オリバー・バークマン『限りある時間の使い方』読んだ
大ベストセラーである。
原題は4000 weeksである。つまりアメリカ人の平均寿命である80歳弱くらいで死ぬとしたら、人生は4000週間しかないって意味だ。
だからこの邦題は間違いではないが、時間管理術の本かと誤解する人も多いだろう。私も誤解した。
著者はかつて生産性に心臓を捧げた民であったらしい。それが1周回って、そんなことに意味はないと気が付いたとか、、、
だから時間管理とかタスク管理の話は1ミリもないです。。。
まあ生産性を高めたからといってラクにはならないことを、知ってる人は知ってるよね。
効率よくタスクをこなせるようになったら、空いた時間にまたタスクを詰め込むだけだから。。。
そしてこんなことの繰り返しには意味がないんだと、メキシコの漁師とMBAコンサルタントの逸話みたいになってしまったのである。
大事なのは、結局は今この瞬間しかないと気づくことらしい。
しかし、今を味わおうということに意識がいって、この瞬間に全く集中できなくなる。
というか今この瞬間に集中することなんて無理なのだと著者は説いている。そうではなくて、今しかないという事実に気づくこと、これだけだ。
今しかないというのは、桜木花道的な「俺は今なんだよ!」ではなくて、単純に今という時間しかないって意味である。
なるほどね。これは良い気づきでした。
そもそも時間とはなにかみたいな話をハイデガーやベルクソンをひいて解説しているが、そこは飛ばしてもいいだろう。
そういうわけで素晴らしい著書だったが、これは意識が高すぎるとも思う。
意識が成層圏まで高まった人が、さらに宇宙的な視点を手に入れるためにはいいと思う。これは比喩ではなくて、著者も宇宙的な時間間隔を取り入れることが大事だと言っている。
しかし、あまり意識が高くない人は、普通に意識を高めるのが先決である。
著者は、わたしたち現代人は、将来のために今は我慢しなさいと教えられてきて、私のみるところ、それができてる人はあんまりいない。将来に向って気を散らしすぎな人は多いけどね。
普通の時間管理について知りたい人は鈴木祐さんの著書ががおすすめです。