と背景との距離を大きくしたとします。
この時、被写体とその前後、つまりピントの合う範囲から背景までの距離が遠くなります。

そのため、被写体と背景の距離を遠ざけると、背景がボケやすくなります

まとめ:ボケを操って、ボケを生かした写真を撮ろう

ここまでをまとめると、このようになります。

  • 絞りの数値(F値)を小さくすると、ボケやすくなる

  • 焦点距離を長くすると、ボケやすくなる

  • カメラと被写体の距離が近いと、ボケやすくなる

  • 被写体と背景の距離が遠いと、ボケやすくなる

これらをうまく調整することで、自分の意図で自由にボケを操ることができるようになります。
ボカしたい時にボカして、そしてボカしたくない時にはボカさないようにできるようになります。

これを覚えて実践して、ボケを生かした写真を撮っていきましょう!

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