ジョン・レノンの禁断の恋の遍歴!?「ノルウェーの森」の真実
Introduction
ビートルズといえば、1960年代を代表するロックバンドであり、今なお世界中から愛され続けている音楽の伝説です。キャッチーなメロディーにのせて「愛」を歌った彼らの曲は、老若男女問わず人々を魅了してきました。しかし、その陽気なイメージの裏側には、まるでフェデリコ・フェリーニの映画「フェリーニのサテリコン」のような、欲望渦巻く知られざる一面があったのです。
今回は、ビートルズの名曲「ノルウェーの森」に迫ります。一見すると、ただのラブソングに聞こえるこの曲。しかしその歌詞の深層には、ボーカルのジョン・レノンの衝撃的な私生活と、彼をめぐる女性関係の真相が隠されていました。一体、ジョンはどんな放蕩生活を送っていたのか?そして「ノルウェーの森」という曲名に隠された意味とは?
今回の記事はこちらの動画に影響を受け着手させて頂きました。又、今回の記事は以下「レコード物語」マガシンに収録させて頂きます。
全10000文字を越える記事となりますが、どうぞ、よろしくお願い致します。
またお時間が許されましたら、以下もあわせてご覧頂ければ幸いです。
ビートルズ・マニアに火がついた!60年代の過激な日々
1960年代半ば、ビートルズは一世を風靡し、世界中を駆け巡る日々を送っていました。スクリーン上では4人の楽しげな姿が映し出されていましたが、舞台裏では、性、ドラッグ、ロックンロールが渦巻いていたのです。
特にジョン・レノンの女性遍歴は凄まじく、「数え切れないほどの女とベッドを共にした」と豪語するほど。レノン自身、1970年のローリング・ストーン誌のインタビューでこう語っています。
「ツアー中は、まるでフェリーニの映画『フェリーニのサテリコン』のような日々だった。オルジーの連続で、ありとあらゆることをやった。部屋に入ると、女の子たちが待機していて…俺たちはやりたい放題、ヤリまくっていたよ。当時は『グルーピー(groupie)』なんて呼び名もなかったけどね。」
これは、ジョンが妻のシンシア・レノンと結婚していた時期の話。トップアイドルとなった彼らの風俗は、一般人の想像を遥かに超えるものだったようです。まるでローマ帝国末期のバッカスの祝祭のような、倒錯した日々。そのさなかにあっても、ビートルズの音楽は輝き続けていました。
ノルウェーの森の女は誰だ?ジョンの隠し子も?
ノルウェーの森の女は誰だ?ジョンの隠し子も?
「ノルウェーの森」は、1965年に発表されたアルバム『ラバー・ソウル』に収録された曲です。穏やかなメロディに、一風変わった歌詞。「彼女は僕に部屋を見せてくれた」「ノルウェーの木材でできた部屋」といったフレーズから、一夜の情事を匂わせる内容になっています。
しかし、ここで歌われている「彼女」が一体誰なのか、永らく謎とされてきました。ファンの間では、以下のような女性の名前が取り沙汰されてきたのです。
ジャーナリストのモーリーン・クリーヴ
モデルで写真家ロバート・フリーマンの妻、サニー
フォークシンガーのジョーン・バエズ
ビートルズ映画「ヘルプ!」に出演した女優イーディー・ホリー
これらの女性と、レノンの浮気疑惑が報じられた理由は様々。しかし、真相はいまだ闇の中。レノン自身も、後年このように語っています。
「あの曲は、当時の僕の不倫をモチーフにしている。でも誰のことを歌ったのか、もう覚えちゃいないんだ。とにかくごまかすような歌詞にして、妻に悟られないようにしたんだよ。」
一方で、レノンの奔放なセックスライフを知る関係者からは、こんな衝撃の証言も。「ジョンの子供は、世界中に何人もいるんじゃないの?避妊なんてしなかったから」。もしこれが本当なら、知られざるレノンの「隠し子」が存在する可能性も。真偽のほどは定かではありませんが、レノンの破天荒ぶりが偲ばれるエピソードです。
写真家の妻説が浮上!「ノルウェーの森」のモデルはサニー?
写真家の妻説が浮上!「ノルウェーの森」のモデルはサニー?
そんな中、近年はある説が有力視されています。「ノルウェーの森」のヒロインは、写真家ロバート・フリーマンの妻、サニー・フリーマンではないか、というのです。
サニーはドイツ生まれでしたが、自らを「ノルウェー出身」と語っていたそう。レノン夫妻とフリーマン夫妻は、当時ロンドンの同じアパートに住んでいました。部屋は木材を多用した造りで、「ノルウェー」「木」というキーワードにぴったり。レノンはよくサニーと朝まで語り明かしていたとも言われています。
この関係を知ったロバートが激怒し、レノンに詰め寄ったとの証言もあります。「ノルウェーの森」のラストには、「僕は火をつけた」というフレーズが。もしかすると、怒れる夫への当てつけ?そしてサニーとの情事の象徴?
真相は永遠の謎に包まれたまま。しかし1965年末、フリーマン夫妻は離婚。ロバートはビートルズのジャケット写真を担当しなくなりました。レノンの破天荒な恋が、人の運命をも狂わせたのかもしれません。
「ノルウェーの森」が運んだのは、"愛"より"欲望"
このように、「ノルウェーの森」には、一筋縄ではいかないドロドロとした背景があったのです。晩年のインタビューでは、「人を傷つけたくない」としてこの曲について多くを語らなかったレノン。でも、その歌詞からは、恋に身を焦がす男の情念がひしひしと伝わってきます。
聴き手を魅了する叙情的な旋律、印象的な歌詞の数々。ビートルズが奏でる「愛」の讃歌と思いきや、その実態は破滅的な「欲望」の炎だったのかもしれません?
知れば知るほど、闇に包まれたレノンという男の神秘。「ノルウェーの森」が語る愛の物語は、永遠に謎のままです。でも、だからこそ私たちの想像力をかき立て、新たな感動を呼び起こしてくれる。これこそが、天才ジョン・レノンの真骨頂なのかもしれません。
ビートルズは、単なる偶像ではありません。彼らが紡いだ音楽は、人間の喜怒哀楽、光と影のすべてを映し出す鏡なのです。その中でも、「ノルウェーの森」という曲は、レノンの破天荒な人生そのもの。私たちを惹きつけてやまない、ロックの神髄がそこにあります。
ジョン・レノンという男の真実の姿。「ノルウェーの森」に秘められた、哀しくも美しい愛の遍歴。それを聴き手それぞれが想像し、追体験する。それこそが、この曲の真の魅力なのかもしれません。
ここからは、「ノルウェーの森」という楽曲の資料集となります。
「ノルウェーの森」に関するインタビュー
ジョン・レノン、プレイボーイインタビューより
「ノルウェーの森」という曲は、私の完全な作品です。これは私が不倫をしていたことについての曲でした。妻のシンに何かが起きていることを知られたくなかったので、非常に慎重で パラノイド(paranoid)(注釈 : 「被害妄想的」「疑い深い」「過剰に心配している」というニュアンスで使われます)な気持ちでした。私は常に何らかの不倫をしていたので、不倫について洗練された形で書こうと努力していました。でも、煙幕のような形で書いた理由は、誰にも気づかれないようにしたかったからです。ただ、具体的にどの女性のことを指しているのかは覚えていません。…[タイトルについては?] どうして「ノルウェーの森」というタイトルになったのか全くわかりません。
ポール・マッカートニー、バリー・マイルズ著『Many Years From Now』より
「彼が最初のスタンザ(歌や詩の「節」や「段落」を指しています。特に、曲の構成において、歌詞の特定の部分を示す用語として使われます。)を作ってきた時、それは素晴らしかったです。「一昔、僕には一人の女の子がいた
いや、彼女に僕が所有されていたと言うべきかな」…それだけしかなかったんです。タイトルも何もありませんでした。私は「おお、そうだ、私たちはそこにいる。」と言って、曲は自然に出来上がりました。素晴らしいアイデアがあれば、曲は自然に書けるものです。歌を書く方法さえ知っていれば。だから、私は二番目の部分を引き継ぎました。それは物語です。彼が女の子を引き寄せようとしている、つまり不倫についての曲です。ジョンはプレイボーイに、タイトルがどこから来たのかわからないと言っていましたが、私は知っています。ピーター・アッシャーが部屋を木で飾っていて、多くの人が木を使って装飾していました。ノルウェーの木。それは本当は安いパイン材でした。…だから、そういう女の子たちのパロディーのようなものでした。彼女のアパートに行くと、ノルウェーの木がたくさんあったのです。これは私の視点からは完全に想像上のものでしたが、ジョンにとっては彼が関わっていた不倫に基づいていました。これは誰かの家の装飾ではなく、私たちが作り上げたものです。だから彼女は彼を浴室で寝かせて、…最後の部分では、ノルウェーの木を燃やすというアイデアを持ち込みました。それは復讐として、非常に軽い気持ちでやりました。…それは、自分を温めるために火を灯したという意味にも取れましたし、彼女の家の装飾は素晴らしかったとも解釈できました。しかし、実際には「その場所を燃やした」という復讐の意味だったのです。そして私たちはそこをそのままにして、インストゥルメンタル(歌詞のない演奏部分)に入りました。
ジョージはインド音楽に非常に興味を持ち、彼の最初のシタールソロでした。…ジョンのアイデアとメロディーなので、60対40でジョンが優位ですが、私が歌詞を補い、場所を燃やすというアイデアを持ち込んだので、ある程度のクレジットを取ることができます。中間部分は私のもので、ジョンは中間の部分を持っていませんでした。
ジョン・レノン、『ビートルズ・オフ・ザ・レコード』より
「ジョージがシタールを手に入れたばかりで、『この曲を弾ける?』と言いました。私たちは曲の異なるバージョンを試しましたが、うまくいかず、私はイライラしていました。私の言った通りにならなかったのです。彼らは『君のやりたいようにやろう』と言って、私は『まあ、こうやりたいだけなんだ』と答えました。彼らは私を自由にしてくれました。私はマイクに向かって大きな音でギターを弾きながら歌いました。
ジョージ・ハリソン、『ビートルズ・オフ・ザ・レコード』より
「私たちは急速に成長していて、多くの影響を受けていました。それが私たちのバンドの最も良いところで、すべてに対して非常にオープンでした。私たちはあらゆる種類の音楽を聴いていて、シタールの音を気に入っていました。「ノルウェーの森」は、何か特別なものが必要な曲の一つでした。私はロンドンのインディア・クラフトという店で非常に安いシタールを買い、それが曲にぴったり合いました。たとえシタールの音が悪くても、彼らはそれに満足していました。
マーク・ルイソン、『ビートルズ・レコーディング・セッション』より
「『This Bird Has Flown : この鳥は飛んで行った』は、一発録音で完成しましたが、たくさんのリハーサルや頭を悩ませる作業、オーバーダビングのおかげで、完成までに4時間半かかりました。ジョンの軽妙なボーカルは、ところどころでダブルトラックされ、通常の男と女の出会いのシチュエーションに新たな次元を与えました(この曲は不倫の関係をほのめかすものです)。ジョージ・ハリソンのダブルトラックされたシタールの音色は、ポップレコードで初めてインド楽器が使われたもので、ポール・マッカートニーの素晴らしいボーカルハーモニーが加わり、リンゴの興味深いパーカッション技術、つまりドラムをやめてフィンガーシンバルやタンバリン、マラカスを使った演奏が印象的でした。…ビートルズはこの曲が正しくないと感じ、リメイクではやや重いアプローチを取りました。
ジョン・レノン、ローリングストーンのインタビューより
1968年11月23日
「ボブ・ディランのアルバム『ブロンド・オン・ブロンド』に収録されている『4th Time Around』についてですが、初めて聴いたとき、私はとても不安を感じました。彼がロンドンに来たとき、私にその曲を聴かせてくれたんです。彼は『どう思う?』と尋ねましたが、私は『好きじゃない』と答えました。本当に好きじゃなかったんです。
その曲を聴いたとき、私はなぜか心がざわつき、自分の感情と向き合うのが嫌でした。私はその曲が私をからかっている(皮肉っている)ように感じたんです。でも、実際にはそうではありませんでした。後から気づいたのですが、彼の曲は本当に素晴らしいものであり、私をからかう意図など全くありませんでした。
結局のところ、私が不安を感じたのは、自分自身の問題だったのです。私はその時期、いろいろな感情や疑念を抱えていて、それを乗り越える途中だったのだと思います。」
上の「ジョン・レノン、ローリングストーンのインタビューより」はちょっと解りづらい言葉で説明しておりますので咀嚼の文書を掲載させて頂きます。
文書の意味と背景の解説
このインタビューでは、ジョン・レノンがボブ・ディランの楽曲『4th Time Around』に対して抱いた初めての印象と、それに伴う感情の変化について語っています。
1. 『4th Time Around』とは?
『4th Time Around』は、ボブ・ディランの1966年のアルバム『Blonde on Blonde(ブロンド・オン・ブロンド)』に収録されている曲です。
この曲は、ザ・ビートルズの『Norwegian Wood (This Bird Has Flown)』に非常によく似たメロディとスタイルを持っています。
当時、『4th Time Around』は、ディランがレノンに向けて皮肉や挑発の意味を込めたものではないかと噂されていました。そのため、レノンはこの曲を聴いた際に不安を感じたのです。
2. レノンの「不安」の理由
レノンは『4th Time Around』を聴いたとき、ディランが自分をからかっている、もしくは意図的に挑発していると感じたようです。これは、ディランの曲が『Norwegian Wood』に似ていたことが原因で、自分の作品が模倣されたのではないか、または馬鹿にされているのではないかと疑ったためです。
しかし、後で分かったのは、ディランにはそのような意図はなく、彼の楽曲は純粋に素晴らしい作品だったということです。この気づきにより、レノンは自分自身の感情に問題があったことを認めています。
3. 「その時期を通り過ぎていただけ」
私は、上で分かり易く翻訳させて頂きましたが、ジョン・レノンが言った "I was just going through the bit."を指します。
このフレーズは、レノンが当時、個人的に不安定な時期を過ごしていたことを意味しています。彼はディランの曲を聴いて不安を感じたのではなく、自分の心の中にあった疑念や不安定な感情がそのように感じさせたのだと振り返っています。
つまり、ディランの曲が原因で不安を覚えたのではなく、自分自身の内面の問題が原因だった、と後から気づいたということです。
全体の意味
ジョン・レノンは、ボブ・ディランの『4th Time Around』を聴いたとき、初めはその曲に対して不信感や不安を抱きました。しかし、それはディランの曲に問題があったわけではなく、当時の自分の心の中にあった不安定な感情や疑念が原因だったと後から気づきます。そして最終的には、その曲が本当に素晴らしいものであり、ディランが自分をからかう意図など全くなかったことを理解します。
このエピソードは、レノンがアーティストとしての不安や葛藤を抱えていたことを示すと同時に、ディランとの友情や尊敬が深かったことを裏付けるものでもあります。
補足
レノンの発言には、多くのアーティストが経験する「他者からの評価への不安」や「自分自身の弱さとの向き合い」がよく表れています。この文書は、彼がディランの才能を認める一方で、当時の自分がその才能を素直に受け入れられなかったことを率直に語ったものと言えるでしょう。
ノルウェーのWikiは結構興味深い一節がありますもので、抜粋翻訳させて頂きます。
別の説明として、「Norwegian Wood(ノルウェイの森)」はリバプールの港近くで、娼婦たちが主にノルウェーの船員を相手にしていた場所のことを冗談交じりに指していたというものがあります。
プロデューサーのジョージ・マーティンが質問されたとき、彼はこう答えました:
「私の妻はこの話をすると嫌がるだろうけど、これはジョンの不注意に関するものだった。覚えているのは、私たちがサンモリッツ(スイスにあるリゾート地)のホテルのベランダに座っていたとき、ジョンがギターを弾きながら『I once had a girl, or should I say, she once had me(かつて私はある女性と関係があった、いやむしろ彼女が私を支配していたと言うべきか)』という歌詞を書いていたことです。彼はシンシアに結婚を仕向けられたと感じていました。『Norwegian Wood』は『knowing she would(彼女がそうするだろうと知っていた): つまり(やらせてくれる)』という言葉遊びでした。」
(注釈…こちらの話は、村上春樹の言葉として日本のwikiで、紹介されていますが、どうやらこちらが本筋ではないだろうか?と…)
「Norwegian Wood」は、『Rubber Soul』アルバムの中でも女性との対立的または困難な関係を表現する複数の曲の一つでした。初期のビートルズのティーンエイジャー向けの恋愛ソング、例えば「She Loves You」や「I Want to Hold Your Hand」とは対照的に、『Rubber Soul』の曲ははるかに暗い雰囲気を持っていました。それらの曲は明らかに広がった経験に基づいていたのです。
ここからは「まとめ記事」とさせて頂きます。どうぞ、よろしくお願い致します。
『ノルウェイの森』誕生秘話:ビートルズが切り開いた世界音楽の新境地 - シタールが織りなす革新的サウンドの全貌
1965年、ポップミュージックの歴史に大きな転換点をもたらした一曲が誕生しました。ビートルズによる『ノルウェイの森』です。この楽曲は、西洋のロック音楽にインドの伝統楽器であるシタールを取り入れた最初の試みとして、音楽史に大きな足跡を残しました。
創作の背景:レノンが紡いだ秘められた物語
不倫を暗示する歌詞の真相
ジョン・レノンにとって、この楽曲は極めて個人的な告白でした。歌詞に込められた「かつて僕には女の子がいた、というより彼女に僕がいたというべきかな」という冒頭のフレーズには、彼の秘められた恋愛遍歴が投影されています。作詞の過程で、ポール・マッカートニーも重要な貢献を果たしました。特に「ノルウェイの木材」という表現は、当時のロンドンで流行していた安価な松材のパネル装飾への皮肉として用いられました。
スイスアルプスでの着想
1965年1月、レノンは妻シンシアとプロデューサーのジョージ・マーティンとともに、スイスのサンモリッツに滞在していました。バドルッツ・パレス・ホテルでの休暇中に、彼は"This Bird Has Flown"という仮タイトルで曲の構想を練り始めました。
革新的サウンドの誕生
シタールとの出会い
ジョージ・ハリスンが映画『ヘルプ!』の撮影中にシタールと出会ったことは、楽曲の方向性を決定づける重要な転機となりました。トゥイッケナム・フィルム・スタジオでのインド料理店のシーン撮影中、インド人ミュージシャンたちが演奏する楽器の中にシタールがあったのです。
録音過程での試行錯誤
1965年10月12日、EMIスタジオでの最初のレコーディングセッションから、バンドは楽曲の完成度を高めるため、幾度もの試行錯誤を重ねました。特筆すべきは、サウンド・エンジニアのノーマン・スミスが直面した技術的な課題です。シタールの複雑な波形を録音することは困難を極め、リミッターの使用も慎重に検討されました。
音楽界へのインパクト
ラーガ・ロックの先駆け
『ノルウェイの森』は、西洋のポップミュージックにインドの要素を取り入れた画期的な試みでした。確かに、ドローン(持続音)を用いた実験的なアプローチは、ビートルズの『Ticket to Ride』や、キンクスの『See My Friends』にも見られました。しかし、本格的なインド楽器であるシタールを取り入れた最初の西洋ポップスとして、この曲は特別な意義を持っています。
インド音楽への架け橋
この楽曲の成功は、インドの巨匠ラヴィ・シャンカールの西洋での知名度を劇的に高めることにもなりました。ハリスンは後にシャンカールの弟子となり、インド音楽とその文化への深い造詣を深めていきました。これは、単なる音楽的な融合を超えて、東西の文化交流という大きな潮流の始まりを象徴する出来事でもありました。
音楽評論家たちの評価
タイムレスな魅力
音楽史研究家のリッチー・ウンターベルガーは、この楽曲について「ディラン・ファンをも満足させる曖昧性と巧妙な暗示に富んでいる」と評価しています。特に、マッカートニーによるハーモニーボーカルと、ハリスンのシタールが織りなす異国情緒あふれるサウンドスケープは、高い評価を受けています。
革新性の証明
ピッチフォークのスコット・プラーゲンホフは、この曲をレノンのソングライターとしての成熟を示す最も顕著な例の一つとして挙げています。簡潔ながらも印象的なストーリーテリングと、ハリスンによるインド楽器の実験的な試みが、見事に調和していると評価しています。
現代への影響と遺産
ワールドミュージックの礎
『ノルウェイの森』は、いわゆる「ワールドミュージック」の重要な先駆例としても認識されています。この楽曲は、非西洋的な音楽要素を西洋のポップミュージックに取り入れる可能性を示し、その後の音楽の多様化に大きな影響を与えました。
後続アーティストへの影響
ローリング・ストーンズの『Paint It Black』を始め、ドノヴァンの『Sunshine Superman』、ヤードバーズの『Shapes of Things』、バーズの『Eight Miles High』など、多くのアーティストがこの曲から影響を受けました。特に、ブライアン・ジョーンズがハリスンのアドバイスを受けてシタールを取り入れた例は、よく知られています。
評価と受賞
高い評価の証
2004年、『Rolling Stone』誌は『ノルウェイの森』を「史上最も偉大な500曲」の83位に選出しました。また、この曲のカバーバージョンは数多く制作され、ウェイロン・ジェニングスやタンジェリン・ドリーム、シラ・ブラックなど、様々なジャンルのアーティストによって演奏されています。
影響力の証明
1968年には、アラン・コープランドによる『ノルウェイの森』と『ミッション:インポッシブル』のテーマ曲のメドレーが、グラミー賞の最優秀コーラス・パフォーマンス賞を受賞しています。これは、この楽曲が持つ芸術性と普遍的な魅力の証左といえるでしょう。
むすび
『ノルウェイの森』は、単なるポップソングの域を超えて、東西の音楽文化の融合という大きな潮流を生み出した記念碑的な作品です。その影響力は、今なお音楽界に大きな影響を与え続けています。
参加ミュージシャン
ジョン・レノン – ダブルトラックのボーカル、アコースティックギター
ポール・マッカートニー – ベースギター、ハーモニーボーカル
ジョージ・ハリスン – 12弦アコースティックギター、ダブルトラックのシタール
リンゴ・スター – タンバリン、バスドラム、マラカス、フィンガーシンバル
Norwegian Wood (This Bird Has Flown) -
「ノルウェーの森(この鳥は去ってしまった」日本語翻訳
日本語翻訳 by BooksChannel
Norwegian Wood (This Bird Has Flown) -
「ノルウェーの森(この鳥は去ってしまった」
アーティスト:ザ・ビートルズ
[1番:ジョン・レノン]
昔、僕には一人の女の子がいた
いや、彼女に僕が所有されていたと言うべきかな
彼女は自分の部屋を見せてくれた
「いいでしょう、このノルウェーの木製家具は」
[間奏:ジョン・レノンとポール・マッカートニー]
彼女は僕に「泊まっていって、どこでも座って」と言った
それで見回してみると、座る場所がないことに気付いた
[2番:ジョン・レノン]
僕は絨毯の上に座り
彼女のワインを飲みながら、時を過ごした
二人で夜の二時まで話し込んで
そして彼女は「寝る時間よ」と言った
[シタールとギターのソロ]
[間奏:ジョン・レノンとポール・マッカートニー]
彼女は朝から仕事だと言って笑い出した
僕は仕事がないと告げて、浴槽へともぐり込んで眠りについた
[3番:ジョン・レノン]
そして目が覚めると
一人きりだった、この鳥は去ってしまった
だから僕は火をつけた
「素晴らしいでしょう、このノルウェーの木製家具は」
──────────────────────────────────────────
Related keywords= #1239日目