「最後の新曲」と共に聴いてほしい一枚
ザ・ビートルズ最後の新曲「ナウ・アンド・ゼン」を聴きました。
シングルモルトの味わいを纏ったメロディーです。あの頃を振り返る夜のつぶやき。歌詞が誰に向けて書かれたのか考えてしまいます。
元々の音源は、ジョンが死の直前に家で録音したピアノの弾き語り。ピアノの音が大きすぎて、肝心の歌声が聴き取れなかったそうです。なのでAI採用の音声分離処理技術を使い、ヴォーカルのみを抽出したとか。
「ビートルズ最後の新曲」ゆえ、ポールのベースとリンゴのドラム、そしてジョージのギターも参加しています。ジョージは2001年に亡くなりましたが、レコーディングに残されていたリズムギターを使ったようです。ソロはポールがジョージ風に弾いたとのこと。
アルバム「リボルバー」の冒頭を飾る「タックスマン」を思い出しました。作曲もヴォーカルもジョージですが、間奏のカッコいいギターソロはポール。皮肉の利いた歌詞もたまりません。
ビートルズといえばテープの逆回転が有名です。「リボルバー」の3曲目に入っている「アイム・オンリー・スリーピング」の気怠いギターは、たしかジョージが本来の譜面を逆から演奏した(もしくは音符を後ろから書いた譜面を忠実にプレイした)ものをレコーディングし、それを逆回転させているはず。
他にも「細かく裁断したテープをばら撒き、拾い集めてランダムに繋ぐ」「インドの民族楽器シタールを使う」といった斬新なアイデアをビートルズは採用しています。だからこそ、今回の挑戦も彼ららしいと感じました。
ジョンもジョージもいない。事実です。こんなの違うよという声もあるでしょう。言わんとすることは理解できます。でもポールとリンゴは健在だし、彼らがジョンの遺した歌声と曲にジョージのギターを併せて磨き上げた逸品であれば。
新曲と共に「リボルバー」もぜひ。
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