西洋の敗北を証明する3つの要因 | Emmanuel Todd
Check… Emmanuel Todd | フィガロ(フランス) | クーリエ・ジャポン
先日のFIGAROでのインタビューを記事にされておられましたので、🔻に配置させて頂きます。お時間が許さされましたら ぜひ…
エマニュエル・トッド「いま私たちは西洋の敗北を目の当たりにしている」
エマニュエル・トッド「ロシアの衰退は欧米メディアがもたらした幻想だ」
西洋の敗北を証明する3つの要因
エマニュエル・トッド氏は、西洋の敗北を証明する3つの要因を提示しています。
1つ目の要因
1つ目の要因である米国の産業力の衰退についてですが、米国のGDPには水増しの部分があり、本来の産業力よりも大きく見せかけられている実態が明らかになりました。トッド氏は自著の中で、膨らまされた米国のGDPを適正なサイズに戻し、米国の産業力が本当はどの程度衰退しているのかを示しています。
米国で1965年以降、エンジニアの数を十分に育成できておらず、技術革新の担い手不足が深刻な問題となっています。加えて、米国の教育水準そのものが低下傾向にあり、グローバル化が進む世界で必要な人材を生み出せていないことが、西洋全体の衰退を招いている大きな要因だと分析しています。
2つ目の要因
2つ目は、米国におけるプロテスタント文化の消失です。かつて英米を中心としたプロテスタント文化圏では、教育水準が人類史上類を見ないほど向上し、識字率も非常に高くなりました。これは、プロテスタントの信徒すべてが聖書を一人で読めなければならないとする方針が大きく影響しています。
また、地獄落ちへの恐れから、信徒一人ひとりが自らを神に選ばれた者であると実感するようになり、それが勤勉に労働する動機付けとなりました。個人、集団ともに強い倫理観や道徳規範を持つようになったのです。こうした文化的土壌が、かつての西洋諸国の経済成長を支えてきたといえます。
しかし近年、このプロテスタント文化が崩壊し、知的水準の低下や勤労意欲の喪失が進んでいます。大衆の間で欲深さが露わとなり、もはや西洋全体が発展するどころか、凋落の一途を辿っていると分析しています。
3つ目の要因
3つ目の要因は、非西洋諸国が西洋よりもロシアを好むようになった流れです。ロシアに対する西側諸国の経済制裁にも関わらず、表立っては動かないながらもロシアを支援する国々が増えています。
西側諸国がロシアを敵視する一方で、ロシアの保守的な価値観やLGBTへの否定的な姿勢は、非西洋諸国の共感を呼んでいるのです。こうしたロシアの「ソフトパワー」が徐々に効力を発揮し、ロシアに対する支持が高まっていると分析しています。
以上の3つの要因によって、西洋全体の力が低下し、ロシアが優位に立っているというのが、トッド氏の主張です。ただし、ロシア自体も人口減少など深刻な課題を抱えており、西洋と同じ近代化が引き起こす危機を回避できているわけではない点も指摘しています。
感想
以下の文書が印象に残りました。