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「令和の完全試合」に思うこと

「19奪三振。13者連続三振。105球完全試合」

大谷翔平選手の二刀流を初めて見た時を思い出します。特撮を現実と考えて没頭した子どもの頃みたいな原初的興奮に震えました。

「ミラクルジャイアンツ童夢くん」というアニメで主人公の父親、新城夢人(しんじょう ゆめと)が「全打者3球三振。27者連続三振。81球完全試合」を達成しました。令和の世においては、あながちフィクションではないのかも。

20歳5か月で偉業を成し遂げた佐々木朗希(ささき ろうき)投手は、もちろん別次元の逸材です。そしてある意味で彼以上にすごいのは、リードした松川虎生(まつかわ こう)捕手。なんと高卒1年目、弱冠18歳のルーキーなのです。

アニメ「童夢くん」では新城夢人の完全試合をアシストした捕手の名は出なかった気がします。94年に巨人の槙原寛己(まきはら ひろみ)投手が完全試合を達成しましたが、その時のキャッチャーが誰だったか覚えている人はいますか?(正解は村田真一選手)

ひと昔前なら「佐々木、お見事!」というニュース一色だったかもしれません。ピッチャーに劣らぬぐらいキャッチャーにも光が当たった「令和の完全試合」は「目立つ立場の人だけじゃなく、陰で支える存在もしっかり評価しよう」という時代の声を反映していると感じました。

私は見ていませんが、ツイッターでも松川捕手を絶賛する声が多かったとか。選手からしたら嬉しいはず。SNSが生活に定着したことによる弊害はいろいろありますが、悪いことばかりではないのも事実。たとえ松川捕手が勝利後のヒーローインタビューに呼ばれなくても(なぜ?)、野球ファンはちゃんと彼の功績をフェアに称えている。素晴らしい。

おかげで「人は少しずつでも前に進める生き物だ」と信じたくなりました。若いふたりが教えてくれたのです。ありがとう。

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