変化する地元スーパー
こんにちは。ぼーんぐんです。
他愛もない話をおひとつどうぞ。
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ひとつに束ねた後ろ髪が右へ左へぴょんぴょん跳ねるほど自転車をかっ飛ばすのは家内。
元気よくペダルを漕ぐ足が逞しく見えます。
三連休の初日、夕暮れどきの街角です。
幹線道路に沿った歩道を夫婦二人、自転車でかっ飛ばしているんです。
「おーい!もっとゆっくり走らないか」
後ろから追いかける私の目は、夕方の時間帯になると途端に頼りなくなります。俗に言う"鳥目"。
だから家内のようなスピードはもう出すことができません。
どんどん広がる家内との間隔に、私の掛けた声は車道を走る車のエンジン音にかき消されてしまいます。
チリンチリン
家内は相変わらずのスピード。歩道で職務質問している警官まで追っ払う勢いに、ついに笑みまで溢れます。
「おいおい、何をそんなに急いでるんだい」
やがて到着したのはとあるスーパー。
何の変哲もない隣町のスーパーに何があるのかと不思議に思って入店します。
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関西は今、スーパーの激戦区なんだそうです。
人口減少で売上を確保したい大手スーパーや元気な地方の中堅スーパーがこぞって都市部に進出いているんですね。
そこで負けてなるものかと10店舗ほどを運営する地元のスーパーが知恵を絞って店舗運営を工夫しています。
今日来たお店はその中のひとつ。
販売量が少なく小ロットしか扱えない小規模スーパーは、進出してくる大手スーパーに価格ではどうしても対抗できません。
生き残りをかけてどうするのか。
こちらのスーパーは大手スーパーにできないことをしようと消費者にとって価値ある商品の品揃えに躍起です。
全国各地を巡り生産量は少なくても地方で人気の商品を店舗で扱うんです。
多少価格が高くても消費者にとって価値あるものならば必ず売れる。そう考えたんですね。
また店内掲示の手書きのポップが目を惹きます。
拘って仕入れた商品はメジャーな商品と何がどう違うのか。どんな特徴があるのか。どうして人気があるのか。
ただ陳列すればいいのではなくて、消費者へ良さが伝わる努力を厭わないんです。
消費者目線で綴られた言葉は元々の魅力をさらに高めてくれるんです。
「それならば、ちょっと試してみようか」そう思わせる言葉の力を感じます。
季節の果物にはそれぞれ糖度表示が徹底されていて納得感を持って購入できます。
種類が豊富なトマトも、丸々太った昔ながらの旬のサンマも、消費者が求めているものをここでは手に取ることができるんです。
「そうそうこれが欲しかったんだよ」ってね。
そして好循環。
良いお店には客が客を呼ぶっていいます。昔から主婦の口コミほど効果のあるものはありませんから。
うちの家内もきっとそうした一人なのでしょう。こうして隣町まで自転車をかっ飛ばして来るには十分すぎる理由です。
帰り道、戦利品でいっぱいにした自転車の荷台に笑顔になる家内と、その家内の笑顔で満足する私。
スマホをクリックするだけでは味わえない喜びがこの店には確かにあります。リアルな店舗もいいものですね。
「いい買い物ができたね。うん。」
今日もいい日でよかった良かった。