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『「30代」でやっておきたいこと』川北 義則

概要

『「30代」でやっておきたいこと』は、仕事や人生における重要なポイントやマインドセットを、30代で実践しておきたい55のテーマに分けてまとめた一冊です。20代ではまだ余裕があったり、失敗が許される場面も多かったかもしれませんが、30代は社会人としての成熟が期待され、自己管理や責任が一層求められます。著者は、言い訳しない姿勢や時間管理の徹底、人からの信頼を得るための工夫、リーダーシップの準備、そして自分の潜在能力を開花させることが30代の重要なテーマであると強調しています。川北義則さんが自身の経験から得た知見や、著者独自の視点がふんだんに盛り込まれており、「どう行動し、どう成長していくか」について、具体的で実践的なアドバイスが詰まっています。人生のステップアップを図りたい30代の人だけでなく、20代や40代以上にも有益な内容です。

本のジャンル

自己啓発、キャリア、人生論

要約

1. 言い訳は成長の敵である

まず、著者は「言い訳をやめること」を成長の第一歩としています。20代では、「まだ若いから」「経験が浅いから」と言い訳が許されることが多かったかもしれません。しかし30代に入ると、言い訳は評価を下げ、信頼を損ねる要因になります。たとえば、「時間がなかった」「体調が悪かった」といった言い訳は、確かに事情がある場合もありますが、繰り返されると周囲からは「責任を取らない人」として見られることになります。この考え方は、たとえばある会社で上司が「自分の部下はいつも同じ言い訳をする」と感じた瞬間、その部下への期待値が下がり、重要な仕事を任せられなくなる状況を思い浮かべると分かりやすいでしょう。

言い訳をしないと決めることで、「できない理由」ではなく「どうすればできるか」を考えるようになり、結果として問題解決能力が高まります。また、言い訳をしない姿勢は、周囲に対しても「この人は信頼できる」と評価されやすくなります。著者は「言い訳を我慢することは自分を鍛えること」とし、30代での成長を促しています。

2. 時間管理に対するシビアさ

30代は仕事のキャリアが本格的に始まる重要な時期です。このため、時間管理のスキルを磨くことが求められます。たとえば、優先順位をつけることの重要性について著者は強調しています。あるビジネスシーンで考えると、期限が迫ったタスクと、まだ余裕があるプロジェクトのどちらを優先するべきか、判断する力が必要です。ここで、たとえば「今やっている仕事は本当に意義があるか?」と自問することが、時間を有効活用するための第一歩となります。

また、「無駄なく時間を使い切る」ことも重要です。これは、お金の使い方に例えると分かりやすいかもしれません。たとえば、衝動的にお金を使うのではなく、何に使うかを意識して節約することと同じように、時間も「今やるべきか」を考えることが必要です。そして、簡単なタスクであればその場で片付けるというスタイルも提案されています。たとえば、メールの返信や書類の整理など、5分以内で終わる作業は後回しせずにその場で終わらせる習慣をつけることで、結果として時間のロスを防ぎ、仕事のスピード感が増します。

3. 頼りにされる存在になるための秘訣

著者は、職場で「頼りにされる人」になることの価値についても述べています。周囲から信頼される人は、ただ単にスキルが高いだけでなく、他人との関係性やサポート力に優れています。30代になれば後輩や部下ができることも多く、自分が年上の立場からアドバイスをする場面が増えるでしょう。

ここで、著者は「PAC理論」(親、大人、子ども)を紹介し、他者と関わる際に大人の立場や親のような心で接することの重要性を強調しています。たとえば、後輩が相談に来た際に、「一緒に考える」という姿勢を持つことで、相手は安心してアドバイスを受け入れることができます。具体的には、「こうしたらいいんじゃないかな?」と寄り添う態度を示すことや、相手の話に耳を傾け、共感を示すことが大切です。これにより、後輩や部下にとって「この人なら頼りになる」と感じてもらえる存在になります。

4. リーダーシップの準備を始める

30代になると、自然とリーダーシップを期待される場面も増えてきます。著者は、リーダーとしての姿勢を30代で確立しておくことを推奨しています。そのためには、まず自分の上司やリーダーを観察し、「自分が目指すリーダー像」を考えることが大切です。過去のリーダーのイメージが、率先してチームを引っ張ることを求めていたとしても、現代では、メンバーの力を引き出すことがより重要視されています。

たとえば、ある会社で上司が部下に「このプロジェクトは君の担当だから、君に任せる」と言い、部下が自分で責任を持って進められる環境を整えると、その部下はモチベーションが上がり、自信を持って仕事に取り組めます。また、部下が適材適所で働けるよう、仕事の役割分担を行うこともリーダーの重要な仕事です。リーダーが率先して120%働くよりも、チーム全体が80%の力を発揮できる体制を作る方が、結果的に高い成果を生むと著者は述べています。チームメンバーの特性や強みを理解し、それを活かす環境を提供することが、リーダーシップの鍵となります。

5. 潜在能力を引き出し、自分の夢を叶える勇気

「30代」という時期は、人生の夢や目標を追い求めるための最後の準備期間でもあります。著者は、現状に甘んじず、勇気を持って挑戦することの大切さを説いています。人は誰もが隠れた潜在能力を持っているものの、それを引き出せるかどうかは、自分の行動次第です。

たとえば、著者が若い頃、店舗を任された際に、否定的な意見を受けながらも独自の方法で業績を改善したエピソードが示すように、失敗を恐れず行動することが、成功への鍵です。私たちの心には、安定を求めて現状に留まろうとする気持ちや、他人の成功で満足する「代理満足」があると言います。こうした思考にとらわれず、自分の可能性を信じて行動することで、30代を過ぎた後も充実した人生を送れると著者は提案しています。

まとめと感想

『「30代」でやっておきたいこと』は、20代の頃には気づけなかった、より深い人生観やキャリアへの考え方を示してくれる本です。著者の川北義則さんが語る、言い訳の悪影響や、時間管理、頼りにされる存在となるための姿勢は、どれも現実的で役立つアドバイスばかりです。これらの指針は、30代に限らず、どの年代の人にも響くものですが、特に30代で身に付けておくことで、その後の人生の基盤となるでしょう。リーダーシップを発揮する準備や、自分の潜在能力を開花させる勇気についても、読者に前向きな影響を与えます。ネット上でも「30代のうちに読むべき本」として評価が高く、多くの人から支持されている本です。

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