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農夫の胸の裂傷はひざまずく修道女の祈りによって光につつまれ、致命のものではなくなりつつ…
土埃が霧のように舞うほどの土砂降りに、荒野の枯れ木など庇にならない。 だからその枝に…
近辺の魔術師が《至宝の森》とよぶ地の大樹から、少女の形をしたものが零れ落ちた。浅い泉が…
女がカウンターに短剣を置くと、琥珀色のショットグラスが氷を鳴らした。 「これはね、魔剣…
「眩しすぎるな」 輝くビル群に囲まれたハイウェイ上。魔導バイクに跨った青年が、夜風に外…
エル『こんばんは! 夢世のエルよ』 しもべ「こんにちは。エル様のしもべです」 『ここは逆…
崩れ落ちた小さな孤児院を月光だけが照らしている。 癖毛の修道士リーンハルトは、その命を終えようとしている盗賊の男を膝にのせ、光を避けるように座り込んでいた。 「ごめんな、リーン。俺たちは、先に……いくよ」 癒しようもない傷を全身に負った盗賊は、力なく微笑んだ。 彼らの傍らには、冒険を共にしてきた家族の死体があった。鎧も盾もくだかれた重装戦士の兄。剣が折れてもなお戦おうとした魔法剣士の妹。血の繋がらない家族の血が、流れて、夜に混じる。 盗賊は修道士の手にふれ
ミストラーデ聖教会が攻めてきたってことを伝えにかび臭い死霊研究室へ飛び込んだら、親父は…
灰空市の空を見て、「ああ今日も灰色だ」と思う者はいないだろう。当たり前だからだ。 そ…
ボクが子供の頃、草と木と岩以外なんにもない小島で、父は言っていた。 「セシルよ。実はな…
古城の寝室。窓際に生けた花。深紅の蝶が蜜を吸う。 「ローラ。もうやめよう」 「厭よ。こ…
エル『こんばんは! 夢世のエルよ』 しもべ「こんにちは。しもべです」 『投稿作に引き続き…