「長所 or 短所」と「キャラクター」論
WWEのスマックダウンが面白いです。
現在のトップはユニバーサル王者のローマン・レインズ。もう1年近くベルトをキープしています。立ち位置はヒール(悪役)です。
これまでのヒール王者は「ずるさ」と「巧さ」で王座を守り抜くイメージでした。レインズも子分の手をよく借りますから、ずるいといえばずるい。しかし↑で見てもわかる通り、この人はシンプルに「強い」のです。身体もでかいし。
彼はずっとベビーフェイス(善玉)のヒーローでした。実際カッコいいですよね。雰囲気もあるし。でもコアな層から支持されず、ブーイングの嵐でした。
主な理由は次のふたつ。
①技が少ない。試合もワンパターンで短い。
②なのに会社のプッシュが途切れない。
ところがヒール王者になった途端、これらの弱点が彼の「売り」へと変わりました。
①技が少なくてワンパターン→「巧さ」ではなく「強さ」で売るなら細かい技は無用の長物。豪快に殴り、スピアタックルで倒し、ギロチンチョークで絞め落とせばOK。長い試合をする必要もない。短時間で叩き潰す方が「勝てばいい」というキャラクターを表現できる。
②会社にプッシュされ続ける→ヒーローが勝って罵声を浴びたら失敗だけど悪党なら大成功。嫌われれば嫌われるほど彼に挑むベビーフェイスの人気を高められる(昔はヒールである相手の方に声援が集まっていた)。
まさに「長所」と「短所」はコインの裏表。「才能」と「劣等感」も同じです。ないものを嘆くよりも持っているものをどう活かすか、という視点の持ち方が勉強になりました。
あとTAJIRI選手が著書に書いていた「技はキャラクターを客に紹介するためのツール」という説の正しさも実感できました。小説も一緒だなって。セリフや行動はキャラを表現するためのツールだから。一人称であれば地の文も。
沢木耕太郎ファンの私が読んでも「この本の題はこれしかない!」と頷ける熱い旅日記でした。現地レスラーの語る香港の状況など、他では味わえない貴重な話が満載です。
こちらはキャラクター論に加えてWWE時代の話も秀逸。特にエディ・ゲレロのエピソードに勇気をもらいました。
WWE、早くライブで見たいです。
作家として面白い本や文章を書くことでお返し致します。大切に使わせていただきます。感謝!!!