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No. 017 :三島由紀夫 編 : 知識があれば、人生の耐え難さそのものを武器にすることができる。「読書の楽園:本と私の特別な瞬間」ALBUM Artwork


1956年10月30日出版の『金閣寺』

1956年10月30日出版の『金閣寺』は、三島由紀夫31才の作品です。第8章には次の言葉があります。

「俺は君に知らせたかったんだ。この世界を変貌させるものは認識だと。いいかね、他のものは何一つ世界を変えないのだ。認識だけが、世界を不変のまま、そのままの状態で、変貌させるんだ。認識の目から見れば、世界は永久に不変であり、そうして永久に変貌するんだ。それが何の役に立つかと君は言うだろう。だがこの生を耐えるために、人間は認識の武器を持ったのだと云おう。動物にはそんなものは要らない。動物には生を耐えるという意識なんかないからな。認識は生の耐えがたさがそのまま人間の武器になったものだが、それを以て耐えがたさは少しも軽減されない。それだけだ」

『金閣寺』第8章より引用

金閣寺(英文版)

Ivan Morris : イヴァン・モリス (英文翻訳)版では以下となります。私はイヴァン・モリス (英文翻訳)版を評価しています。

“I just wanted to make you understand. What transforms this world is-knowledge. Do you see what I mean? Nothing else can change anything in this world. Knowledge along is capable of transforming the world, while at the same time leaving it exactly as it is. When you look at the world with knowledge, you realize that things are unchangeaole and at the same time are constantly being transformed. You may ask what good it does us. Let's put it this way—human beings possess the weapon of knowledge in order to make life bearable. For animals such things aren't necessary. Animals don't need knowledge or anything of the sort to make life bearable. But human beings do need something, and with knowledge they can make the very intolerableness of life a weapon, though at the same time that intolerableness is not reduced in the slightest. That's all there is to it.”

金閣寺(英文版) - The Temple of the Golden Pavilion

金閣寺(更に日本語に翻訳)

金閣寺(更に日本語に翻訳)すると、以下となります。

この世界を変えるもの、それは知識だ。

僕はただ、君に理解してもらいたかっただけなんだ。この世界を変えるもの、それは知識だ。わかるかい?他の何ものもこの世界の何かを決して変えることはできはしない。知識は世界を変えると同時に、世界をそのままにしておくことができる。知識を持って世界を見ると、物事は不変であると同時に、常に変化していることに気づく。それが何の役に立つのかと思われるかもしれない? つまり、人間が知識という武器を持っているのは、人生に耐えられるようにするためだ。動物にとって、そのようなものは必要ないからね。動物には、人生を耐えうるものにするための知識など必要ない。しかし、人間には何かが必要で、知識があれば、人生の耐え難さそのものを武器にすることができるが同時に、その耐えがたいことは少しも減ってはいない。それがすべてだ。

Ivan Morris : イヴァン・モリス (英文翻訳)版を更に翻訳

言葉は誤認も含め、捉え方は人それぞれです。それをセンスだと私は思います。そういう意味でも、英文翻訳から更に物語の想像力が走りだすことは多々ございます。ぜひお試し頂ければ幸いです。知識を得るためには読書は不可欠です。ぜひ本日の読書をお楽しみください。
追伸…村上春樹さんでも、ぜひお試し下さい。

認識とは? 広辞苑第7版より

〔哲〕(cognition(イギリス)・Erkenntnis(ドイツ))人間が物事を知る働きおよびその内容。知識とほぼ同じ意味。知識が主として知りえた成果を指すのに対して、認識は知る作用および成果の両者を指すことが多い。

読書の楽園:名言とAIイラストで綴る、読書家への贈り物


今回の記事は以下の「読書の楽園:名言とAIイラストで綴る、読書家への贈り物」マガジンに収録させて頂きました。

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