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2023年読んでよかった近世以降の哲学、言語学、心理学などの本

2023年読んでよかった本まだまだある。本日は中世哲学とかキリスト教以外の人文書を。


2020年以降、医療とか生権力にまじでうんざりしている、ということが読んだ本のリストからわかる。

これは哲学者の宮野真生子氏が乳癌の治療において困惑した「医療の正しさ」について忌憚なく著したもの。
生きるとは、ただ健康であることではないし、医療とはただ正しくあることではないと教えてくれる。

そこで宮野氏が引用していたのがインゴルドの『ラインズ』。

生きるとは軌跡を描くことであって、たんに点から点へと移動することではない。

一昨年『暇と退屈の倫理学』が面白かったので、國分功一郎氏の本を読んだ。

本書はタイトルからわかるように『暇と退屈の倫理学』の延長線上にある。しかし國分氏がコロナにおける過剰な医療に懸念を表明しているのは意外だった。しかし人文学者が生命至上主義に異議を唱えるのは自然なことでもある。

こちらの大脇先生の著書は真顔の過剰医療批判、非常に良かった。

次回作では過剰医療の費用面についても切り込んでほしい(他力本願)。

去年も自殺の本はいくつか読んだが、西洋で古代から自殺がどのように捉えられてきたかを綴ったこの本はまあまあ面白かった。

まあこんな本にも生権力を感じ取ってしまう自分が嫌になったりもしたのだが。


言語に関する本も色々と読んだのである。

この本はクソ面白い。本日紹介する中で一番おもしろかった。

数に関する本はこの一冊だけ。

この本じたいは非常に面白かったのだが、数とか数の感覚についてたったこれだけしかわかっていないのかという失望もあった。研究者の皆さんの奮起を期待する(他力本願、2回め)。

発音の変遷はつねに面白い。

日本語の発音の歴史とても面白い。昨年でた『日本とは何か――日本語の始源の姿を追った国学者たち』はさらに面白そうなのでなんとか今年中に読みたいものだ。

ラテン語を学び始めると、英語がいかに堕落した言語で、またそれ故に世界を制したのだということがよくわかる。

英文法の歴史は屈折を落としていく歴史であり、この本じゃなくてもいいから一度勉強しておくことをおすすめする。


ゲンロン戦記』を読んでから東浩紀氏の本を読むようになった。今年は3冊も呼んだし、ゲンロンとかシラスもチェックしているので、東氏の言葉が常に頭の中でコダマしている感じである。

新著の『訂正可能性の哲学』はもうすぐ読み始める予定。代表作『存在論的、郵便論的』も今年中に読めるといいなあ。


昨年の初めはベルクソンをもっと学ぼうと思っていたが、途中で中世哲学沼に突撃してしまい2冊しか読めなかった。

檜垣立哉氏はバロック哲学の本を出しておられるようなので、それは是非とも今年中に読みたいものだ。


私は日本ダメポルノも日本スゴイポルノも大好きである。昨年はなぜかダメなほうばかり読んでいたが。

どれもけっこう面白かった。コロナ騒動で日本のダメさを散々みせられたからだろうか。今は丸山眞男の『日本の思想』のAudible版を聞いている。これまたなかなか優秀な日本ダメポルノである。


東洋の思想についてはほとんど読まなかったが、これが面白かった。

儒教もちゃんと勉強してみたいなあと思わせる素晴らしい内容だった。まあ来年にはそういう余裕ができているだろうか。


とまあこんな感じの2023年だった。

明日はフィクションを振り返って、2023年の読書遍歴おしまいだ。

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