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「プロレス」と「人生」の醍醐味

オカダ・カズチカ選手はスターです。

まずフィジカルが強い。身体能力の高さに加えてスタミナも十分。「超人」と称えられるだけのことはあります。さらに長身でイケメンで礼儀正しく、末っ子気質まで備えている。老若男女を問わずファンが大勢いるのも頷けます。

彼が「業界の顔」としてジャンルを世間にアピールしているのは間違いありません。実際「プロレスは見たことないけどオカダは知ってる」という同僚が何人もいます。

けど。

学生時代の私は知恵を絞り、あの手この手で強豪ジャイアンツの足元をすくう故・野村克也さん率いるヤクルトスワローズに感情移入しました。

人間を超越した生命体に立ち向かい、様々なトリックや駆け引きを使って彼らの隙を突く荒木飛呂彦「ジョジョの奇妙な冒険」第二部の主人公ジョセフ・ジョースターのファンでした。

理屈じゃないです。強すぎる存在に対して「アナタたちだけが正しいわけじゃない」と抗う生き方をしたい。

ゆえに今回のG1決勝も、体格で劣るウィル・オスプレイを応援しました。高難度の飛び技や鋭い打撃、さらに他の選手のフィニッシャーまで繰り出し、レインメーカーの牙城を崩しにかかる姿に胸が熱くなりました。

強いスターが君臨するのはいい。でもその支配に歯向かう者が現れて切磋琢磨しないと燃えてこない。いまこそ高橋陽一「キャプテン翼」における日向小次郎みたいな泥臭い対抗馬が必要なのです。

ルックスや身体能力は十人並み。さわやかさもイマイチ。不器用で無骨で、でもプロレスへの情熱なら誰にも負けない。そんな反骨の者に出てきてほしい。

ゆえに私はジュニアヘビー級のエル・デスペラード選手を推しています。彼のライバルである高橋ヒロム選手も。

小畑健「デスノート」のニアとメロみたいに「ふたりならオカダに並べる」「ふたりならオカダを越せる」と信じています。小さい者が大きい者を倒す。それこそがプロレス及び人生の醍醐味だと。

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