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『仕事の思想』 田坂広志

概要

『仕事の思想』は、田坂広志氏が書いたビジネス書で、働くことの本質について掘り下げた一冊です。著者は、報酬をお金だけで捉えるのではなく、働くことで得られる「能力」や「成長」を報酬とすることで、より豊かな人生を送ることができると主張しています。この本では、働く理由や報酬を4つのレベルに分けて解説しており、最も高いレベルでは、仕事を修行として捉え、人間的な成長や成熟が報酬となると述べられています。つまり、給料だけを目的に働くのはレベル1に過ぎず、働くことを通じて自己成長を果たすことが最も大切だというメッセージを伝えています。仕事に対する考え方を見直し、真にやりがいを感じるためのヒントが詰まった一冊です。

本のジャンル

ビジネス書、自己啓発

要約

田坂広志氏の『仕事の思想』では、働くことの報酬を4段階に分けて解説しています。まず、レベル1は、働く報酬を「給料」として捉える段階です。このレベルでは、仕事はあくまで生活費を稼ぐ手段であり、楽しさややりがいは他の趣味などに見出す人が多いとされています。これは多くのビジネスパーソンが最初に経験する段階であり、「お金のために働く」という考え方です。

次に、レベル2は、報酬を「能力」として捉える段階です。ここでは、仕事を通じて自分が成長し、スキルが身につくことが楽しくなります。たとえば、最初はただ給料を得るために働いていた人が、仕事をこなしていく中で、できなかったことができるようになり、その成長に喜びを感じるようになる段階です。これは、RPGゲームで自分のキャラクターがレベルアップしていくことに喜びを感じるのと似ているといえます。

そして、レベル3に進むと、仕事そのものが報酬となります。この段階では、ただ与えられた仕事をこなすのではなく、自分で仕事を企画し、自ら手を挙げてやりたいことに挑戦できるようになります。この段階に達すると、仕事そのものが楽しくなり、自分のやりたい方法でプロジェクトを進めることができるようになります。これにより、仕事の全体像が見えてきて、自己主導でプロジェクトを進めることができる喜びを感じます。

最後のレベル4では、仕事を「修行」として捉え、人間的な成長や成熟が報酬となる段階です。この段階では、仕事がただの職務や自己満足のためではなく、他者や社会に貢献するための手段となります。自分が犠牲になることがあったとしても、それを「損」とは感じず、他人や社会のために尽くすことに喜びを見出します。ここでは、仕事を通じて得られるスキルや名声ではなく、自己の内面的な成長を求めるようになります。

田坂氏は、この最終段階に至ることが、真に豊かなビジネスパーソンであると述べています。なぜなら、この「成長」や「成熟」は、誰にも奪うことができない報酬だからです。スキルや仕事そのものは環境によって失われる可能性がありますが、内面的な成長や成熟は誰にも奪えないため、最も価値のある報酬だと考えられます。

まとめ

『仕事の思想』は、働くことに対する考え方を深く掘り下げた本であり、多くの人が日常的に抱える「なぜ働くのか?」という問いに対する答えを与えてくれます。私自身、この本を通じて、仕事を単なる「給料を得る手段」として捉えるのではなく、成長や成熟の場として考えることの大切さを改めて感じました。特に、最終的な「人間的成長」を報酬とする段階に至るという考えは、自己啓発書やビジネス書でよく見られる「成功」の概念を超え、より深い意味を持っているように感じます。もちろん、全ての人がこのレベルに到達できるわけではありませんが、仕事に対する姿勢や心構えを変えることで、人生そのものが豊かになることを強く感じました。この本を読んで、自分自身の仕事に対する考え方を見直すきっかけになると思います。

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