「本物」は常に「プライムタイム」
ロープワークを使わないプロレス、昔から好きなんですよね。
前にも書いたかもしれませんが、機材に頼らず、アコースティックな弾き語りだけで魅せる「MTVアンプラグド」のイメージです。
エンターテインメントは多種多様。ひとつのジャンルの中でもファンを楽しませる要素はいろいろあります。でも音楽ならアーティストの生歌&生演奏、プロレスなら選手のレスリングスキルが根っ子。極端な話、他は何もなくてもそれさえあればどうにかなる。どうにかできてしまう。その事実こそが一流の証かもしれません。
最後は石森選手がエル・デスペラード選手のフィニッシュ技であるピンチェ・ロコをボーン・ロックでカウンターし、締め上げてギブアップを奪いました。「まだ大丈夫」「逃げられるだろう」という空気が漂う中で終わったことから、関節技の怖さを再認識させられた次第です。
まさに「本物」だけが持つ凄みと説得力。私は格闘技の素人です。高校の授業で柔道を少し習った程度。それでも納得できてしまう。十分すぎるほどに伝わってしまう。絵画に関する素養の有無にかかわらず「ゲルニカ」が別次元の作品であることを誰もが知っているように。
若い頃の石森選手は、派手な飛び技やアクロバティックな動きを売りにしていました。それはそれで魅力的でした。39歳になったいまはまったく異なる手法で我々を楽しませてくれます。ちょうど「ザ・ビートルズ」のアルバムが初期・中期・後期と各々違った角度からファンに衝撃を与えたように。
いい歳の取り方をしているなあと思いました。「10代や20代の時しかできないこと」はたしかにあります。でもだったら30代、40代、50代、そしてそれ以上の年代にもきっと同じことが当てはまるはず。
いつの年代であってもいまがプライムタイム。そんな「本物」の物書き&書店員を目指してやっていきます。